gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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レアアース、中国で密輸出横行「正規量の3分の1相当」- SankeiBiz(サンケイビズ)

世界的にレアアースの価格が高騰する中、中国では密輸出が横行している。関係者によると、年間約2万トンのレアアースが国外に(不正)流出しているという。
偽装、贈賄、合金化
中国では2006年から、レアアースの輸出制限が始まり、現在、総輸出量は3万258トンとなって昨年に比べて2万トン以上減少した。この(供給量では世界一となる中国による)輸出量減少の影響で国際価格は急騰、巨額の利益を得ようと密輸する人が後を絶たない。あるデータでは06〜08年の間、国内消費分と正規輸出分を差し引いても、なお数万トンのレアアースが行方不明の状態だという。
最近では、レアアース4000トンを赤色酸化鉄と偽って輸出しようとして摘発された例もある。また広西チワン族自治区南寧市の税関が検挙した事案でも、約4196トン、約1億900万元(約13億3200万円)相当のレアアースが、ほかの品だと偽って密輸されるところだった。
摘発例をみると、不正な輸出を行う多くがレアアースの専門家だ。珪藻(けいそう)土や硫酸アルミなど、一見似ている品と偽って通関させたり、税関係員を贈賄で抱き込み、密輸を行っているという。
業界アナリストによれば「商社や生産企業も密輸をしている」という。摘発を避けるため、他企業に輸出業務を委託し、表面に出てこないケースも多い。
また、輸出量の割り当て制限がないレアアース合金を輸出、あるいは輸出後にレアアースを分離して取り出す方法も、海外流出の主要経路になっている。
税関管理機能せず
中国共産党の高級幹部を養成する)中央党校で国際戦略論が専門の李兵氏は「密輸されているレアアース2万トンは、正規輸出量の3分の1に相当する」と指摘する。
その上で李氏は、中国のレアアース埋蔵量は世界の30%以下であり、「流出を管理できなければ、将来は輸入せざるを得ず、数十倍、数百倍の代価を払うことになる。欧米諸国から戦略的に制限を受ける可能性もある」と警鐘を鳴らす。だが、レアアースの管理は非常に困難だ。莫大(ばくだい)な貨物量を取り扱う税関で、レアアースの密輸を取り締まるのは不可能に近い。
さらに、税関における税番(関税分類)の不備という問題もある。レアアース製品の種類は日ごとに増加しているが、輸出税番はわずか四十数個しかない。一部製品は輸出税番が一致せず、万全な監督・管理ができる体制ではない。これが資源の流出を招く一因でもある。(毎日経済新聞=中国新聞社)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101021/mcb1010210500000-n1.htm

全輸出量の1/3もの密輸は密輸じゃなくて、ほぼ公式ルートだろ…。
政府が噛んでなければ2万トンもの密輸は不可能。
中国は、腐っているけど密告奨励の社会主義国なんだぜ?
おまけ。

