gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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「米韓同盟廃棄」カードを切ったトランプ:日経ビジネスオンライン

北朝鮮の核問題を解決する過程で、米韓同盟が崩壊し始めた。
鈴置:トランプ(Donald Trump)大統領が金正恩キム・ジョンウン)委員長に「米韓同盟破棄」カードを切りました。北朝鮮の完全な非核化が条件です。
(中略)
注目すべきは「北朝鮮を非核化する」ではなく「半島全てを非核化する」(denuclearize that entire peninsula)と語ったことです。
北朝鮮に加え韓国も含め非核化する――北朝鮮が非核化に応じれば、米国が韓国に差しかけてきた核の傘も撤去する、つまり米韓同盟を廃棄すると示唆したのです。
これこそ北朝鮮が長らく米国に要求してきたことです。中国もこれを望んでおり、北朝鮮を後押ししています(「中朝首脳会談、『米韓同盟揺さぶり』で一致」参照)。
(中略)
――核の傘の提供をやめることが、同盟破棄につながるのですか?
鈴置:そうなります。仮に北朝鮮が完全に非核化されたとしても、韓国周辺には中国とロシアという核保有国が残ります。
(中略)
すると、核をチラつかせるだけで韓国を恫喝できるので、韓国は中ロの言うなりにならざるを得ません。
そんな同盟に意味はないのです。
(中略)
要は、トランプ大統領は、韓国との同盟をやめる、と宣言したのです。北朝鮮が完全に非核化されれば、との条件付きですが。
(中略)
一連の動きをまとめると、こうです。まず、ポンペオ長官が金正恩委員長に口頭で「米韓同盟破棄」の対案を伝えた。すると、朝鮮中央テレビを通じ、金正恩委員長が「それなら非核化に応じる」と答えた。
それを確認したトランプ大統領がアンドリュース基地での会見を通じ「米朝首脳会談はその線で進めよう」と金正恩委員長に通告した――のです。
(中略)
両者が「米韓同盟の廃棄」とはっきり言わなかったのはもちろん、世界にパニックを引き起こさないためでしょう。
(中略)
トランプ政権が米韓同盟を捨てる決断を最終的に下したのは、4月27日の南北首脳会談だったと思います。
この日に発表された板門店宣言で、南北がはっきりと「半島全ての非核化」をうたったからです(「『民族の祭典』に酔いしれた韓国人」参照)。
(中略)
鈴置:その通りです。板門店宣言こそは米韓同盟の破棄宣言だったのです。「南北の和解」をテーマにした「政治ショー」に惑わされ、見落とされたのですが。板門店宣言には以下のくだりがあります。
(中略)
・南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共通の目標を確認した。
「核のない韓(朝鮮)半島」とは、どう読んでも「朝鮮半島全ての非核化」を意味します。韓国の方が先に米国に三行半を突きつけたわけで、米国も遠慮なく同盟廃棄をカードとして使えるようになったのです。
(中略)
――では、首脳会談はどういう展開になるのでしょう。
鈴置:「米朝首脳会談、3つのシナリオ」で言えば、北朝鮮は①の「完全な非核化を受諾」しながら②の「時間を稼ぎながら完全な査察を防ぐ」行動をとる可能性が高い。少なくとも①のフリをしないと、米国が③の「軍事行動ないし経済・軍事的な圧迫強化」を採用するからです。
(中略)
――「米朝」の後、トランプ大統領は日本に立ち寄る方向です。
鈴置:トランプ大統領安倍晋三首相に覚悟を求めることになるでしょう。米韓同盟が消滅すれば、日本が大陸に立ち向かう最前線になります。あるいは米国が軍事攻撃に踏み切れば、日本にも火の粉がふりかかります。いずれにせよ、日本人は覚悟を固める必要があるのです。
(中略)
今後、関係国は朝鮮半島の安全保障体制の変更について――たぶん、半島全体の非核化と中立化を話し合うことになるでしょう。
(後略)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/051400177/

核の傘を提供する事と、非核化は別問題と考えるべきで、「半島全て」という言い方は、北朝鮮にも韓国にも核武装なんて永劫認めない、という意味合いだと思うけど…。
部分的には同意できる面もあるけれど、全体的には牽強付会としか言いようが無いかな。
「半島全体の中立化」と言っても、朝鮮半島は陸路は中露に、海路は日米に完全に封鎖されており、スイスのような、周囲と複雑な姻戚・権力関係を利用した中立宣言が出来ない環境にある。
スイスが中立で居られるのは、スイスの土地自体に価値が無く、周辺国(仏独伊)はスイスを通らずに戦争が出来る、戦争が始まった時に停戦を仲介できる国家が欲しい、という地理的・政治的理由から周辺国に承認されているからで、3つのビックパワーの結節点にして、そこが戦場となる半島は、中立宣言しても、周辺国全て(日米中露)に承認される可能性はゼロである。*1
そして、中露に寄れば海路が、日米に寄れば陸路が使えなくなるので、エネルギーも食料も自給できない半島は、今の北朝鮮の様な中国の傀儡国家になるか、今の韓国の様なアメリカの属国になる以外の選択肢は無く、その場合はどちらにせよ、2つの国だから2つの勢力両方に便宜を得られた今までより、外交・貿易環境は悪化する。
東西ドイツは分断の象徴で、純粋に悲劇だったけれど、半島の分断は、実のところ朝鮮人にとってはメリットの方が多い「既得権益」になっているのだ。
南北でプロレスやってるだけで、中国とアメリカから無尽蔵に支援と優遇を受けられていたのだから。
…問題は、その受益構造を、当の朝鮮人が理解しておらず、北朝鮮は調子に乗って核武装に踏み切り、韓国は調子に乗って米中を天秤にかけて双方に見捨てられかけている点だろう。
支援と優遇を受ける前提を失っても、当然のように貰える、と思い込んでいる所が不思議だよなぁ…。

*1:宣言するのは自由だが、周辺国に承認されなければ、何の保障にもならない。ぶっちゃけ、日本以外の1国でも「認めない」と言えば、他の全ての国が承認していても、実効性は無い。日本以外は拒否権を持つ常任理事国ですもの…