gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道 | 日本の防衛は大丈夫か | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

防衛省は本年度予算で10式戦車10両を102億円で要求した。陸上自衛隊は、平成23年(2011年)度末以降、この新しい戦車の配備を始めている。
結論から申し上げると、10式戦車の開発と調達はまったくのムダである。そもそも今日、陸上戦闘における戦車の優先順位はさほど高くない。多額の費用をかけて新しい戦車を導入するより、はるかに安価な既存の戦車の近代化で間に合う。防衛省は既存戦車と大同小異の新型戦車に大きな予算を使うことで陸自を弱体化させている。
(中略)
既存の戦車の近代化であれば、近代化の仕様にもよるが1000億円もあれば十分だ。
(中略)
陸自は約340両の90式戦車保有している。現防衛大綱では戦車の定数は300両であり、十分な数の90式が存在する。10式の調達を続けるということは、まだ十分に使える90式戦車を廃棄するということになる。
(中略)
10式戦車のような不要な装備の調達よりも、衛生など本来の戦力の基盤となるべきものに予算を使うべきだ。
(中略)
だが、これらは軽量化を除けば、既存の90式戦車の近代化で済んだ話だ。
(中略)
10式の採用後、90式のC4IR近代化を言い出した。10式を導入し、かつ戦車部隊をネットワーク化するためには既存戦車の近代化とそのための費用も必要だ。これもまた10式を導入するための間接的なコストとなる。だが、予算の不足でそれは実現しないかもしれない。
(中略)
10式の調達が完了する約30年の間、陸自戦車隊のネットワーク化は実現しない。
(中略)
74式や90式戦車の近代化をほとんど行っておらず、10式の近代化も同様に放置されるだろう。90式にネットワーク機能を付加し、センサー類を更新するなど最低限の近代化を行うならば、3億円もあれば十分だろう。
(中略)
そもそも近隣諸国は揚陸能力を有していない
(中略)
内地での90式の使い勝手が悪いのであれば、38トンの74式に、ネットワーク機能、増加装甲、センサー類の更新などを行えば済む話なのだ。
(後略)

http://toyokeizai.net/articles/-/66868

うわー、ここにも戦車不要論を拗らせたアホが…って、キヨやん。
10式が74式代替の本土で使える主力戦車、というコンセプトである以上、北海道でロシアとドンパチする事を前提として重たい90式を改修したところで軽くするにも限度があるし、あまりに旧式化していて装甲素材から全面的に見直す必要がある74式をベースに近代化なんて、作り直しに等しい大改修になるだろうから、10式を新規開発するのと大差ない。
あと、定数削減でまだまだ使える90式が廃棄される事は、個人的に自分もアレだとは思うけれど、海自・空自の割を食った分である以上、減らさなければそのまま防衛費増が必要になる。
とりま、まだまだ現役主力で通用する90式は、モスボールして屋内保存するだろうから、むしろ予備戦力の層が厚くなると考えれば、悪くない判断と言える。
あと、陸自の戦車の優先度をDisった後、貧弱な衛生キットを挙げて「戦力の基盤となるべきものに予算を使うべきだ(キリッ)」とか言っているが、戦車が弱ければ相手の戦車を撃破できないので、歩兵VS敵戦車となり、衛生キットを使う間もなく即死してしまう点は、どう考えているのだろうか。
74式代替の軽量な戦車がマストな要求なのに、軽量化を除けば90式の近代化でって、文盲か!?
更に、「年に平均15両の10式を調達するとして150億円。その予算があれば50両の90式の近代化が可能」というが、90式は全廃されるのに、その90式を改修して7年以内でネットワーク化するなんて方が、予算の無駄だろう。
少なくとも、直近10年内に中国が日本本土まで攻めてくる可能性は極めて低く*1、そのリスクが増大するのは米中戦力が逆転する2025年代以降だろう。
350両の退役予定な90式を増強して自己満足しておくぐらいなら、あと30年は使う予定の10式を150両増やした方が、どう考えてもお得である。
そして、中国も韓国もロシアも、十分な揚陸能力を有しているのに、何言ってんだこのキヨ。案件。
中国は台湾への揚陸に民間船活用を想定しており、それ以外にも近年の戦力近代化で日本以上の揚陸戦力を持っている。
韓国ですら、ドクト級の追加建造を発表済みで、ロシアはフランスからの購入がトラブったミストラル級を調達中である。
最後に…ほぼ半世紀前の74式を近代化改修って、74式戦車を鉄の棺桶にするつもりかと。
近代の主力戦車が、その重量を増やしていった大きく2つの理由が、
・砲撃能力の増強に伴う反動制御は、重い方が有利である。
・増大し続ける戦車砲の装甲貫通力に対抗する為、装甲重量がかさんだ。
というもの。
ハッキリ言って、砲撃力、耐久力の両面で、74式戦車は現用戦車として、既に戦力とは呼べない程に旧式化している。
主砲威力が既に仮想敵の主力戦車に通用しない。にも拘らず、相手の主砲は、正面で受けて止めても抜かれるのだ。
そんなブリキ缶を後生大事に改修して使えとか、人命軽視としか思えない点。
自衛官も日本国民で、納税者で、有権者だって事、忘れてるんじゃなかろうか。

*1:離島を巡る限定紛争はあり得るが…