gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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次期戦闘機のF22改良版、日本が過半生産 米ロッキード案 同盟・産業基盤を強化 :日本経済新聞

日本が2030年をメドに導入する次期戦闘機(総合2面きょうのことば)を巡り、米防衛大手ロッキード・マーチン防衛省に提出した開発計画が分かった。同社のF22を主体に改修し、日本企業に開発・生産の分担比率50%以上を認めた。「門外不出」とされたF22の技術を使った戦闘機でエンジンも含め日本企業主導にできれば、日米同盟と国内防衛産業の基盤強化につながる。(関連記事政治面に)…
(後略)

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34481440T20C18A8MM8000/

LM案は、F22をベースに主翼改造とF35のアビオニクスの搭載と言えば聞こえは良いが、ぶっちゃければF22の近代化改修のテストベッド案と言うべきものだった。
ポンチ絵が露骨に示す通り、一度は予算の都合で破棄された、FB22計画の焼き直しに見える。
FB22は、F15にとってのF15Eみたいな関係で、マルチロール機としての性能は向上するし、後から開発された機体だけに、最新のアビオニクスなどの優位性はあるが、格闘空戦力はF22に対して落ちる。
日本が欲しいのはF15J後継の制空戦闘機であって、F15Eのような戦闘爆撃機じゃないので、微妙に外れた提案だと言えるだろう。
製造分担50%以上と言っても、アメリカでロットアップしたF22は、製造する為の治具や製造機械が破棄されている為、LMで全部担当する気なら、そうした治具や製造機械の再投資が必要になる。
当然ながら「旨味が無い」訳で、日本に回されるのは、そうした再度の設備投資が必要な部分が主要になると思われる。
F35の対地攻撃用の火器管制ソフトを丸ごと貰えるならともかく、F2ん時みたいに、土壇場になってソフト供給が止められてしまうと、戦闘機の対地攻撃について経験も装備も無い日本が、F35程に高度な対地攻撃用の火器管制ソフトを自力開発できる可能性は、かなり低い。
これは、見えない開発リスクだろう。
70機ロットで240億、140機ロットで210億円と言う費用は、元々モンキーモデルのF22に200億円を見込んでいた日本からすれば、高すぎるという訳でもない。*1
しかし、それは当時最強レベルに圧倒的な制空戦闘機だったからで、F35の上位互換でしかないFB22という選択は微妙と言うか…YF23をベースにした制空戦闘機で良いのよ?
あと、空自は第6世代戦闘機…i3ファイター構想を持って居るが、LM案はそうした要素を完全に排除している。
純粋なF22直系の、第5世代戦闘開発だ。
2030年から2050年まで運用される次期戦闘機として、陳腐化しないか、というリスクもある。
ただまあ、この点に関しては、甘受すべきリスクと言うべきだろう。

*1:当時に比べれば大幅円安になっており、それを踏まえれば想定よりドルベースでは安くなったとすら言える。しかも製造分担5割だし