gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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零戦、売ります! 唯一の日本人零戦オーナーが決意のお願い (文春オンライン) - Yahoo!ニュース

かつての日本海軍主力戦闘機・零戦を、日本人で唯一保有している人がいる。36年海外在住の石塚政秀さん、56歳。今年6月、72年ぶりに東京湾上空を飛行し話題となったが、「零戦を売ります」という。でも、お高いんでしょう?
(中略)
石塚 本業のファッション・ブランドの経営も厳しい中で、もうお金の限界です。零戦を日本で維持管理するには、ざっと年間2000万円かかるんです。保険で1000万円、駐機代に整備費、確認飛行にかかる費用で1000万円。私はこの零戦を2008年に購入し、10年間私財を費やして維持してきましたが、もうこれ以上は無理というところまできました。海外での会社経営から購入した自宅も牧場も車も所有していた船も売却してしまいました。
(中略)
――さて、気になるお値段ですが、お高いんでしょう?
石塚 日本にこの近代産業技術遺産を残していただける方ならば、相互に納得できる値段でお譲りしたいです。まずは4億円から交渉を始められたらと思っています。
(後略)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171106-00004750-bunshun-soci

予想通りの結果になったな、としか。
普通のセスナの場合、保険料コミコミで年間200〜300万円の維持費がかかると言う。
それと比べると、6〜10倍もの費用が掛かっているのは、現代の安全基準に満たない古い軍用機だから、あらゆる費用が高くなっていると思われ。
飛ばさないなら、保険料1000万/年はカットできるけど、使わない機械はあっという間に劣化して行くから、多分1年も飛ばさなければ、再飛行に必要な整備にまた数千万は掛かるんじゃないかね…。
というか、「また」日本人に飛行可能な機体を渡したら、飛べなくされた!という恥を繰り返したくないので、国内で引き取り手が居ないなら、海外のコレクターの手に渡った方がマシだとすら思う。
閑話休題(それはさておき)
国土が狭い上に平地が少なく、高温多湿の日本国内で、屋内保管が必須な巨大技術遺産ってのは、とても金が掛かる。
美術館とか博物館、と簡単に言うが、そもそも美術館とか博物館というものは、寄付金が無ければ赤字必至の「公金で運用される文化施設」であり、今現在の規模でもヒーヒー言いながら維持しているのが現実。
そんな状況で、購入に4億、維持に年間2千万円も出せる博物館なんて、日本には存在しないだろう。
仮に、無料で譲渡しますと言われても、維持費の捻出すらままならないのだ。
かといって、個人で維持するのが不可能なのは、図らずもこの人が証明している。
大衆芸術だった浮世絵もそうだったけど、江戸の昔から、日本人の金持ちは、基本的に自分で価値のあるものを見出す事が出来ないし、既存の価値を追認する事しか能が無い俗物が大部分を占めているので、この手の文化的意義と言う物に金を出す奴は殆ど居ない。
居ても、少数派だから、2代目には引き継がれず、ポシャる。
昔だったら、そのまま金持ちの土蔵にぶち込まれて、埃まみれでも数百年後の後代に残ったりするのだが、現代の技術遺産は、それではまともに後代に残らない程度には、「複雑で壊れやすい」からしょうがない。
アキラメロン。