gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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くじびき勇者さま7番札 誰がくじびき女王よ!? (HJ文庫)

くじびき勇者さま7番札 誰がくじびき女王よ!? (HJ文庫)
昨日の夜に神田で早売り買ってきた。
前巻のあとがきを信じるなら、ここで一部完って事らしいんだけど、巻末の宣伝文をみたら「完結編」ではなく「クライマックス」という煽りが付いてる。
…どうやら、延長が決まったらしい。
前々巻あたりから暴走気味だった技術発展が、完全に暴走状態に突入し、キャラクター描写そっちのけで技術発展が主で、本筋が従と化している感が。
もともとウンチク作家だけど、ここまで来ると流石に「ちょw自重」と言いたくなる。
具体的な暴走っプリだが、
以下ネタバレ。
蓄音機、防弾ヘルメット、防弾ジャケット、実用戦車、砲塔装備の戦艦、ラジオ放送、珪油(ディーゼル)エンジン、珪油(ディーゼル)機関車、ハーフゲージ鉄道、ナフサ(ガソリン)エンジン、動力飛行機(単発・双発)、放水車、火炎放射器、自動拳銃、機関砲、観光の商業化、写真印刷・出版の普及などなど。
発明、試作品程度ならともかく、実用レベルであっさり普及していく速度が尋常じゃない。
凄まじい勢いで、南アルテースの鉄道網が普及し、その鉄道網が技術を超速で伝播させてくのだが、つい半年前まで剣と魔法で戦争やってた連中とは思えない適応力を示して、民間レベルでも普及していく。
対して、前巻ラストで意味深に無傷のグライダーを手に入れたビーズマス卿だが、結局グライダーとして飛ばす以前のレベルのまま、戦争には間に合わず。
まあ、気球の再現すら出来なかったレベルで、いきなりロケット推進のグライダーを再現しろといわれても無理だと思うけど。
なんか、敵側だけ「あたりまえの技術発展と失敗」を繰り返すのに、メイベル側というか南アルテースは概念・机上設計から試作品が作られるまでの試行錯誤すら発生してない勢いである。
これが仮想戦記モノだったら、ちゃぶ台ひっくり返してるよなぁ。(この作品は薀蓄とボケ・ツッコミを楽しむ作品です)
こうした技術開発ネタが主で、死人の出ない戦争から、捕虜に対する懐柔策、情報戦を経て西アルテースで暴動が発生し、無為な市民の被害を避けるためにメイベルが西アルテースの首都に飛行機から魔法で降臨し、無血革命という話の流れは、なんというか、激しくあっさりと語られている。
んで、支配権が宙に浮いた西アルテースの新しい大公爵をくじびきで決める事になり、案の定メイベルが女王に。
小娘→お荷物→聖女→女神→守り神→大統領→女王
無名の一市民から実権の無い名誉職、そして着実に現世の権力者へと登りつめてるし。
本当ならばここで終了のはずだけれど、ビーズマス卿が逃げたまま行方不明なので、この線で話を引っ張るのではないだろうか。
しかし、ロケット砲や機関砲搭載の戦闘機が実用化されて、完全にドラゴンの優勢は消えてしまった感がある。
ドラゴンも技術開発に目覚めて、食糧増産と体温を維持する技術を開発しないと、遠くない未来に人間と戦争になって絶滅させられそうな気がする。
変温動物ゆえに、体格の割にエネルギー消費が少なくて済む、と言うエコ生物だけれど、そんな致命的な弱点抱えたままでは危険すぎるからなぁ…。