gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ロシアINF条約維持へ支持結集 破棄方針の米に対抗 | 共同通信 - This kiji is

【モスクワ共同】ロシアのリャプコフ外務次官は23日、トランプ米大統領が表明した中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄方針に対し「ロシアは条約維持のために国際的支持を結集し、国連などの場で対処していく」と述べた。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がロシア公式訪問を終えたのを受け、タス通信がリャプコフ氏の発言を報じた。
リャプコフ氏はINF廃棄条約は「欧州と世界の安全を保障する礎石だ」と強調。「新たな軍拡競争や1980年代の状態に戻る必要はないとの確信が国際社会にあると思う」と語り、条約維持に向けて良識の力に期待しているとした。

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カイ・シデン「ぬけぬけとよくもまぁ!」
いやはや、ロシアには「良識とか誠意ある行動」なんてものは存在しない、と言う判りやすい実例だよな。
自分らが先にINF違反の中距離核戦力を再配備した癖に、アメリカが実効性を失ったINFの破棄に言及したら、それは世界平和に反し、軍拡競争になる、とか言い出す始末。
…お前らがINFで禁止されている兵器で軍拡競争始めたから、アメリカが対応せざるを得なくなったのに。
こーいうロシアの実例を見た上で、北方領土を「対話で返還してもらう」という事が物理的に可能だという奴は、無能な働き者だよなぁ。
そして、ロシアと同じ行動原理の下朝鮮から竹島を奪還する事に関しても同様。
結局、領土紛争の解決に、武力は欠かせないという話かと。
閑話休題(それはさておき)
ロシアの中距離核戦力が復活した事で、困るのは欧州と中国だったりする。
元々、ロシアが中距離核戦力の復活を求めたのは、INFの適用外である欧州*1や中国、特にここ20年の中国の軍拡が著しく、ロシアに届く中距離核戦力が大量に整備*2され、ロシアを圧迫していた。
だから、アメリカ相手には必要ない中距離核戦力だが、中国や欧州相手には必要なので、経済の復活したロシアは、核戦力の再整備に伴い、INF違反上等で、中距離核戦力を復活させたのである。
しかし、ロシアの中距離核戦力が復活した事で、今度は中国や欧州が困った。
今までは、ロシアが中国や欧州相手に使える核兵器は、短距離弾道ミサイルや、投下爆弾しかなく、比較的少数の核戦力でロシアを抑止できていたのに、2個大隊に及ぶ中距離核戦力が復活した以上、中国や欧州も、相応の核戦力を追加で整備せざるを得なくなったからである。
前の記事でも書いたが、中国の軍拡が玉突き事故のように、周辺国の軍拡を招いたという話だ。
アメリカとしては、自国に届かない中距離核戦力は、いまさら再整備する価値は低いのだけれど、そもそも中距離核戦力の増大が、アメリカと欧州の核の脅威に対する均衡を崩し、離間策として機能した経緯があるから、アメリカとしてはロシアの中距離核戦力を放置する訳にも行かない。
かくして、現状に至る。
ロシアとしても、既に配備した中距離核戦力を捨てる訳にも行かないだろうし、INFは破棄されると思う。
日本にとっての問題は、ロシアの中距離核戦力は「日本にも届く」という点。
とはいえ、核を持たない日本向けには核搭載型の長距離爆撃機があれば、威嚇には必要十分であり、積極的に日本に中距離核戦力を向けるメリットは薄いが、日露が敵対関係になれば、中距離核戦力の標的を日本に振り替える、という選択肢も十分あり得るわけだ。
つまり、アメリカが中距離核戦力を再配備する際に、その配備先として日本が選ばれる可能性が十分にあり、日本はそれを「核の傘」として受け入れられるか否か、と言う話にもなる。

*1:フランスでは2009年にASMP巡航ミサイルが射程を大幅に伸長させ、射程750kmの核搭載型巡航ミサイルとして実戦配備された。配備数は40基程度とされる

*2:射程1500km核搭載可能なCJ-10巡航ミサイルは350発配備済、射程2650km核搭載可能のDF-3A中距離弾道ミサイルは150発配備済、射程2150km核搭載可能のDF-21中距離弾道ミサイルは100発配備済、ただし割り当てられた核弾頭は90発前後