gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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みちびき2号機打ち上げ成功…日本版GPS向け : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

日本版GPS(全地球測位システム)の構築を目指す準天頂衛星「みちびき」2号機を載せた大型ロケット「H2A」34号機が1日午前9時17分、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子みなみたね町)から打ち上げられた。
打ち上げ主体の三菱重工業などによると、みちびきは約28分後に分離、予定の軌道に投入された。
みちびきは、宇宙から電波を送って地上の位置を正確に測るための人工衛星で、内閣府が運用する。打ち上げは2010年9月の1号機以来約7年ぶり。政府は、年内に3、4号機も打ち上げ、誤差6センチ以内という世界最高レベルの精度での位置測定が常時できる体制を整える。18年度から本格運用を始める計画だ。
(後略)

http://www.yomiuri.co.jp/science/20170601-OYT1T50022.html

これはこれで必要なインフラだと思うので、成功は目出度い。
準天頂衛星だが、かつてはアメリカのGPS一択だった衛星測位システムは、ロシアのGLONASS、中国の北斗、インドのIRNSS、欧州連合のGalileoと、複数勢力が独自に運用を進められるようになり、「有事における特定国のインフラに依存」という問題は大幅に緩和されている。
ぶっちゃけ、世界中全てを敵に回すのでもなければ、上記のどこかの国の衛星測位システムを利用できるのだ。
結果的に、アメリカの測位衛星以外も勘定に入れられるなら、平時に於いては「常時1基は上空に居られる」という準天頂衛星の価値は、大きく下落しているのが実情だったりする。
その為、日本の準天頂衛星は、精度を売りにしている事が多いのだが、一つでも多くの測位衛星を拾って補完すれば、精度はかなり上げられるので、「平時運用だけ」を考えるなら、中露の測位衛星を並行利用できるようにした方が、よっぽど効率は良い訳である。
更に言うと、高精度を出す為のL6信号は、通常のGPS機器では受信できないので、既存のスマホやカーナビなんかは、別に精度向上しないという罠。
ではなぜ、日本は官民協業では採算が取れないと判明した、金にならない準天頂衛星事業を100%税金で進めるようになったかと言うと、国防上の必要性が高まったからである。
有事には、ロシアのGLONASSと中国の北斗は使えなくなるし、欧州連合のGalileoは全地球測位システムになったものの、アジア地域で捕捉できる測位衛星数は多い訳じゃない。
となれば、アメリカの測位衛星を補完できる準天頂衛星は、日本近傍でGPS誘導兵器を運用するなら、無くてはならない重要なインフラとなるのだ。
とはいえ、現状ではアメリカのGPS衛星の補完という位置づけでしかなく、10年しか寿命の無い測位衛星を常時4機の打ち上げておく必要があり、金もかかる。
日本の宇宙産業が「軍事」を長らく排除していた結果ではあるが、泥縄感の強い話ではあるなぁ。