gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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戦闘機は不要?再考迫られる台湾安全保障政策  WEDGE Infinity(ウェッジ)

ランド研究所のロストンボ上席アナリストが、4月13日付Difence Newsに「台湾はその防空戦略を再考するように求められている」との論説を書き、台湾は戦闘機ではなく、地対空ミサイルに重点をおいた防空戦略をとるべきである、と論じています。論旨は次の通り。
■中国から攻略されてしまった戦闘機
台湾の防空計画者は非常に困難な問題に直面している。中国は大きな軍を保有、過去25年それを近代化してきたが、それを抑止する能力を必要とする。近代戦では、制空権はそれ自体重要であるが、地上軍、海軍による作戦を可能にするものでもある。
台湾にとり重要な能力は中国人民解放軍の制空権を争う能力である。過去、台湾の防空の主力は戦闘機であった。これからも防空予算の大部分が戦闘機に振り向けられよう。しかし中国はこれらの戦闘機に対処する方策を見出しており、戦闘機は台湾の国防予算での高価なぜいたく品になっている。
台湾は戦闘機に頼る防空を超えた発想をすべきである。地対空ミサイルがより大きな防空能力を提供するし、将来へのより良い投資である。
中国は地上での台湾の航空機への脅威である。台湾の戦闘機は弾道ミサイル巡航ミサイル、航空機の攻撃に脆弱である。中国は正確なミサイルに投資してきた。
台湾は山に戦闘機を隠せるが、そこから持続的な作戦をすることはできない。中国はいまや飛行中の航空機を見つけ、着陸までフォローし、攻撃する能力を持つ。
空中でも、90年代に使われ始めた台湾の戦闘機は数的に劣勢、質的にも中国機に劣る。台湾はF-16を新しいレーダーなどで強化しているが、中国に後れを取っている。
台湾の戦闘機はもし人民解放軍が大規模攻撃に出た場合、大きな役割を果たせず、中国は簡単に空中優位を得るだろう。1991年の湾岸戦争は、空からの精密攻撃に対し地上軍(イラク軍)は生き残れないことを示した。中国が制空権をとれば、台湾国防軍の効果的活動は阻止されるだろう。台湾は空からの攻撃のない地域を、防衛のために必要とする。
投資すべきは戦闘機ではない
台湾が防空を再考、再構築する必要がある。台湾の300機以上の戦闘機は予算を大規模に消費しているが、地上でも空中でも防空の主力にはならない。
台湾はどうすればいいのか。地対空ミサイルは完全な解決策ではない。しかし戦闘機よりも残存性が高く、中国の空中優位を争える。固定目標を守れなくとも、攻撃のコストを高くできるし、台湾の他の軍種を中国の空中攻撃から守りうる。
今後、台湾は防空のために相当な投資をするだろう。これらの投資を戦闘機よりも地対空ミサイルに向けるべきであろう。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6801

なんか、極論が来るのかなーとか思ったら、案外まともな論旨だった。
ぶっちゃけると、中国軍の戦闘機と戦闘機で空中戦とか、国力に差があり過ぎて、台湾にとっては「ぜいたく」だから、アメリカ売出し中の「イージス・アショア(陸上型イージス)」を装備して、防御専門装備に特化する事で対抗したらどうか、と言う話。
なんで、戦闘機同士の空中戦が「ぜいたく」かと言うと、戦闘機と言う物は「攻守」両方に使える汎用兵器であり、敵基地まで前進して攻撃する能力を持つ。
その分、高価で脆い。
対して、防御に特化した地上施設であるイージス・アショアなら、防御に関しては戦闘機とは比較にならない程に堅牢で、レーダー探知距離も長く、発射できる地対空ミサイルの数も桁違いになる。
代わりに、防御拠点を変更したり、敵基地まで前進攻撃するような汎用性は皆無になる。
もう、軍事費ベースで数十倍に達する中台間で、台湾が中国に逆侵攻とか不可能だし、戦闘機なんて「ぜいたく」品を買うぐらいなら、イージス・アショアにしとけって、話なのだ。
ただし、あくまでも「よりマシ」になるだけで、特効薬って話でもない。
日本を見れば判るが、敵基地を殴りつける能力の無い軍隊なんてものは、延々と一方的に殴り続けられて、そのうちに殴り殺される事が決まっているのだ。
籠城の大前提は、「援軍が来る事」だから、こうした防御的な兵器を売りつけるアメリカの戦略は、言うまでも無く日台の防衛をアメリカ軍に依存させ、言う事を聞かせる事にある。
また、あくまでも中国相手だから一方的に負けるけど、それ以外の国相手なら、十分に大きな戦力になる。
日本の防衛装備が、文字通り専守防衛用の偏った装備なのにも拘らず、使い方次第では、中小国相手なら殴り勝ててしまう潜在力はあるように。