gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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極超音速ミサイルの開発競争激化 軍事アナリストに聞く - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

極超音速ミサイルの開発競争激化 軍事アナリストに聞く - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

英調査会社IHSマークイットの軍事情報部門ジェーンズのミサイル分野の専門家、アンドリュー・ガーラー氏(ロンドン在勤)は3日までに東京都内でインタビューに応じ、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約が8月に失効することを機に極超音速(ハイパーソニック=マッハ5程度を上回る速度)ミサイルなどをめぐる開発競争が激化するとの見方を示した。ミサイル分野で高い技術を持つ日本の防衛関連企業への注目が高まるとも指摘した。
ガーラー氏は、射程500~5500キロメートルの地上発射型ミサイルを対象にしたINF条約が米国の離脱によって8月に失効することを受け、米国は新型ミサイルの開発を始めると指摘。ロシアや中国との競争が本格化すると述べた。
ミサイルの開発が各国で進み、特に極超音速ミサイルの配備が本格化することに伴い、攻撃を受けた場合には既存の手段での防衛が困難になるとの認識を示した。
一方、日本はミサイル開発で米国との強力なパートナーとして存在感を高め、日本の防衛関連企業の技術が世界的にも注目を集めると分析した。
(中略)
--極超音速ミサイルの技術が進化し、迎撃や防衛が難しくなった。各国の戦略にどんな変化が起きるか
極超音速ミサイル攻撃への対処で難しいのは、ミサイルが高速で移動する点だけではない。それを捕捉し対策を取るまでの時間をどれだけ短くできるかという課題がある。米国も既にその問題に取り組んでいると思う。具体的な対応策として有効なのは、別の防御型の極超音速兵器や(レーザーをはじめとする)エネルギー指向性兵器の開発だ」
(後略)

http://www.sankeibiz.jp/business/news/190704/bsc1907040500001-n1.htm

専門家の発言だけに、目新しい情報は無いが、内容は堅実で分かりやすい。
まだまだ画餅に近い話ではあるが、極超音速飛翔体(hypersonic glide vehicle)を迎撃できるという事は、それより速度が遅いジェット戦闘機とか、従来型のミサイルは「全て陳腐化する」という意味に成り得る。
今の所、SM3にせよパトリオットミサイルにせよ、1発当たりのコストが非常に高額(一発数億円から数十億円)で、同クラスの価格帯に居る弾道ミサイル迎撃ぐらいにしか使えないが、エネルギー指向性兵器による「低コストな迎撃」が実現した場合、制空権に関する常識の破壊(パラダイムシフト)が発生する事は不可避となる。
それこそ、田中芳樹七都市物語や、マヴラヴオルタの対BETA戦の様に、航空機が著しく制限される戦争、という時代に回帰する可能性すらある。
その場合、数による面制圧が得意な陸軍国家は、少数精鋭による点と線の侵攻を得意とする海軍国家より優位に立ちうるようになり、「戦争は数だよ、アニキ!」な時代が再来するので、次にはドローンによる群集(スウォーム)戦術の価値が上がるかもしれない。
折角、ルーピー鳩山が、なけなしの良心で日本のレーザー開発を潰さなかったのだから、自衛隊はエネルギー指向性兵器による「低コストな迎撃技術」を開発してくんないかなぁ、と思ったり。