gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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陸自ヘリ墜落事故で考える、現代戦に求められる戦闘ヘリの条件 | 文春オンライン

(前略)
この墜落したAH-64D。実はかねてより、今回の事故とは別に、その存在意義に関わる問題を抱えていた。本稿では、その問題について紹介したい。
(中略)
AH-64D戦闘ヘリの調達が決定したのは2001年の8月。1979年に調達が始まってから20年以上が経過し、退役が始まっていたAH-1S対戦車ヘリコプター92機の後継として、62機が調達されることになっていた。2006年3月には日本でライセンス生産を行う富士重工から初号機が納入されたが、調達ペースは遅々としたもので、2008年には調達の打ち切りが事実上決定している。
(中略)
後継のはずだったAH-64Dの調達打ち切りにより、戦闘ヘリの総数は減る一方で、かつては90機5個飛行隊あった対戦車ヘリ隊(AH-64Dは戦闘ヘリと呼称し、AH-1Sは対戦車ヘリと呼称していた)も、それまでの規模の維持はできない。そして、AH-64Dの代わりをどうするかも、10年近く決まっていない。
(中略)
戦闘ヘリという存在自体が、現代の戦場で存在意義を問われていて、AH-1S後継が10年宙に浮いている問題を難しくしているのではないかと考えられる。
(中略)
湾岸戦争で500両以上の戦車を撃破するなど、AH-64は特筆すべき活躍を見せている。
ところが、湾岸戦争の続きとも言える2003年のイラク戦争では、戦闘ヘリは大きな損害を出している。イラク軍のメディナ師団攻撃に向かった30機のAH-64Dのうち、同師団の猛烈な対空攻撃を受けて1機が不時着。残る29機中28機が損傷するという大打撃を受けている。現代的な軍隊と対峙した際、戦闘ヘリがいかに脆弱な存在かを物語っている。
(中略)
ヘリはその優れた特性と引き換えに、固定翼機に比して脆弱な存在なのだ。
そして、戦闘ヘリの価格が戦闘機に準じるものになった今、純粋にCAS用途で、高価で脆弱な戦闘ヘリを使うのは躊躇するだろう。
(中略)
しかし、いかに脆弱な存在だと言っても、現状で戦闘ヘリにすぐに代替可能な決定打と言えるものが存在しないのも事実だ。
(後略)

http://bunshun.jp/articles/-/6205

そーなんよねぇ…武装ヘリによる対地攻撃力は、殆ど圧倒的と言って良く、時速300km/hという高速で遠隔地に展開できる能力と合わせて、その脆弱さと高価さを除けば、対歩兵、対軽装甲、対戦車と、あらゆる対地目標に対して、迅速に展開して、迅速に刈り取る事が出来る凶悪な兵器だ。
目標が有効な対空装備を持って居なければ、もう一方的に殺戮し放題ってぐらいに強い。
日本の様に海岸線が長く、敵上陸位置を特定できない場合、良くあるだろう、敵上陸位置を読み違え、防御の薄い場所に、直接上陸された場合など、攻撃ヘリの部隊が手元にあれば、その犠牲と引き換えに、ミスを取り戻す事が出来る可能性は極めて高い。
つまり、「備えあれば憂いなし」って類の部隊。
戦争なんて、想定外の塊のようなカオスであり、「ミスしない事は不可能」である以上、「備えるのは必須」とも言える訳で、つまりは「備えだけど、必須と言える兵科」なのだ。
戦車定数が削減されまくって、本土の備えが薄く減らされている今こそ、迅速に展開できる高火力部隊ってのは、価値が高いとすら言えるんだけど、この記事にあるとおり、何故か扱いは悪い。
新しく導入された機動戦闘車は、所詮は「車両」なので、ヘリの速度と展開力とは、比べ物にならない。
正直、「即応機動連隊」とやらが、不慮の敵上陸に対応できるとは、とても思えないんだよねェ…。
結局、言葉遊びに終始して、本当に必要な「防衛費の大増額」と「量的な充実」をしていない、そのしわ寄せが、全部陸自に行ってる感がある。