gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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トルコ、ロシア製ミサイル防衛システム購入計画にコミット=大統領 - ロイター

トルコ、ロシア製ミサイル防衛システム購入計画にコミット=大統領 - ロイター

イスタンブール 4日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は4日、ロシア製ミサイル防衛システム「S400」の購入計画について、計画を後退させることは不可能だと発言した。
米国が売却を提案している地対空ミサイルシステム「パトリオット」の購入については、ロシアの提案ほど良くないとの認識を示した。
午前の礼拝後に記者団に述べた。

https://jp.reuters.com/article/turkey-security-usa-idJPKCN1T50OZ

S400の対抗として槍玉に挙げられているパトリオットシステムだけど、実際、客観的に見て、価格内容比(コスパ)は悪いのよね。
日本では、PAC3の最新バージョンが導入されているが、元々SM3 Block2a開発までの「つなぎ」として導入されたもの*1で、拠点防空能力しかなく、弾道ミサイル迎撃能力も終末(ターミナル)フェイズ限定、かつ速度の遅い短距離弾道ミサイル迎撃が限界とされる。
更に問題なのが、MD用のパトリオットミサイルは、純粋な対空用のパトリオットミサイルに比べると、射程が劣る点。(命中率などは互角)
対して、ロシアのS400は、弾道ミサイル迎撃能力の方がオマケで、限定的*2なのだが、その性能ですらPAC3の弾道ミサイル迎撃性能を大きく上回り、純粋な対空用ミサイルとしても、パトリオットミサイルより(かなり)高性能。それでいて、パトリオットミサイルより(かなり)安い。
トルコは当然、「(アメリカに)安くなるんだろう?」と交渉したのだが、アメリカはこれを拒否している。
日本も、アメリカにコスパの悪いPAC3を売りつけられている点で、トルコに対して同情したい気分なのだが、トルコも、本来ならば日本と同様に「西側兵器縛り」があった筈で、アメリカもそれを理解していたから、値引き交渉に応じなかったのだが、ここでトルコが「なら、ロシア製のS400を買うわ」と言うのは、日本の立場と置き換えてみればわかる通り、「アメリカとの関係を棄却して、ロシア側に着く」と明言するに等しい。*3
当然だが、トルコは「それだけの覚悟」を持ってアメリカにNoを突き付けているのだ。
一歩間違えれば、半世紀以上もNATO加盟国として西側に居た、ロシアと中東の両方に影響力がある立地の戦略要地と言うべき国が、コロリとロシア側に転げ落ちる、そういう危機。
…なんだけど、トランプはイマイチ反応悪いんだよねぇ…。

*1:ミッドコース迎撃のSM3と併せて多層防御可能である、と言うメリットはあったが

*2:秒速4.8km以下の速度までなら迎撃可能。これは準中距離弾道ミサイルの終末速度に相当し、PAC3の秒速2.0kmよりずっと高性能

*3:実は韓国が、2005年ごろ、レームダック化したブッシュJr率いるアメリカを舐め腐って、第2次FXで購入候補にSu35を入れたが、応札すらされず、ボーイングの単独入札となり、F15Kを追加調達した。続く2011年の第3次FXでは、オバマを超舐めていて、中国に擦り寄っていた韓国は、懲りずにロシアのPKFAを候補機にあげた。どちらもロシアが本気で応札するはずも無く、結果的に穏当に済んだが、もしロシアが応札し、韓国が調達に前向きに対応したなら、トルコと同様にアメリカから圧力を掛けられていただろう、ヤバい話だった。しかし、真に恐ろしいのは、この2回の行動ともに、韓国人は特に深い考えも無く、単にアメリカを舐め切っただけの行動だったという辺りだろう