gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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戦争を変えるか、研究進む「量子レーダー」 高解像度とステルス性を実現 | NewSphere

戦争を変えるか、研究進む「量子レーダー」 高解像度とステルス性を実現 | NewSphere

量子レーダーと呼ばれる新方式のレーダーにより、空の戦闘のあり方は一変するかもしれない。世界で研究が進むこの技術は、離れた場所にある二つの量子が互いに影響する「量子もつれ」と呼ばれる現象を利用し、従来よりも格段に鮮明に機影を捉える。さらにレーダー自体のステルス性が高いことから、自機の位置を知られることなく索敵が可能となる。制空権争いの構図は、近い将来に塗り替えられる可能性が出てきた。
(中略)
MRT誌によると、現在では比較的短距離でのみ実験に成功しており、研究室の外での実用化には時間がかかりそうだ。ただし、この技術自体の将来性は高い。低出力であるという利点を生かし、電磁波の低減が求められる医療目的での応用も期待されている。軍需・民生を問わず広く活用されることだろう。

https://newsphere.jp/world-report/20191016-1/

量子研究は、実は日本が世界の最先端に居る数少ない先進分野の一つで、予算不足が理由で、派手な大規模実験は悉く中国に先を越されているが、その基礎となる実験の大部分では日本が先行している、と言う状況。*1
そして、その日本で、量子レーダーは当然のように研究されていて、既に実用分野に向けた開発が進んでいる…が、当然の様に、軍事用途ではない。
理由は簡単で、記事の最後に取って付けたように書かれた「比較的短距離でのみ実験に成功」という話に集約されるから。
「現在作れる量子光では、軍用に耐えうる距離の探知が不可能」なのだ。
中国が盛んに「量子レーダーが実戦配備の暁にはー」と吹いているのは、100%実現性の無いプロパガンダの類でしかなく、この記事も、半可通の妄想記事と言うオチになる。
そも、ステルスと言っても、「レーダーに良く使われる(適した)波長」に対するステルスでしかない訳で、長波レーダー*2とか、レーダーに不向きな特性の電波を使ったレーダーを併用する事で、ステルス機を発見する技術が中露では研究中で、そっちの方がまだ有望だと思うわ。
量子レーダーが本格的に必要になるのは、むしろ少し古めのSFで想像されていた「量子テレポーテーションを利用して光より早く、超遠距離先の事象を捉える」必要が出てきた時代じゃないのかねぇ…。

*1:つまりは、ほぼリアルタイムで日本の研究成果が盗まれてるってオチだ罠

*2:波長が長いせいで、高精度な探知が出来ない