gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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台湾ホラーゲーム『還願』が、高い評価を受けたのち厳しい批判に晒される。ゲーム内のひとつの張り紙が大きな問題に | AUTOMATON

台湾ホラーゲーム『還願』が、高い評価を受けたのち厳しい批判に晒される。ゲーム内のひとつの張り紙が大きな問題に | AUTOMATON

台湾のインディースタジオRed Candle Gamesは2月19日、3Dホラーゲーム『還願 Devotion』をSteamで発売開始した。『返校』開発元の最新作であり、日本語にも対応していることから、すでに同作をプレイした人も多いのではないか。しかしながら、『還願』とRed Candle Gamesは、かつてない危機に直面している。すべての始まりは、中国のゲーマーがゲーム内で同国の習近平国家主席にまつわるイースターエッグを発見したこと。開発元が台湾のスタジオであることから「台湾人から侮辱をうけた」と中国国内のインターネットで大きな問題として取り上げられ、人々の怒りを買い、国家を巻き込みかねない問題に発展しつつあるのだ。
(中略)
ゲーム内にはさまざまな壁紙やポスターが貼られているが、道教の「符」と呼ばれる張り紙に、赤い部分には「習近平くまのプーさん」と書かれていることが発覚したのだ。
(中略)
符呪に、「習近平くまのプーさん」を意味する赤い印が記されており、その符呪の周りにある四文字が、語呂合わせで「お前の母ちゃんはアホ」と読めるようなものになっている。
(中略)
その結果として、2月24日12時現在、中国国内の『還願』にまつわるすべての内容が消された。この一連の動きは、またたく間におこなわれた。2月23日午前中10時ごろから今回の事件が取りざたされたのち、同日午後4時ごろにはにゲームに関する実況、レビュー、SNS上の発信がほぼすべてが削除されている。
(中略)
一方で、騒動が発生する前の中国国内における『還願』の人気ぶりについても言及しなければならないだろう。同作は、旧正月の終わりと家族団欒を意味する元宵節(げんしょうせつ)の2月19日にリリースされてから、中国で話題を独占していた。普段ゲームをしない人々も、実況とライブストリーミングを見て、『還願』にまつわる謎と背景の討論に参加しようとした。
(中略)
実際、この事件が発生する前には、『還願』はSteamにて95%の好評だった。
(中略)
多くの中国の人々は実況を見るだけで、ゲーム自体を購入していないと見られる。ゲームは短いので、中国のユーザーがゲーム買い、プレイしたあとSteamで返金を受けるケースもしばしば見かける。(Steamではプレイ時間2時間以内、並びに買ってから2週間以内であれば、ゲームを払い戻しできる。)このことを受け、熱心なゲーマーたちはSNSなどでゲームを購入していないユーザーに、購入の呼びかけをしていたことが話題になった。
(中略)
中国国内では、「愛国主義」がとてつもないエネルギーを持つ。これは、今回の事件でよく分かるのだろう。「愛国心」を持つがゆえに、マイナーなゲームでも一気に人気が爆発し、そしてまた「愛国心」がゆえに同作を楽しんでいたすべての参加者が豹変し、あっという間に称賛の声が圧倒的なバッシングに変わった。しかも驚くことに全員が団結し、何時間もかからないうちにすべての動画、レビュー、SNS情報から、『還願』とその開発元のRed Candle Gamesの情報が消えた。
(中略)
インターネット上に起こった炎上と削除、すべてユーザーおよびプラットフォーム(企業)が自ら選んだ行動である。
(中略)
中国の愛国ゲームコミュニティは、効果的な武器を持ちつつある。それは、「人海戦術」だ。中国の愛国ゲーマーが、Steamにてゲームに対し低評価をつけることで、抗議や要求を突きつけるようになったのは最近の話ではない。
(中略)
去年11月に行われた『Dota 2』の試合で、チームcoLの選手が中国を軽蔑する発言をしたとき、怒りが抑えられない中国ゲーマーたちは、Steamの『Dota 2』ストアページに、大量に低評価をつけたことがある。
(中略)
中国では『還願』がブロックされたゆえ、怒りの矛先はRed Candle Games開発のもう一つのゲーム『返校』に向いた。このゲームのSteamページも、本日より中国からアクセスできなくなった。
(中略)
今回の事件で、Red Candle GamesはパブリッシャーのIndieventと、投資者のWinking Entertainmentとの契約を打ち切られた。損失もRedCandleGamesが負担すると述べている。前作『返校』のパブリッシングを担当した中国のパブリッシャーCoconut Island Gamesも、RedCandleGamesとの契約を打ち切ったと見られる。
(後略)

https://automaton-media.com/articles/newsjp/20190224-85913/

この件で笑える点は、中国人はビタ一文も金も払っていないゲームを国産屈指の良ゲーとして、絶賛していた点*1
未だに、海賊版を無料で楽しむという意識が抜けない「低い民度」を改めて実感したところか。
逆に言えば、それ以外は笑えない。
当局の意を勝手に先取りして自主規制」という気持ち悪さも、韓国人の様にアカウント偽装やBotまでは使っていないようだが、結果として「同質量の人海戦術に寄る評価攻撃を、喜んで行うネットイナゴとして厄介な性質」を全力で発揮している所とか、「台湾製を国産と言って憚らない鈍感さ*2」とか、中国と言う国が小さかった頃は、相対的に小さく見えたチャイナリスクが、改めて巨大な物である、と言う証明だと思う。
世界は、中国を市場にする事のリスクを、まだまだ甘く見ているのだろうなぁ。

*1:別にゲームをやってない人が金を払わないのは当然だから良いんだけど、ゲームが短いからって、即行クリアして返品とか、ありえねぇクズっぷり。ゲーム実況民と実況動画だけ見てプレイした気になる連中のクソさは日本も変わらんけど

*2:このゲームには、中国共産党の情報統制と自国民に対する虐殺も是とする独裁支配に対する批判のメタファーとして解釈する余地があるから、余計に炎上したという分析もある。当然、その場合はお札一つと言う問題ではない。開発メーカー自体の思想と言えるだろう