ハイブリッド車(HV)や省エネ家電づくりに欠かせないレアアース(希土類)の取引を、中国企業側から一方的に破棄される日本企業が出ていることが20日、分かった。9月下旬以降、レアアースを扱う日本企業30社のうち中国から輸入できたのは2社だけ。民間の試算では、日本は来年、必要量の3割に当たる1万トンのレアアースが不足する見通しだという。
経済産業省の調べでは、日本の複数の企業が今月に入り、中国のレアアース供給会社から、輸出契約を破棄すると連絡を受けた。中国側は破棄する理由として、税関での荷物検査が長期化して船積みの見通しが立たないため、日本向けを他国の企業に割り当てたい、と言っているという。
また、ある大手商社は韓国などを経由して日本に輸入しようとしたが、中国企業は「発覚するのが怖い」とし、契約を断ってきたという。
レアアースの中国税関での手続き停止は、沖縄県尖閣諸島沖の漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の勾留(こうりゅう)延長が決まった2日後の9月21日に確認され、船長が釈放されると、手続きが再開された。
しかし、荷物の全量検査や、これまで必要なかった中国語による輸入申請書の提出などを求められる企業が相次ぎ、今度は企業が契約破棄の行動に出てきた。経産省は「辛うじて輸入できる企業もあるが、契約破棄が出る状況では、事態は今後悪化するだろう」(幹部)と懸念している。
日本のレアアース使用企業の中には、「11月初旬までに輸入できないと、操業を止めなければならない」と訴える液晶関連メーカーや、輸入に頼らずに済むように中国への工場移転を検討し始めたガラスメーカーなどもある。
日本向けが停止される以前から、中国は生産に伴う環境汚染の拡大などを理由に輸出を削減してきた。今年の輸出枠は前年比4割減の3万トン。大手商社の双日の試算では、来年の日本のレアアース需要は3万2千トンに上るが、ほぼ全量を中国に頼る調達は2万1800トンにとどまり、1万トンが不足する見通しだ。
世界生産の97%を占める中国の輸出抑制に伴い、レアアース価格は高騰している。大手商社のレアアース担当者は、「メーカーが製品にレアアース価格の上乗せをできなければ、経営にも影響が出るだろう」とみている。
中国は、政治的な動きだけでなく、資源市場での影響力強化も考えているようだ。
一方、中国政府は20日、「欧米への禁輸拡大」と報じたニューヨーク・タイムズ電子版に対し「事実関係を調査している」とコメント。「中国、来年は最大3割削減」とした19日の中国紙チャイナデーリーの報道には「まったく根拠がない」と激しく反応した。中国商務省は「限りある資源を守り、持続可能な発展を実現するために、レアアースの採掘、生産、輸出に対する規制措置を続ける。これらの措置は、世界貿易機関WTO)のルールに違反していない」と付け加え、「禁輸疑惑」を否定した。
同省によると、中国はレアアースの輸出では世界の9割以上を占めるが、備蓄では3割程度。チャイナデーリーは19日、同省関係者の話として「このままでは15〜20年で(中国の)備蓄が枯渇する」と、制限する事情を伝えている。(神谷毅、福山崇、北京=吉岡桂子)

http://www.asahi.com/business/update/1020/TKY201010200478.html

4月の段階で輸出量4割カットを中国は通告済みで、尖閣問題は9月に発生。
現時点ですぐにでも操業に問題が出るほどレアアースに困窮しているのは、チャイナリスクを全く考慮していなかった、潰れて当然のアホ企業だけだろ。
フジタ社員の報復逮捕という現実を見てなお、これから中国に工場移転とか、本気だとしたら従業員軽視にも程があるな。
中国は「日本に売らない」と言っているだけなので、まともな企業なら、ベトナムかインド辺りに工場を作って「中国から移転先の国が買ったレアアースを使って生産」するのが正しい選択になる。
また、来年末にはインドを始めとした諸外国のレアアース鉱山が稼動するので、2年程度の備蓄があれば余裕で乗り切れるはずで、10年も前からレアアースの輸入に関しては問題が指摘されていたのだから、その程度の備蓄もなしに経営してきた方が悪い。
そもそも、日本向けのレアアース輸出量が、何故世界消費量の過半を占めていたかを考えれば、日本への迂回も含めたレアアース禁輸って、誰得な話だと判りそうなもんなんだけど。
日本の素材技術があって初めてレアアースに価値が出るんであって、レアアース単体での需要は、決して多くない。
中国国内の消費は現時点ではほとんど存在しないからこその輸出量だった訳である。
ぶっちゃけ、このまま日本に禁輸して「他の国に割り当て」した所で、日本の年間需要4万トンのうち5割が密輸で賄われて、残りは備蓄の取り崩しで当面しのぎ、値上がりしていた価格も、諸外国での採掘が始まれば余りに余った中国産のおかけで適当な辺りで落ち着くというオチになりそう。
多少高くても安定供給される国から日本は買うから、中国産レアアースだけ売れなくて捨て値、見たいな事になったリして。
加えて、石油ショック後に日本が世界最高レベルの「エコ」国家になったように、今回の件で脱レアアースが一気に進むと思う。