gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国の空母建造費は5100億円ほどらしい… : 大艦巨砲主義!

2018年1月24日、新浪に、中国の空母・遼寧号の維持費について紹介する記事が掲載された。
記事は、「中国初の国産空母002型の建設が順調に進んでおり、問題がなければ今年2月にも試験航海をする予定だ」と紹介。そのうえで、空母建設にかかる費用について説明した。
ロシアの専門家は「002型空母の建設費用は700億元(約1兆1900億円)に上る可能性がある」と分析しているという。しかし記事は、「これは少々誇張した金額で、控えめに見積もって300億元(約5100億円)ほどだろう」と予測した。
そのうえで、「空母は建設費のみならず、維持費も相当かかる」と指摘。例えば、すでに就役している空母・遼寧号の場合、燃料搭載量が6000から8000トンになるが、8000トン入れたとすると、重油代だけで3000万元(約5億1000億円)にもなると分析。1回の航海が1カ月ほどであった場合、燃料費だけで6000万元ほど(約10億2000万円)になり、「このような費用を負担できる国がどれほどあるだろうか」と問いかけた。
さらに、空母にかかる費用は空母の燃料費のみならず、艦載機の燃料、乗組員の食費やその他の日常の維持費も加わり、その額は莫大になると指摘。米国のミニッツ級空母の場合、年間140億元(約2380億円)かかると言われており、30年間就役すると、その額は4200億元(約7兆1400億円)にもなると伝えた。
しかも、空母は1隻で出航するわけではなく、空母艦隊を編成して十数隻の船が連なるため、これらの燃料費や維持費を加えると、1つの空母艦隊で年間少なくとも200億元(約3400億円)はかかると計算。「金食い虫」と言われるのももっともだと結んだ。(翻訳・編集/山中)

http://www.recordchina.co.jp/b562127-s0-c10.html

通常動力だし、超大型船舶では一般的な手法だけれど、ブロック建造法で部品を繋げるだけの、タンカーとかと同じ作り方で、中国は慣れっこだし、設計は遼寧からの焼き直しだし、中国にとってオーバーテクノロジーの産物である高圧蒸気タービンエンジンの代わりに、ディーゼルエレクトリックによる電気駆動と、既存技術の延長で手堅く作っている。
代わりに、蒸気カタパルトは搭載できず、性能的には遼寧と同等レベルに収まっている。*1
この性能なら、1隻5100億円と言われて、まあ、そんなもんかって感じ。
運用費については、今更何をって言うか、世界最大最強の軍事国家アメリカですら、増やすのを躊躇するぐらい金のかかる空母機動艦隊やで?
空母機動艦隊1個艦隊の維持費が年間1兆円以上って言われるのは、伊達じゃない。
年間5兆円しか防衛予算の無い日本が、正規空母を含む空母機動艦隊を編成するつもりなら、軍事予算を最低4倍くらいに増やさないと、お話にならない。*2
中国の空母機動艦隊の年間維持費、「年間少なくとも200億元(約3400億円)」ってのは、記事の表現を借りるなら、「これは少々控えめに見積もり過ぎた金額」と言うべきだろう。
そして、中国は通常動力型を4隻(2隻建造中1隻は艤装中、未確認だが、残りの2隻も起工したとか…)、原子力動力型を2隻建造予定(1隻は既に起工したとの噂もある)である。
経済失速しつつあるし、普通に、維持費で死ぬんじゃないかな…。
余談だが、中国では002型と呼ばれているが、日本や西側では遼寧コピーなので001A型(山東艦カッコ仮名)と呼ばれている。
上海で同時期に建造を始めた、純粋な中国国産空母である002型(広東艦カッコ仮名。中国では003型と呼称)は、「蒸気カタパルト搭載艦」と噂されていたが、どうにも蒸気カタパルトの開発に失敗したらしく、同時に研究を進めていた電磁式カタパルトを搭載するのではないか、と路線変更している。
中国系アメリカ人エンジニアがアメリカの防衛機密を盗んで中国に持ち込んだものの中に、電磁式カタパルトの技術が含まれていたんだとか。
ただし、ジェラルド・R・フォード級航空母艦に採用された電磁式カタパルトだけど、2010年の時点で試験中だったし、情報が盗まれたのはもっと前なので、当然だけど、未完成。
そして、001A型や002型が起工した2015年時点でも、中国では電磁式カタパルトをコピーできなかったからこそ、002型は蒸気式カタパルト搭載型で計画された訳で。
下手すると、上海で建造中の002型も、カタパルト無しじゃないのかねぇ…。
蒸気式にしろ、電磁式にしろ、カタパルトは20トン前後の重量物を、たった百数十メートルで時速250km以上に加速する性能が求められる。
それに使用されるエネルギーは膨大だ。(しかも、短時間に何度も使用する)
原子力動力で、最初から電磁式カタパルトやら、将来的にレールガン搭載までを見込んで電力に余裕があるジェラルド・R・フォード級はともかく、当初は蒸気式カタパルトを想定していた001A型や002型に、それだけの電力的な余裕があるのか、と言う疑問。
そして、それだけのエネルギーを伝える為のカタパルトは、甲板に埋め込まれるように設置されており、簡単には修理が出来ないし、空母自身がそうそう長期のドック入りが出来ない為、高い耐久性が求められる。
ぶっちゃけ、冶金技術で世界屈指のロシアですら、蒸気式カタパルトは実用レベルで完成させる事は出来なかった訳で、素材技術では遅れている中国が、高耐久のカタパルトを開発できるとは思え無い。
もしかして、耐久性を度外視して無理矢理、未完成で搭載して、頻繁に修理する運用をするつもりだとか…。
中国の記事によると、001A型には1基、002型には4基の電磁式カタパルトを搭載という話。
前者はスキージャンプ型なので、アングルドデッキに1基だけ付けるものと思われる。
そして、最初からカタパルト搭載艦してスキージャンプを持たない002型は、ニミッツ級と同じく、飛行甲板前方に2基とアングルドデッキに2基つける予定なのかな?
何にせよ、最低限完成してみないと、中国の場合、割と嘘・大袈裟・紛らわしい、欺瞞情報も多いので、何も判らんとしか。
実際、完成して実戦配備を豪語した筈のJ20なんか、飛んでくる事すら無いから、本当にステルス機なのかすら、未だ未知数ってぐらいだし。

*1:元の航空重巡洋艦から、純粋な正規空母へと最適化したので、最大運用機数は上がる

*2:F35Bをいずも型で運用ってのを、筋が良くないって思う理由の一つである