gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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露が新型兵器実験に成功 プーチン氏「マッハ20で飛行」 - 毎日新聞

【ワシントン会川晴之】ロシアのプーチン大統領は26日、極超音速(ハイパーソニック)のミサイル兵器「アバンガルド」の最終実験に成功したと発表した。2019年に配備する。「マッハ20で飛行する」(プーチン氏)というミサイル兵器で、核弾頭が搭載可能。米中露の3カ国が激しい開発競争を続けてきたが、実戦配備ではロシアが先陣を切ることになる。
タス通信などによると、実験は26日に実施された。カザフスタンとの国境に近いウラル南部オレンブルクにある基地からアバンガルドが発射され、6000キロ飛行した後にカムチャツカ半島の標的に命中した。
プーチン氏はモスクワの国防省で実験を見守った後に閣議に臨み、「実験は完璧だった」と新たな戦略兵器を評価。「いかなるミサイル防衛(MD)システムも対処できない」と述べ、新兵器が「無敵」と強調した。
アバンガルドはグライダー型の兵器で、弾道ミサイルで打ちあげられて上空で切り離された後、飛行を制御しながら滑空するため命中精度が上がる。既存のMDでは撃墜が極めて難しいとされる。通常弾頭も搭載できる。
ロシアは04年からハイパーソニック兵器の実験を本格化させ、今年3月に初めて公表。グライダー型に加え、戦闘爆撃機などに積む巡航ミサイル型の2種類を開発している。

https://mainichi.jp/articles/20181227/k00/00m/030/037000c

ブーストグライド兵器の一種で、マッハ20がブラフでなければ、ICBM級の極超音速であり、そして「標的」と呼べるほどのサイズに命中させられるなら、CEP(半数必中界)は極小であり、対艦目的にすら使える可能性がある。
つまり、ここに来て、中国の「対艦弾道ミサイル」の実現性が、俄かに高まってきた感が在る。
英語版のWikipediaだと、スクラムジェットエンジンを採用していると書かれているが、スクラムジェットエンジンだと理論上マッハ15を超えないので、マッハ20が事実なら、別の主推進力を採用して居る事になる。
何にせよ、ブーストグライド兵器は大気圏上層を「水切り」のように跳ねて飛ぶ兵器なので、大気圏外での迎撃を主任務とするGBIやSM3と言ったミッドコース迎撃ミサイルでは、想定より低すぎる高度だから無駄が多く、対応高度としてはTHAADが最適だが、ブーストグライド兵器は回避機動が可能なので、遠距離の迎撃は相変わらず困難なままである。
ある意味、「究極の矛」と言うべき存在であり、素直に考えるなら、アメリカも同じ戦力を保有する事で、今までのICBM同様に、「相互確証破壊」でしか抑止できない物になる。
…んが、問題は、日本もブーストグライド兵器の開発に着手したように、非核保有国のブーストグライド兵器は、「相互確証破壊」では抑止できない点にある。
保有国がブーストグライド兵器を使った場合、即座に報復核が飛ぶ可能性がある為、なかなか使う決断を下しにくい一方、非核保有国が撃つ分には、そのリスクは無い。
もし対艦用に使えるとするなら、ブーストグライド兵器は文字通りの「空母キラー」となる。
世界最大の空母保有国であるアメリカと、それに次ぐ空母大国の中国にとって、頭の痛い問題になるだろう。
正直、アメリカですら開発に梃子摺っていたブーストグライド兵器を、ロシアが一番乗りで実用化してしまったのは意外と言う他無く、これによって玉突き事故の様に、様々な所で軍事的な「ゲームチェンジャー」となるのではないか、と懸念する。
少なくとも、これが「軍縮」「緊張緩和」に繋がるとは微塵も思えない訳で、ルーピー・トランプによるリスクも考えると、来年は色々と歴史が動く年になりそう。