gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

おーるじゃんる : 【画像】航空自衛隊のF15Jって強いの(・ω・)?

導入当時(80年代)は最強戦闘機と言っても過言ではないチート戦闘機だったよ。
ただ、1991年に登場した最新世代の中距離空対空ミサイル、AIM−120 AMRAAMの運用能力の有無ってのが、ミサイルキャリアーとしての戦闘機の価値を大きく分けてしまっている。
日本で、AMRAAM(と同世代のミサイル)運用能力を持つF15Jは、現時点で40機にも満たないし、更に言うなら、日本がF15Jの調達開始後にアメリカはF15の近代化改修(MISP)を実行している。
結果、日本の保有するF15Jは丁度半分くらいがPre−MSIP機と呼ばれる旧世代機となり、残り半分のJ−MSIPと呼ばれる近代改修機とで世代が大きく分断されており、AMRAAMを装備可能に改造できるのは、後者のみ。*1
つまり、日本のF15Jがクソ強かったのは、1990年代前半まで。
そして、実は2000年に調達開始したF2も、AMRAAMの運用能力を持たなかったりする。
理由は色々あるのだが、一つは当時、日本を敵対的貿易黒字国として仮想敵国にしていたアメリカが、AMRAAMを日本に供給しない可能性があったこと。
結果として、日本はF15、F2と続けて「AMRAAMの運用能力の無い旧式機」を配備し、AMRAAMを撃てるF16C/Dにも劣る空戦力を騙し騙し使っていたのが実情だったりする。*2
そして、日本は自力でAMRAAMに匹敵する最新世代のミサイル、AAM−4とAAM−5を開発して、後から装備できるように改造したのだが、失われた20年で景気どん底だった為に、改修費用が捻出できず、つい最近まで、AAM−4とAAM−5を撃てる機体は、全部で30機程度しか無かった。
ちなみに、韓国がKF16を導入したのは1994年で、当然ながらAMRAAMを運用可能である。*3
つまり、単純な戦力比較*4で日本の空自は、90年代後半から現在にかけて、韓国空軍にも劣る空戦力だった…というオチが付く。*5
余談だけど、ロシアと中国と言った共産圏が、AMRAAMと同世代の最新鋭空対空ミサイルR77を開発したのは92年。ただし旧ソビエト時代の遺産ともいうべきシロモノで、少量生産されたのち、改良型が本格的に量産再開したのは2009年になる。
ようするに、日本的には、対共産圏を念頭に置く限り、2009年頃までは戦力的に「問題なかった」と言っても過言ではない。
逆に言えば、中露が景気回復して軍拡をスタートした00年代後半から、日本はずっと航空劣勢状態である、という意味でもある。
さっさとF15J J−MSIP機のゴールデンイーグル化しろよ…。いやマジで。
…まあ、ゴールデンイーグル化しても、やっと中国のJ11B相当だし、中国がロシアから買う予定のSu35S相手だとかなり不利だから、F35がモノになるのであれば、そっちの追加調達も必要になるのだが。
F3はどんなに早くても次々FX(2030年代)だから、直近の戦力強化にはならんのよ。
逆に言うと、F35がコケた場合、F22を持つアメリカを除く西側諸国は次々と実戦配備されるだろう中露のステルス戦闘機相手に長い間、劣勢を強いられる事が確定する。

*1:Pre−MSIP機を改造すには、新規でF15を買うのと変わらない位の改修費用が掛かるので、費用的に改造不可という意味

*2:だから、今次FXで調達されるF35が最初からAMRAAMを撃てる自衛隊初…近代化改修したF15J形態二型でも撃てるけど、最初から撃てた訳ではない…の機体である。ただし、逆にAAM4とAAM5は撃てないけどなw

*3:もちろんF15Kも運用可能

*4:ミサイル性能を含めたミサイルキャリアーとしての戦闘力。格闘とかレーダーやアビオニクスの優劣とかは横に置く

*5:ただし、韓国空軍のAMRAAMはアメリカが管理しており、韓国が自由に使えない他、空中給油機を保有しないから航続距離的に、日本に攻めてくる能力は無かった。加えて、F15はF16よりレーダーが強力でAWACSを保有する日本の場合、確実に先手を取れるので、命中率にさえ目を瞑れば、旧世代の空対空ミサイルでも十分戦える能力はあると言えばある