gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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タイ選管、憲法裁に解党申し立て=タクシン派の王女擁立問題視:時事ドットコム

タイ選管、憲法裁に解党申し立て=タクシン派の王女擁立問題視:時事ドットコム

バンコク時事】タイ選挙管理委員会は13日、3月24日に予定される総選挙に向け、ワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女を首相候補に擁立しようとしたタクシン元首相派のタイ国家維持党の解党を憲法裁判所に申し立てた。総選挙前に解党命令が出れば、選挙対策のために国家維持党を立ち上げたタクシン派にとり、大きな打撃となる。
選管は国家維持党が立憲君主制に敵対的な行為をしたとして、選挙法に基づいて憲法裁に解党を請求した。タクシン派は2007年にタイ愛国党、08年に国民の力党がそれぞれ選挙違反を理由に解党処分を受けている。(2019/02/13-16:21)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021300853&g=int

タイの現国王は、絶大な人気を誇った前王に比べて、色々と悪評がある。
タイには非親告で成立する王族に対する不敬罪があるので、この辺りを加減知らずに批評すると、ガチで色々と不味い事になるのでアレだが、現国王は軍部寄りの立場で、特に陸軍*1と仲が良い。
つまり、クーデターを起こされた議会(タクシン派)とは仲が悪いのだ。
そんなこんなもあり、前王崩御の際には、評判が良く、王位継承権もある妹シリントーンの方が、良いのではないかと言う声も大きかったが、一年の喪に服した後に王として立ったのは、ワチラロンコン国王であった。
元々、シリントーン女史は政治ではなくアカデミックな活動に重きを置いた行動を一貫して取っており、恐らくは、国内が割れる事を嫌った、賢人と呼ぶべき考えがあったのだろう。
妹がそーいう行動をとっているのに、正式な王位継承権はなく、一度は他国に嫁いだ長女が、現国王と対立関係に近い議会でタクシン派から首相候補に擁立とか、打診する方も露骨だが、受ける方もアレとしか言えない。
タクシン派は、軍人・官僚に代表されるエリート層が政治を独占している事に不満を持つ、農民や低所得層を支持基盤としている政党である。
統制がイマイチ取れておらず、その一部は過激派となっており、既得権益を維持したいエリート層は、そうした過激派の摘発を理由に戒厳令を敷き、クーデターとなったのが、2014年のクーデターだ。
ぶっちゃけ、まだタイは全面的に民主制に移行するほどには、社会の公平性も、安定性も確保できていない状況と言える。
可能なら、前国王が存命の内に、民主制への筋道をつけられれば良かったのだけれど、カリスマのある王が居た事が、逆にその筋道を奪った感が在るのは、歴史の皮肉だろうか。
ていうか、アメリカが、色々と間違った前提で、民主主義を広げようとしているのが、世界の不幸の何割かを生んでいる事は、間違いないと確信している。
アメリカにとって、最高の成功体験である「日本の良化・民主化の成功」は、ハッキリ言って、元々列強国として、経済的にも文化的にも下地があり、特殊な国民性を持つ日本だったから成功しただけで、普遍的に適用できるものではない。
日本以外の国だったら、今のアメリカが心の底で恐れているように、隙あらばアメリカに核報復を狙うような、強烈な反米国家が生まれただけだろう。
大体、韓国が「一応成功」という扱いになっているのも、日本と言う金と技術を提供するパトロンが隣に居て、経済的にはどんな失敗国家でも成長できるレールを敷いてくれてて、アメリカが韓国軍の統帥権を握って、クーデターや周辺国への侵略に軍事力を使えない状態で半世紀以上も平和裏に抑えつけていたから達成できた、これまた「特殊例」なのだ。
全ての国に、韓国程に手厚い支援を出してやる事なんて出来ないのだから、民主化が平和裏に成功するなんて、成功率が低くて当たり前なんだけど、どうにもアメリカはその辺りを理解していない気がする。
フィリピンやベトナムと言ったアジア、イラクやサウジと言った中東で、失敗をどれだけ積み重ねても、なかなか懲りない。
まあ、韓国自身が、日本からの手厚い支援を忘れて、漢江の奇跡とか勘違いしているのだから、どの国も「見たい物を、見たいようにしか見ない」という話ではあるのだが。

*1:2014年にクーデターを起こして政権を握った