gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ゴア米元副大統領が日本批判 途上国の石炭火力支援巡り:朝日新聞デジタル

地球温暖化対策への貢献で2007年にノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア元米副大統領が来日し、朝日新聞などのインタビューに応じた。日本が途上国の石炭火力発電所建設を支援していることにふれ、「ショッキングだ」と懸念を表明。トランプ大統領がパリ協定から離脱すると表明したことについて、「それでも米国内の対策は進む」と見通しを語った。
ゴア氏は、約10年前に世界的に大ヒットしたドキュメンタリー映画不都合な真実」の続編が17日から日本で公開されるのに合わせて訪日した。
日本が国内だけでなく、インドネシアなど途上国で石炭火力建設を支援していることについて、ゴア氏は「日本国民の税金を汚い石炭に投入するのはやめるべきだ」と批判。環境負荷を抑えた次世代型を建設することについては、「効率がいいと言っても5%ほどで、やはり温暖化を悪化させる」。中国が再生可能エネルギーへの転換で主導権を狙っているとして、「世界から悪く見られることは、いまの日本にとって得策だろうか? 私が日本人なら違う答えを示すだろう」と語った。
(後略)

http://www.asahi.com/articles/ASKC27WP6KC2ULBJ01C.html

ちなみに「効率がいいと言っても5%ほど」という話だが、米国と比べると「8%」近い効率差があり、日本の次に効率が良い英国と比べて「5%」なのだ。
効率が悪いインドや欧州全体に比べると、「10%」近い差になっている。*1
随分と、恣意的な誘導だよね…。
まあ、最新の石炭火力でも、石油火力程度のCO2排出量に抑えるのが精々で、そもそも「燃焼」を伴う火力発電は、原子力自然エネルギー由来の燃焼を伴わない発電に比べたら、桁違いにCO2排出する為、全く勝負にならないのも事実。
本来なら、日本が原子力発電の輸出でリードする筈だったのが、福一の事故で放射脳が過剰に原子力を叩き、過剰な保護条件を突き付けた結果、次世代原子力で一儲けするはずだった東芝は、お値段据え置きで過剰な保護条件を満たす羽目になり、アメリカでの原発で大赤字を出す羽目になった上に、輸出も難しくなった。
せめて、国内で新規建造があれば良かったのだが、国内では未だに既存原発の再稼働すら遅々として進まない。
お陰で、中国が一気に原子力発電の担い手として躍進する結果となった。
大量需要によるスケールメリット効果で製造コストの低減、技術的蓄積による効率向上のお陰で、再エネ発電は、コスト的に良好なレベルに到達もしてはいるが、実際の所、効率向上の多くは「今現在、最も効率の良い場所を食い潰しているだけ」であり、世界中どこでも同じ効率が出せる原子力や火力と異なり、立地や気象条件で悪い場所にも建てるようになれば、コスト的な向上が進む筈も無く、ここ10年の効率向上がそのまま進むような楽観はできない。
エネルギーの安定供給と言う観点から、原発か火力がベース電源として必須で、その上で再エネが積み増しされるべきなのに、金も技術も無い途上国に、いきなり原発を建てるのは、建造から燃料調達、維持まで先進国が搾取するという前提の、駄目な支援の典型になる。
対して、埋蔵分布が世界中に広がっていて、埋蔵量も採掘量も途上国程に多い傾向がある石炭なら、建造は先進国でも、その燃料調達は自前で、維持もある程度は任せる事ができるだろう。
エネルギーの自給は、国家の生存に関わる重大事なのに、それを先進国に依存させようっていう発想がまず、腐っている。
ノーベル平和賞の受賞者って、マジクソしか居ない法則ってあるのかもなぁ…。

*1:中国は2006年頃から最新石炭火力の導入を進めたので、アメリカを2011年に追い越している