gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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欠陥による墜落事故が相次いだ中国の空母艦載機 代替機を開発へ - ライブドアニュース

(前略)
【北京時事】5日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、中国の空母艦載機「殲15」の欠陥による墜落事故が相次ぎ、代替機の開発が進められていると報じた。
中国軍に近い関係筋は同紙に対し、「殲15は操縦系統が不安定だ」と指摘した。習近平指導部は空母を中心とする艦隊の整備を急いでいるが、性能や運用能力については疑問視されてきた。
殲15はロシアのスホイ33を基に設計され、中国初の空母「遼寧」に配備されている。同紙によると、中国軍に近い2人の関係筋は、殲15の墜落事故が少なくとも4回発生したと明らかにした。しかし、中国国営メディアは2件の事故しか報道していない。
2016年4月に発生した事故は操縦系統の故障が原因で29歳のパイロットが死亡した。また、これに近い時期に起きた事故で40代とみられるパイロットが重傷を負った。当初、中国の航空専門家は殲15の設計上の問題ではないという立場を取っていたが、連続して事故が起きたため欠陥があることを認めたという。
殲15に代わる艦載機としては、ステルス戦闘機「殲31」が想定されている。殲31は殲15よりも小型で重量も軽いとされ、12年に初の試験飛行を行った。 

http://news.livedoor.com/article/detail/14967103/

うーん、むしろ4機って「少ない」とすら思う。
とっくに2桁の大台は突破してると思ってた。
中国の場合、空母は売って貰ったけれど、艦載機のSu33は露骨なコピー前提の少数購入をロシア打診したが、後述するJ11Bによる知財窃盗を2009年に起こし、交渉が暗礁に乗り上げた。
こんな事もあろうかと、2001年の段階でウクライナから試作機を買い取っており、それをリバースエンジニアリングして作り上げたのが、J15である。
J15の初飛行が2009年と言う話だから、最初からSu33購入は「J15の答え合わせ」以外の意図を持たなかった事は確実であり、中国が如何に知財というものを軽視しているかよく判る話だろう。
元々Su33の型番がSu27Kである事からも判るとおり、Su27系列機であり、Su27をライセンス生産した上で、改良機であるJ11Bを開発した中国には、完コピ出来る自信があったのだろう。
だからこそ、知財絡みでロシアに譲歩するぐらいなら、さっさと試作機をコピーして完成させた方が早い、と考えたのは、間違いないだろう。
しかし、元々ロシアも空母後進国であり、ソビエト時代は艦隊防空を担う艦載機さえあれば良いというドクトリンから、航空戦艦を配備していたぐらいである。*1
そのソビエトも崩壊する直前、ようやく遼寧の原型となったアドミラル・クズネツォフ級が、最も正規空母に近いコンセプトで配備されたぐらいで、ウクライナに残された試作機は、「空母からの離着陸」は保障されていたが、本格的な正規空母運用を開始し、そこで洗い出された問題点を改修した、正規のSu33に比べると、問題が多い事をロシア自身が認めている。
つまり、最初からJ15は未完成機だった訳で、完コピ出来たからって即座に大量生産して運用。しかも、運用するのが空母素人の中国人である。
事故が起こらない理由が無い。
金をケチってロシアからSu33を買わなかった時点で、血と火の試練を、関係者の命と膨大な軍事費を対価に潜り抜け、中国の空母機動艦隊は完成して行く、と言うのがごく当然の因果であるのに、「戦闘機が欠陥だから」とか言い出すようでは、正しい教訓を得ているとはとても思えない。
しかも、その代替が自国ですら採用実績の無いJ31とか…寝言にも程がある。
航空ショーに出したら、パキスタン人のテストパイロットに酷評されて、パキスタンは買わないだろう、とまでコメントされたニュースがあり、J31うんぬんってのは、願望記事じゃないかな…。

*1:その名残が、アドミラル・クズネツォフの核弾頭搭載可能な長距離対艦ミサイルP700が発射可能な超大型VLS12セルである。頭がおかしい事に、滑走路甲板のど真ん中に設置されているから、これを発射する際には当然、艦載機は離発着できなくなる仕様だ