gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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CNN.co.jp : 難病の英乳児、両親が法廷闘争を断念 治療は「手遅れ」

(CNN) 先天性の難病で尊厳死論争の渦中にある英国の乳児、チャーリー・ガードちゃんの両親は24日、米国での治療をめぐる法廷闘争を断念すると発表した。
チャーリーちゃんは先天性の難病「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」と診断され、生命維持装置をつけた状態でロンドン市内の病院に入院中。病院側が尊厳死を提案したのに対し、両親は米国で実験的な治療を受けさせようと、英高等法院で争っていた。
弁護士が高等法院に伝えたところによると、両親は最新の検査結果を知って決断した。高等法院はこれを受け、改めて延命措置中止の判断を下した。
先週ロンドンを訪れた米コロンビア大学の専門医、平野道雄博士らが要請した全身の磁気共鳴断層撮影(MRI)検査で筋肉の消耗状態が判明し、すでに手遅れだということが確認されたという。
弁護士らは、実験的治療がもっと早い時期に提案されていれば希望はあったかもしれないと指摘した。
高等法院の判事は両親の献身に敬意を表し、事情を知らない第三者が口をはさむべきではないと強調した。
両親は悲痛な表情で、今後は同じ病気の子どもが手遅れになる前に治療を受けられるよう力を尽くしたいとコメント。
チャーリーちゃんは来月4日の1歳の誕生日を迎えることができないだろうとしたうえで、「かけがえのない最後の時間を息子とともに過ごすつもりだ」と語った。

https://www.cnn.co.jp/world/35104710.html

これは難しい問題だと思う。
日本の地裁が連発する頭のおかしい判決とは異なり、どちらの側にも理がある話だから。
まず、病院側が尊厳死を勧める、という事は、乳児への治療に対する見込みが絶望的だった事、そして延命するだけで数多くの困難がある状態だったことが判る。
アメリカから提示された実験的な治療だが、一度ならず裁判所が棄却するという事は、その内容に成功の見込みがごく低いと判断せざるを得ないものだったのだろう。
一方、両親からすれば、確実に目の前に死が迫っている子供に対して、本当にゼロに等しい確率だとしても、延命の可能性があるなら、それに縋りたい、と言う情は判る。
その為に数億円と言う膨大な医療費がかかろうとも、成功したとしてもただ、子供の苦しみに満ちた生を引き延ばすだけだとしても、死んでしまえば何の救いも無い、そういう考えも判るからだ。
と言う訳で、少し情報を集めてみたのだが…
「実験的な治療」と呼ばれているヌクレオシド・バイパス療法は、病気の為に自分で生成できない体内物質を外から補い、自発的な物質生成を補助するというもので、効果が出るまでに時間が掛かるとされ、その時間が、乳児には無い。(仮に、生後間もなくこの治療を受けていたとしても、時間が足りないレベル)
そもそも、この治療法を受けているアメリカの患者に、ここまで重篤な症状の患者は居ないのだ。
次に、乳児は心臓は動いているが、脳に不可逆的な障害を負っており、手足は動かず、耳は聞こえず、人工呼吸器が無ければ呼吸も出来ない。更に重度なてんかん発作を繰り返している。
なので、もしヌクレオシド・バイパス療法が成功したとしても、その効果が出るまでの長い間、延命の為の苦しみと戦い続ける事になり、成功した後には、手足のリハビリ、てんかん症状の緩和などなど、越えなければならないハードルは多く、高い。
あくまでも個人的な意見だが、この状況で苦しむ子供の延命を強行するのは、親のエゴだとしか思えないし、既に脳損傷を負い、回復の見込みが無い1人の乳児に130万ポンド(1億9000万円)もの寄付が集められるのに、イギリス国内に在住する貧しくて、適切な高度治療を受けられない数十万人もの移民には、石と罵詈雑言しか集められない欧米人の「慈悲と無慈悲のバランス」について、改めて歪んでいると思う。
不法滞在から居座った連中がデカい顔をしている日本と違って、欧米は好き好んで移民を受け入れて労働人口を確保し、その利益を享受したんだから、同権を認めないのがおかしいのだし。
話が逸れたが、この裁判で浪費したのは、子供の寿命ではなく、歪んだ人権意識を満足させる為に騒いだ連中を抑える為に、苦労した裁判と審議に掛かったリソースではないのか、と思わなくも無い。