gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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米軍がF-35を仮想J-20に?「性能が違い過ぎ」と専門家―中国メディア|レコードチャイナ

米軍がF-35を仮想J-20に?「性能が違い過ぎ」と専門家―中国メディア|レコードチャイナ

2019年6月11日、環球時報は、米空軍の第65アグレッサー飛行隊がF-35A戦闘機を中国のJ-20戦闘機の仮想機として導入を検討しているとの情報について、中国の専門家が「J-20を想定するには無理がある」との見方を示したと報じた。
記事は、再建された同飛行隊がF-35A戦闘機を装備するとの情報が広く注目を集めており、米軍からは仮想敵部隊に導入するF-35Aがどのタイプの戦闘機を模倣するのか明言されていないものの、「多くのメディアがJ-20を想定したものと予測している」と伝えた。
そして、同飛行隊が所属する米軍第57航空団の指揮官がSNS上に、黒塗りのF-35戦闘機がF-16Cと一緒に飛ぶレンダリング図を掲載したと紹介。他国の戦闘機を模倣して塗装されたものとの見方が出る一方で、中国の匿名の軍事専門家が「黒塗りの塗装は昼間の光学偽装に向いておらず、ステルス性を持つ第5世代戦闘機の塗装ではなさそうだ」と指摘したと伝えた。
記事は、「現在の全天候型の戦闘機に施される塗装は主に、空の色に融け込みやすいグレーを基調としたもの、低空飛行による防御突破を想定して上部を迷彩柄にして腹部を青またはグレーにしたもの、そして相手の視覚的判断を狂わせるための不規則や色彩と模様を採用したものの3つに分けられる」とし、「J-20を含め、プロトタイプ機や実証機では濃いグレーや黒の塗装が施されるが、これは作戦上の必要性に合わせた塗装ではない。米国のB-2ステルス爆撃機が黒いボディーをしているのは、夜間爆撃における光学偽装をしやすいためだ」と解説した。
その上で、専門家は「少なくとも塗装から見て、真っ黒なF-35にJ-20やSu-57との類似点は見いだせない。機動性やレーダー反射面積、航空電子性能も大きく異なる。F-35は超音速巡航能力を持っていないうえ、加速能力も不十分。近距離戦闘能力も劣っている。ステルス性や航空電子システムは先進的だが、F-35が他国の特定の第5世代戦闘機を上手に模倣することはできない。あくまで、第5世代戦闘機の大まかな性能的特徴を模倣できるに過ぎない」との見方を示したと伝えている。(翻訳・編集/川尻)

https://www.recordchina.co.jp/b719934-s0-c10-d0135.html

とっても不思議なんだが、中国人のJ20に対する盲目的な信頼は、何を根拠にしているんだろう…。
そもそも内装ベイを欲張った結果、機体がデカ過ぎになり、ロシア製じゃないとエンジン推力が足りない問題は有名で、「(推力重量比が悪くて加速性能も運動性も期待できないから)戦闘爆撃機だろう」と言われてたぐらいだし、当然、超音速巡航も出来るなんて話は聞いた事が無い*1。F22やSu57とかSu35、日本のX2の様な推力偏向装置も付いて無いので更に運動性は…だし、その癖、ステルス性能に悪影響するカナード翼とか付いてるからF35どころか、ユーロファイターとかの第4.5世代機級なんじゃとか言われてたし、これらの問題に関して、中国側が「解決した」という証明をしたことが無い。
それどころか、2018年には対ステルスレーダーすら搭載してない、インド空軍のSu30にあっさりと発見されて、「レーダーリフレクターを付けて訓練していた。探知できて当然である」とでも反論すれば良かったのに、真っ先に「当該地域では訓練して居なかった」と主張し、そのウソが中国の軍報からバレるというワンセットをやらかしている。*2
この状態で、輸出している訳でもなく、国際的な演習に参加させる訳でもなく、国外や国境付近に配備する訳でもなく、国内深くに配備して客観的な能力証明をせずに「オラが殲20は最強ズラ」と言い続けているだけなのに…。
ついでに、F35に対する侮りが酷く、情報が古い。
まず、F35が「超音速巡航能力を持たない」とされたのは、最初の要求仕様に含まれていなかったからで、実際に飛ばしてみたら、変態出力のF135エンジンのお蔭で、内装武器を満載にしても、マッハ1.2のスーパークルーズが出来てしまったというオチがついている。
これは、2012年に公表されている事実である。
次に、機動性に関してだが、リミットGに制限を受けているブロック3Iで7G(A型)までと、従来戦闘機と変わらない機動性しか発揮できなかったが、2018年に試験終了したブロック3Fだと、9G(A型)までが解禁され、これはF16の様な格闘戦重視の軽戦闘機の最大Gと等しく、F22の公称値とも互角である。
ぶっちゃけ人間の限界Gでもあるので、これ以上、リミットGが高くても、有人機なら意味が無いのだ。
その上で、F35はF16より格闘戦能力で優れている、と言うパイロット評価を得ている。
そりゃ、比推力の関係でF22に比べて非力なF35は、垂直上昇能力や、加速性能では劣る事は事実だが、既存の4.5世代機相手なら、互角以上の性能は確保されているのだ。
レーダー反射面積(RCS)に関しては、何をかいわんや。
現状、ロシアも中国も、明確な数値を公表していないが、ロシアですら「F22(の公称値)には及ばない」と明言するぐらいで、放言が大好物な中国人ですら、「J20はF22と互角」と言うに留めている*3
…が、2010年頃に米軍関係者から、相次いで「F22よりF35のステルス性の方が高い」という発言が出ており、少なくとも現時点では、後方に関しては双発機であるF22より、エンジンノズル面積が小さく、レーダー反射面積(RCS)も低い可能性が示唆されている。
多分、この専門家は、こうした情報も把握してないんじゃないかな…。
そうした、中国人には耳に痛いアレコレを加味した上で、「(J20とF35では)性能が違い過ぎ」という専門家(笑)のコメントを考えると、氏の発言意図とは真逆の意味にしか聞こえないよなぁ…。

*1:一応、J20専用の最新エンジンWS15搭載の暁には…とドズルのような事は言ってる。2016年完成予定だったらしいが、完成したという話は聞こえない。百度を見たら2019年に記事更新されてるのに、まだ「設計段階」と書かれてるんじゃが…

*2:https://www.epochtimes.jp/2018/05/33424.html

*3:https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_20190521015/では「米国のF-22の100分の1程度の性能」と称している