gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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習近平の困った世界観で、日本が想定しておくべき悪夢のシナリオ(笠原 敏彦) | 現代ビジネス | 講談社

中国の習近平国家主席は先の第19回共産党大会の政治報告で「社会主義近代化強国」路線を打ち出した。
その演説内容を読んで驚くのは、軍事大国化の飽くなき追求と、中国を中心とした世界秩序再編への強い国家意思である。
プロパガンダ色の強い演説ではあっても、この演説には「国益」の追求を越えたものを感じる。それは、19世紀半ばのアヘン戦争に始まり、日欧の列強に国土を蹂躙され続けた「屈辱の世紀」へのリベンジである。
そうした情念的な国家意思が、今後数十年に及ぶ中国の進路を示した重要演説で露骨に示されたことに驚かざるを得ないのである。
習近平思想」は、「新時代」を導く指針として党規約という憲法に明記された。
報道では、習主席が3期目を目指すかどうかという点に焦点が当たっているが、憲法に名前が刻まれたことのポイントは、習氏が生きている限り、その役職には関係なく、誰も彼には反対できないということだろう。
そうした重みを持つ習演説から国際情勢の行方を読み解いてみたい。
(中略)
習氏は、「中華民族の偉大な復興」「中国の特色ある社会主義」「強軍」という言葉をこれでもかというぐらいに繰り返している。
(中略)
習演説は、中国自身が「作られる側」から「作る側」に回ることを宣言した明確な転換点と言えるだろう。
そして、その意味するところは、アメリカとイギリスが中心になって築き上げてきた自由民主義体制を本流とする国際秩序への挑戦だということだ。
アングロサクソン的国際秩序には過去三度の挑戦があり、いずれも米英陣営側の完膚なきまでの勝利に終わっている。
(中略)
中国、そして一党独裁体制の死守を目指す中国共産党にとってみれば、こうした歴史認識こそが屈辱的なのだろう。
(中略)
現実に進んでいるのは、「社会主義市場経済」(中国の特色ある社会主義の核心)を掲げる中国と、「リベラルな市場経済」(トランプ大統領はこれを覆そうとしているが)を引っ張ってきたアメリカとの陣取り合戦である。
それでもこの戦いが大きな意味を持つのは、誰のルールが国際社会で汎用するのかという重大な争点を秘めているからである。
(中略)
日本にとって最も悩ましい「強軍」と「ナショナリズム」についてである。
習氏は演説で以下のように述べている。
“訓練と戦争準備を強化し、海上の権益維持を有効に遂行し、軍事闘争の準備は重大な進展を遂げた”“今世紀中頃までに人民の軍隊を世界一流の軍隊にする”
中国は世界最強レベルの軍事力を目指す方針を明示したわけである。
(中略)
日本は今後、日米同盟の耐久性と信頼性を測りながら、いかに激変が想定される東アジアの軍事的パワー・バランスに万全を期していくのか。非常に困難なかじ取りを求められることは間違いない。
(中略)
台頭する中国の国際秩序における意味合いは、米中の覇権争いという文脈で語られることが多い。
(中略)
習氏が「中華民族の偉大な復興」をアピールするとき、その根底にある歴史認識が刺激する中国ナショナリズムの最大の矛先が向かうのは、歴史的経緯から、アメリカではなく、日本の可能性が高いということである。
(中略)
日本と中国の双方が危機管理の面からも真剣に意思疎通を深める時期にきているのではないだろうか。
(後略)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53358

いやいや、3期目を疑われるのは、後継者を指名できるほどの基盤が無かったからだし、名前を党規約に入れたと言っても、過去2代の功績多大な主席より下、と言う位置づけで無理やり入れた奴だから、「習氏が生きている限り、その役職には関係なく、誰も彼には反対できない」ってのは、言い過ぎだと思う。
そして、記事で懸念している通り、北朝鮮問題が片付けば、アメリカと中国の対立は鮮明化するだろう。
結果、中国は日米を離間させて、「日本を叩き潰す」か「日本を取り込む」かの選択をする事になる。
バブルの高揚感で調子に乗った中国人だと、日本を叩き潰す選択を選ぶ公算が高いが、実の所アメリカにとって最悪のシナリオは、日中が融和的な接近を果たして、アメリカに対抗すると言う物だったりする。
その点で、反日の毒がキマって調子に乗った中国人が、日本なぞ台湾と一緒に叩き潰して併呑してしまえ、と言う世論になればなる程に、日本にとって日米同盟が重要になるから、笑いが止まらない。
逆に、しばしば冷静に日中関係を改善する意図を持って流されるニュースの方が、警戒されるのである。
真面目な話、日本としても、国体の維持と国民の生命財産さえ担保してくれるなら、後ろ盾は米中露どれでも良い、というビックパワーの境界線にある国としては当然の想いはあるのだ。
ただ、過去70年に及ぶ日米関係の積み重ねに対して、日中国交樹立から一貫して不誠実が際立つ中国や、ソビエト時代から条約破りの常連であるロシアが相手では、話にならないレベルで信用できないから、検討するまでも無く却下なだけで。