gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

話題の“新OS”は「Androidと何が違うのか、さっぱり分からない」:日経ビジネスオンライン

Androidとは何が違うんでしょうか。お客様が見たときに何が違うのが、僕にはさっぱり分からない…」
こう語るのは、某日本メーカー関係者。「『Firefox OS』や『Tizen』についてどう思うか」と質問したときの本音だ。
(中略)
MWCでは、第3極のOSが盛り上がりを見せたが、一方で、それらから距離を置く日本メーカー関係者は「単なる技術ありきなので、Firefox OSやTizenに取り組む気はない」と冷ややかだ。
(中略)
実際にMWCの会場やイベント会場で、Firefox OSやTizenを搭載したスマートフォンを触ってみた。
(中略)
どちらもAndoridを後追いしているようなユーザーインターフェースで、特段、感動はない。
では、FirefoxOSやTizenをユーザーが選ぶ理由はどこにあるのか。こんな素直な疑問に対して、採用を決めたはずのNTTドコモKDDI関係者は、なぜか一瞬、口ごもる。
(中略)
顧客メリットを重視したというより、将来、何かの拍子に新OSに火が付いた場合、慌てるようなことがあってはならないので、ある種の“保険”をかけたといった印象だ。
(中略)
GALAXYシリーズが好調で、Android端末メーカーの中でも頂点に立つサムスン電子の幹部に、「なぜTizenをやるのか」とストレートに聞いてみた。すると「Androidだけに頼るのは危険。アップデートのタイミングも好き勝手に決められてしまう。我々はキャリアのために、キャリアフレンドリーなプラットフォームを作りたい」と語る。
では、肝心の「ユーザーがTizenを選ぶメリットはあるのか」と突っ込むと、こんな答えが返ってきた。
「ユーザーにとって、OSは関係ない。キャリアがAndroidiPhoneを採用しつづけていれば、“土管屋”になっていくのは明白だ。Tizenというキャリアのためのプラットフォームを構築することで、キャリアとして独自サービスも展開しやすくなり、いずれユーザーの利益につながるのではないか」
ユーザーにOSは関係ない…その通りかもしれないが、まずはキャリアの都合を最優先というわけだ。やはり今の段階では、ユーザーが置き去りにされている感が強い。
(中略)
いずれにせよ、Firefox OSやTizenが成功するには、いかに魅力的なコンテンツやサービスを集められるかにかかっている。サムスン電子幹部も「現在、AndoridやiOSに負けないよう、コンテンツを必死になって集めている段階だ」と語る。
(中略)
MWCでは、ブースなどを一切出展していなかったグーグルだが、関係者に話を聞くことができたので、率直に「Firefox OSとTizen、どう思う?」とぶつけてみた。すると「消費者にとって、選択肢が広がることは素晴らしいことではないか」と余裕を見せた。
(後略)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130321/245375/

ハードとOSをパッケージ売りしているアップルと同様に、自社でハードとOSをブランド化したい、と言う*1戦略を持っているサムスンはともかく、Firefox OS は他との差別化が出来ない限り、終了確定でしょ。
そもそも、携帯電話の基盤(OS)開発を独自に行っていたハードメーカー各社が、なんで一斉にAndoridへシフトしたのか、経緯を知っていれば、サムスンの行為の無意味さが判る。
単純に言えば、「OS開発コストが回収出来ないので儲からないから」だ。
スマートフォンのインターフェース基礎をiOSが開拓し、市場開拓者として大きな市場を得た後に、後追いでAndroidが登場した。*2
Androidは、Googleの巨大な資本を背景に、当時の常識からは考えられない無償のOSとして登場してハードメーカーを巻き込み、数年前にはiOSのシェアを塗り替え、最近ではiOSと比しても独自のメリットを提示できるまでの成熟を迎えた。
こんな事ができたのは、Andoridを自社の本業(検索エンジン)と親和性の高いシステムを、サービスとして無償提供できるという業種違いのメリットがあったからに他ならない。
Googleにしてみれば、iOSでもAndoridでもTizenでもFirefox OSでも、Googleのサービスを使ってくれるならば利益が出る(問題が無い)のだ。
一方、サムスンはアップルと同様の立場で競争するハードメーカーだ。
が、アップルと異なり、先行者特典(各種特許利益)は無く、スマートフォン市場で得ている知名度は、あくまでもAndorid端末メーカとしての知名度でしかない。
例えるなら、NECやSonyがいきなりWindows止めて、LinuxベースのオリジナルOSでパソコン売ります。とか言うようなもんである。
よっぽど「売り」となるオリジナルの機能やコンテンツが無い限り、売れるはずが無いのは、火を見るより明らかだろう。
そして、肝心のTizenだが、立ち消えになりかけた、LinuxベースのオープンソースOSとソフトウェアプラットフォームプロジェクトをサムスンが拾って使っている事を考えれば、そこに何のイノベーションも無い事が明確であり、最初から敗北が決まっているようなもんである。
そりゃ、どこのハードメーカーもマトモに扱うはずも無い。

*1:実現可否はともかく一応の

*2:Windows Mobileは組み込み系はともかく、一般にはそれほど普及しなかったので、ここでは横に置く