gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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対戦車ヘリ「AH1S・コブラ」 キャリア30年以上でも引退できないワケとは : 大艦巨砲主義!

冷戦時代、世界最強の戦車部隊を擁するソ連の北海道上陸に備え配備されたのが、陸上自衛隊の対戦車ヘリコプター「AH1S」だ。通称、コブラ。日本初の本格対戦ヘリとして30年以上のキャリアを誇り、いまなお第一線で本土防衛の任に当たっている。
(中略)
陸自は昭和56年からAH1Sの本格配備を開始。7機目からは富士重工業によるライセンス生産が始まり、12年までに90機が生産された。その後、老朽化に伴い導入初期の機体が退役し、現在は60機程度となっている。
陸自はAH1Sの後継として、17年度から「アパッチ・ロングボウ」の愛称で知られる対戦ヘリ「AH64D」の取得を開始した。
(中略)
陸自は当初、このAH64Dを60機以上導入する予定だった。しかし、調達価格が高騰し、実際には10機の取得で打ち止めとなった。具体的な次期対戦ヘリのメドも立っていないことから、陸自内では「AH1Sにもう少し頑張ってもらわなければ」(幹部)と期待する声もあがる。

http://www.sankei.com/premium/news/160727/prm1607270002-n1.html

マジレスすると、昔はタンクキラーとして対地攻撃の要として無双した攻撃ヘリだが、電子機器の低価格化に伴い、安価な歩兵携行型地対空ミサイルが普及すると、攻撃力の高さはそのままに、実に「撃たれ弱い」という弱点が出来てしまった。
結果、キルレシオで1機(25〜48億円)で1ダース以上の戦車(1両5億円x12=計60億円)をぶち殺すタンクキラーであると同時に、1発1千万の地対空ミサイルが1ダース(計1.2億円)もあれば、歩兵でも撃墜できてしまう*1というアンバランスな兵器になってしまったのだ。
となると、使い所を間違えると、あっという間に撃墜され、大損害。
かと言って、持っていないと戦車や軽装甲車両などの地上兵器を素早く掃討できない。
という、無いと困るが、数を揃えるのは憚られるという、扱いの難しい装備となり、本土防衛は限定的な戦力しか持つ必要性が薄い日本では、装備更新は後回しにされてしまった訳で。*2
この傾向は、金満軍事大国であるアメリカですら同様であり、純粋な攻撃ヘリの新規開発自体が、止められ*3ており、アパッチの改修延命でお茶を濁しているぐらいだ。
一方で、兵器としてのヘリコプターという物の需要は極めて高く、偵察や物資、兵員の輸送にと汎用ヘリコプターは各国で開発され、民生用と同じものを改造して使う事で、安価に調達している。
実際、日本でも偵察ヘリであるOH−1*4を自国開発しているし、汎用ヘリがベースの対潜ヘリSH−60Jを更に魔改造してSH−60K*5を開発したりしている。
…まあ、日本の場合、どちらも国産化した都合で「安価に調達」出来て居ないのだが…。
個人的には、損耗率の高い攻撃ヘリの様な装備は、さっさと無人化する事を目標に置いて、アメリカ辺りと共同開発に持ち込んだ方が、良いと思うんだがなぁ。
高価な防御装置を積んで高額化するぐらいなら、損耗を織り込んで安く作る方向性と言うか。
1発1億のミサイルを搭載するより、1発100万のロケット弾を100発バラまく方がお得と言うか。

*1:撃墜可能であるが、決して楽勝では無い事に注意。ヘリ側でも相応の警戒と対処をしており、何も考えずに歩兵の一個小隊が突っ込んでも、即座に血煙と化すだろう。待ち伏せと罠の併用が必須である

*2:だからAH64Dの調達数があっさり削られた。結果、富士重工がガチギレして訴訟を起こしたのは当然であろう…

*3:ボーイング RAH-66 コマンチは開発中止…

*4:談合発覚でぽしゃってしまったが、汎用ヘリ化の計画があった

*5:魔改造の結果、高性能化した代わりに高価格化…