gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国軍首脳、3日で台湾を占領できると豪語 メッセージは日本にも向けられている | JBpress(日本ビジネスプレス)

トランプ政権は「国家安全保障戦略」や「国防戦略概要」などによって、中国との対決姿勢すなわち「中国封じ込め」へと戦略を変針した。
(中略)
このような動きに対して中国人民解放軍首脳は、中国軍は3日間で台湾を占領することができると台湾と米国を恫喝している。
(中略)
王中将が豪語するように中国軍が3日で台湾を軍事的に制圧できる能力を保持しているとしても、そうした全面的な台湾侵攻作戦を実施するとは考えにくい。
(中略)
実際には、中国軍が侵攻占領部隊を台湾に送り込む「立体戦」の準備段階として、大量のミサイル攻撃や砲爆撃(「火力戦」)によって台湾側の軍事的・戦略的拠点を徹底的に破壊(「目標戦」)した段階で、台湾軍には組織的反撃能力がなくなってしまう。中国政府はこの機を捉えて台湾政府に降伏勧告を突きつけ、台湾島内での地上戦を回避しようとするだろう。
(中略)
米軍関係戦略家たちの間で「短期激烈戦争」と呼ばれる、中国軍による敵(台湾や日本)に対する各種ミサイル集中連射攻撃により、3日といわず半日で敵の軍事拠点や戦略拠点は徹底的に破壊されてしまうだろう。
(中略)
中国側にとっては、なにも実際にミサイルを発射する必要はない。「短期激烈戦争を発動する」と台湾政府を脅して、中国側の要求(とりあえずは「台湾の軍事外交権を中国共産党に明け渡せば、そのほかの自治統治権と資本主義経済システムの維持は保証する」という要求)を台湾政府に呑ませることが可能になりつつあるのだ。(中略)
「短期激烈戦争を発動する」という脅しによって台湾の軍事外交権を手中にし、香港マカオのような一国両制に持ち込めば、軍事的には「戦わずして勝つ」ことになる。
(後略)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52752

この人は、陸軍を派遣せず、空爆だけで対処しようとしたシリアで、何が起きたのか、そして今現在、北朝鮮と言う、「短期激烈戦争(とやら)で吹けば飛んでしまう国」が、一歩も譲歩する事無く、アメリカに抵抗している現実が、理解できていないのだろうか?
仮に、北朝鮮アメリカの初期攻撃で、組織的な戦争継続が不可能になったとしても、北朝鮮首脳がアメリカに全面降伏する、なんて選択肢は取らないし、多少の自治権などを安堵したとしても、金一族の独裁的な体制を維持できなければ、受け入れる事は無いが、それは非人道的な体制の容認であり、アメリカにとって受け入れる事が出来ない条件なのは明らかだ。
結局、戦争が始まれば、体制を破壊するまで終わらない、と言うのが現代の戦争でも変わらない事実だ。
空爆などの間接介入では、アサドはシリアの半分を失っても政権崩壊しなかったし、ISIS団は拠点をすべて失っても、ゲリラ的な抵抗自体は続いている。
しかも、台湾進攻に際して、時間を掛ければアメリカの介入を招いてしまう。
1日でも早く、1時間でも早く「台湾の正当政府」を破壊する事が、中国に取っては至上命題となる。
である以上、中国が台湾有事で「降伏勧告」なんて悠長な時間を使う事はあり得ず、戦後統治に関しても、手間取るようなら、チベットウイグルより徹底的な民族浄化を行う事は、想像に難くない。
そもそも、中国は台湾有事に際して、民間の貨客船を最大限に動員して、開戦から24時間以内に完全占領するプランを持って居る。
つまり、3日という数字は、かなり「余裕を持った数字」であり、今となっては、その数字なら100%の確率で台湾島を制圧できる自信から出た日数だと判断すべきだろう。
そして、日本についてだが、これは台湾とは大きく事情が異なる。
民間船の鈍足でも数時間で台湾と中国本土間を走破し、兵員や戦車を送り込める台湾と異なり、中国と日本の間には比較的長い海路があり、戦時徴用した民間船を使った、短時間での大兵力輸送という手が使えない。
短期激烈戦争(とやら)で、軍事拠点や戦力をピンポイントに叩いたところで、再生産やアメリカからの供給を待つだけの時間はあるし、何より軍事同盟関係にあり、在日米軍基地があるから、日本への攻撃はアメリカとの全面戦争を覚悟する必要がある。
まだまだ、中国の通常戦力も特に海軍が、アメリカに対抗できるレベルには遠い現状、現時点の脅しでビビるのは、台湾や韓国と言った、中国の全戦力を短期間にぶつけられる可能性がある立地の国だけで、日本が腰砕けになるには、全然早いと言わざるを得ない。
まあ、憲法9条の呪いを解くとか、自衛隊を当たり前の軍隊へと改組する事とか、装備を含めた全面的なリストラを敢行する事とか、やるべき事は多いけれど、中国のブラフにビビるのは、やるべき事とは程遠い話だと思う。