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中国海軍はすでに世界一? 専門家「貧乏な米海軍が泣き言」|レコードチャイナ

中国海軍はすでに世界一? 専門家「貧乏な米海軍が泣き言」|レコードチャイナ

中国メディアの澎湃新聞は2019年2月16日付で、米国で「中国海軍はすでに世界一の規模」とする声が上がっていると指摘し、国防大学戦略研究所所長の経験もある中国海軍の金一南少将による、中国海軍に対する高い評価には「貧乏な米海軍の泣き言」の側面があるとする見方を紹介する記事を掲載した。予算獲得に苦労する米海軍が、中国海軍力の脅威をことさらに強調との見方で、金少将は米国側の意見とは無関係に、中国は海軍力をさらに増強せねばならないと論じた。
記事はまず、米国の外交専門誌「ザ・ナショナル・インタレスト」が最近になりインターネットで発表した記事を紹介。記事は、「中国は2020年までに313隻から342隻の軍艦を保有する。米国海軍は285隻」と紹介した上で、米国には「中国は実際には650隻の軍艦を保有しており、すでに世界最大の海軍力だ」と主張する専門家もいると論じた。
同主張に治して金少将は、中国の海軍力を強調するのは「米国人が最近、力を入れて煽(あお)り立てている話題」と説明。ザ・ナショナル・インタレストの記事も「われわれは中国の海軍力を低く見積もりすぎている」とする主張の一種と述べた。
金少将によると、中国の軍艦を650隻とする主張は、海軍の保有船に海警局(中国海上警察)が保有する300隻あまりを追加した数であり、海軍側が連邦議会に対して予算の上乗せを求める場合の常套手段という。
金少将は、海警局について「まだ若く、装備も不足しており、海上における権益維持の公務執行能力も不足している」と指摘し、「現在、米国人は海軍の戦闘力に匹敵する作戦能力を吹聴しているが、米国人はまったくもって、この分野では常識に反する、常識を超越する」と、米国に存在する主張を強く否定した。
金少将が海警局を「まだ若い」と説明したのは、同局が2013年にそれまでの国家海洋局の中国海監、農業部の中国漁政、公安部の辺防海警、税関総署の海上緝私警察の船隊や組織を整理統合して新たに発足した組織であることを指す。
金少将は、米国がいわゆる科学調査船を含め、正式には軍に所属しないさまざまな船舶を利用して中国に接近して情報収集作業をしていると主張。合計すれば膨大な船舶数になるとして、中国の対抗上、膨大な船舶を動員せねばならないと論じた。
金少将はさらに、米海軍は全世界に100カ所以上の基地を保有し、11の艦隊を全世界に部署していると説明。中国海軍はソマリア沖の海賊対策や、リビアやイエメンなど混乱した国から自国在留者の引き上げのために出動したなど限りある海外活動以外には、主に自国の沿岸で海洋権益の維持などのために活動しているだけと主張。
ただし、海軍は目的達成のためには「質だけにとらわれてはならない。量でも優勢を保たねばならない」として、準海軍力としての海警局、さらに民間の力である民兵の数が非常に大きいことは米国を困惑させていると主張。
さらに、海軍建設を控えるよう米国がやかましく主張しても、中国が応じることはないと主張。中国の現状は、自らの海洋権益を真に有効に維持するため能力の獲得とは「まだ距離がある。われわれはこの分野で建設を強化せねばならない。われわれの今日の状態、今日の能力では、われわれは自分自身の海洋権益を有効に保護するには不足している」と主張した。(翻訳・編集/如月隼人)

https://www.recordchina.co.jp/b688251-s0-c60-d0142.html

まず、「海警を含んで650隻だから世界一」というのは、笑い話以外の何物でもない。
その基準で良いなら、中国は高度経済成長前ですら、アメリカ海軍以上の海軍だったという話になる。
装備更新前の中国海軍は、艦艇「数」だけなら今も昔もアジア最大と言って良い規模だった。
…問題は、大半が大型漁船に毛が生えたレベルの、沿岸警備艇で、総トン数では論外に小さい物だっただけである。
そして、90年代末から00年代初頭にかけて、中国軍が質的向上を目指したのは、3000トン以下、大部分が1500トンクラスの沿岸警備用フリゲートコルベット、100トン未満のミサイル艇に、1000トン級の通常動力潜の更新だった。*1
この段階に於いても、5000トンを超える大型艦艇の数は限られており、正面から戦えば、海自単独でも中国海軍を撃退できるレベルでしか無かった。
しかし、00年代後半に入り、中国の経済成長は日本を射程距離に捉え、日本を軽く超える軍事費を費やすようになると、中国は空母機動艦隊の整備をスタートさせる。(遼寧の修理再開が06年、進水が12年)
ミサイル駆逐艦に分類される、自称中華イージスと言われる052D型駆逐艦は、12年就役。
そして、ズムウォルト級をパク…参考にした055型駆逐艦が14年就役で、それらを2か月に1隻というハイペースで増やし、総トン数でも日本を越えたと言われるのが、2010年代中盤とされる。
しかし、この時点でも「日本を越えた」レベルでしかなく、最低でもイージス艦が艦隊の最小単位で、世界中に艦隊を派遣しているアメリカ海軍には、全く及んでいない。
もちろん、国産空母の1隻目を進水させたばかりの現時点でも、それは変わらないのだ。
ついでに言えば、ソビエトが激増する軍事費に背骨を折られて崩壊したのは、陸軍国なのに、アメリカに付き合って海軍競争を激化させ、正規空母保有に手を伸ばした事も、一因と言える。
ソビエトの空母は「重航空巡洋艦」の名前の通り、艦隊直援用の邀撃機を飛ばす為のプラットフォームであり、アメリカの正規空母のように、移動する航空基地、と言う用途ではなかったから、艦載機数は多くて50機程度、固定翼機は18機だったが、アメリカの正規空母は、艦載機は90機以上、固定翼機だけで48機以上運用できる規模がある。
空母は、艦艇として大型かつ高価値であるが、空母の場合、搭載する戦闘機もまた、アホみたいに高額であり、それが2倍以上も運用できる訳で、アメリカが如何に頭がおかしい超軍事国家なのか、それでなお半世紀以上も破産せずに軍を維持してきたという事が、どれだけ凄まじい事なのか。
器(艦隊)を用意する事ばかりに腐心して、それを維持、更新して行く事の恐ろしさに気付かず、無邪気に「世界最強」など嘯くさまには、憐れみを通り越して滑稽さしか感じない。
今はまだ、更新したばかりの装備はピカピカの新品で、好景気の残滓と、それまでに積み上げた膨大な軍事予算があるので、あと15年は装備の維持は出来るだろう。
しかし、その後は?
今と同規模以上の「装備更新に伴う」軍事費負担に耐えられるのか…。
それが出来たなら、中国はアジアの危険国家になれるだろう。
出来なければ…良くてソビエトと同じ末路、悪ければ…というより、高い確率で実現するだろう未来として、装備を「使わないまま腐らせる」事を良しとせず、「使う」と言う道を選ぶのではないかと思う。

*1:通常動力潜の元型は06年就役開始。それまでの新型更新ペースから考えると、とっくに次級の開発をしてい無ければならない時期を過ぎているが、中国は原子力潜水艦の建造を推進している。同様にフリゲートも05年就役の江凱I型の後は、08年就役の江凱II型を増産するのみで、新型開発は駆逐艦巡洋艦などの大型艦艇に絞っている