gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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攻撃ヘリコプター「アパッチ」にレーザー兵器を搭載する試験に米軍が成功、実戦投入は近いとの予想も - GIGAZINE

アメリカ軍が運用する攻撃ヘリコプター「AH-64 アパッチ」に、レーザー兵器を搭載する試験が行われ、成功しました。レーザー兵器で武装したアパッチの実戦配備は、比較的速やかに行われると見られています。
(中略)
レーザー攻撃を想定したイメージ映像はこんな感じ。アパッチに搭載したレーザー砲は、ヘリから直線距離で1.4キロメートルの範囲にあるターゲットを攻撃できるとのこと。
(中略)
攻撃ヘリに搭載できるミサイルにはサイズの制約があり、ターゲットに近づきすぎると攻撃ヘリ自体が対空誘導弾などで撃退される危険があります。また、上空高くからの爆弾を使った攻撃ではターゲットを絞り込むことが難しく誤爆を伴いやすいという問題もあるとのこと。このため、攻撃ヘリの攻撃力を高める手段としてレーザー兵器は非常に理にかなっており、今回アパッチに装備されたサイズのレーザー兵器であれば、他のヘリコプターへの転用も比較的容易であることから、ヘリコプター用レーザー兵器の開発は活発化しているようです。
(後略)

http://gigazine.net/news/20170627-laser-helicopter/

うーん、主要攻撃兵装としてのレーザーは、小型で相応の出力しかない場合、あんまり筋が良いとは言い難いんだがなぁ。
まず、主力戦車はもちろん、トーチカなどの構造物破壊にも向かないし、射程が1.4km程度なら、歩兵でも持てる短SAMの射程圏内だから、歩兵や軽装甲目標が相手でもリスクがある距離になる。
そもそも、アパッチに搭載されているM230機関砲の最大射程が4.5km、ヘルファイア対戦車ミサイル化が8km、スティンガー対空ミサイルが4.8kmで、レーザーが最も有効射程が短い事が判るだろう。
だから、記事にある「ターゲットに近づきすぎると攻撃ヘリ自体が対空誘導弾などで撃退される危険」は、むしろレーザー搭載型の方が高まるのである。
これらの事実を纏めると、レーザーの利点は、一発当たりの単価がヘルファイアやスティンガーより安い事ぐらいで、対戦車用にレーザーの威力が高いとも思えないので、威力的に代替できそうなのは対空用としてのスティンガーくらいだけど、射程が短か過ぎる。
つまり、どちらの代替にもならない。
では、M230機関砲の代替?
それこそ、まさかだろう。
射程にも威力にも劣り、価格的な優位はミサイル程に大きくないのだから。
結論から言うと、攻撃ヘリにとって、新しいユニークな位置づけの装備となる。
だから、今まで通りにM230機関砲もヘルファイアもスティンガーも装備するし、それらの置き換え用途の兵器ではない、と言う事だ。
恐らくは、無人の攻撃ドローン兵器を、安価に叩き落とす為に使われるんじゃないかな…。
M230機関砲の搭載弾数は1200発程度しかなく、2分以下で全弾撃ち尽くしてしまう。
安価なドローン兵器が10機も飛んできたら、それだけで撃ち尽くしてしまうだろう。
対してレーザーなら、1発でドローン兵器を撃墜でき、恐らく10発程度は撃てるだろうから、高価なスティンガーを使う必要も無く、M230機関砲は対地攻撃に専念できるようになる。
これが想定される用途なんじゃないかなぁ…。
ただ、その場合は軽車両にも搭載できるタイプも出て来る事が予想されるんだけど、多分アパッチは最初からマルチモードのレーダーを搭載しているから、レーザー本体だけの搭載で使えるってのが、売りなんじゃないかと。
…その場合、レーダーを搭載していない汎用ヘリには使えないよなぁ。