gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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トランプ大統領 イランへの反撃言及せず 事態悪化避けたい姿勢 | NHKニュース

トランプ大統領 イランへの反撃言及せず 事態悪化避けたい姿勢 | NHKニュース

アメリカのトランプ大統領は、イランがイラクに駐留するアメリカ軍の拠点を攻撃したことを受けて国民向けに演説し、アメリカ人兵士らに死傷者はいなかったと強調しました。そのうえでイランによるさらなる攻撃の可能性は低いという認識を示すとともに、反撃に言及せず、事態のエスカレートは避けたい考えを明確にしました。
イランは革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害されたことへの報復だとして、現地時間の8日未明、イラクに駐留するアメリカ軍をねらって10数発の弾道ミサイルを発射しました。
これを受けてトランプ大統領ホワイトハウスで8日午前11時半、日本時間の9日午前1時半ごろ国民向けに演説しました。
このなかでトランプ大統領は今回の攻撃でアメリカ人兵士らに死傷者はいなかったと明らかにし、「アメリカ軍の兵士はみな安全な状況にある。軍の拠点への損害は最小の規模で済んだ」と強調しました。
そして「イランは今のところ矛を収めているようだ。それはすべての関係者にとっても世界にとってもよいことだ」と述べ、イランがさらなる攻撃をする可能性は現時点では低いという認識を示しました。
そのうえで、「われわれは強力な軍や装備品を持っているが、使いたくはない」と述べるとともにイランへの対抗措置としては軍事力の行使ではなく、新たな経済制裁を科し、圧力をかけ続ける考えを示しました。
そして最後にイランの国民や指導部に対するメッセージとして「アメリカは平和を追求するすべての人々とともに、平和に身をささげる準備ができている」と述べました。
トランプ大統領はこれまでイランが報復に出れば反撃するとたびたび強く警告していますが、演説では反撃に言及せず、事態のエスカレートは避けたい考えを明確にしました。
(後略)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200109/k10012239471000.html

このニュースを見て、「ああ、トランプの野郎イモ引きがやがった」。
と言うのが個人的感想。
ただ、1日空けて正確な情報が出揃った現在、イランの「反撃」が、実に高度な駆け引きに基づくものであったことも、明らかになっている。
まず、昨日のエントリで「被害が極限されたのはアメリカ製防空システムのお蔭だったら」という事を書いたが、残念ながらアメリカ製防空システムは、サウジで露呈した通り、イマイチな性能しか発揮できなかったようだ。
これは、アメリカ製MDシステムを数兆円かけて整備した日本にとって、ガッカリニュースと言える。
一方、イランの攻撃が周到過ぎて驚く。
被害を受けた基地の状況を見る限り、無人偵察機や航空機の格納庫など、きっちりとイランにとって忌々しい装備を破壊すると同時に、攻撃した時間的に、無人である可能性が高い場所をピンポイントで狙っていた事である。
更に言うなら、事前にアメリカに攻撃を通達しており、米兵が退避壕に逃げる余裕すらあったとか。
…そりゃ、死者が出る筈ねーや。
アメリカ政府は、アメリカ人が殺された場合、その報復を数倍にして返す性質があり、これを回避する事でアメリカの軍事的報復、全面戦争を引き起こさせないように、抑制したのである。*1
事実、トランプは米兵に死者が無かった事もあり、経済制裁による報復へと舵を切った。
この件は、「武力行使も外交の一カードである」という事実を端的に示す話だと思う。
このイランの周到な「報復攻撃」に安堵したのは、むしろトランプだったのかもしれない。
外国で反政府ゲリラごと、イランの要人を吹き飛ばすなんてマネを、出口戦略も無しに強行したアホが、殴りつけた相手に配慮して貰った訳で、トランプのアホさ加減が良く判る結果と言うか。
記事には、ソレイマニ氏と一緒に吹き飛ばされたイラクの反政府武装組織が、アメリカに対する報復を叫んでいるらしいけど、上手い感じに報復したイランにとっては、「余計なお世話」なんだろうなぁ…。

*1:その一方で、国内向けにはアメリカ人を大量に殺したと喧伝する事で、アメリカのソレイマニ氏暗殺に対する報復である事を示しているのだから、その面の皮の厚さには感心するしかない。最初から大量殺人する気の無い報復で、大々的な報復を喧伝しているのだから