gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

中距離核全廃条約離脱を伝達=米補佐官、ロシア外相らと会談:時事ドットコム

【モスクワ時事】ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日、モスクワでロシアのラブロフ外相やパトルシェフ安全保障会議書記と会談し、トランプ大統領が表明した中距離核戦力(INF)全廃条約離脱の意向を直接伝達した。米国はロシアの条約違反を指摘するが、ロシアは順守を主張しており、厳しいやりとりとなったもようだ。
ボルトン氏は、パトルシェフ氏との会談後、ロシア紙コメルサント(電子版)とのインタビューに応じ、米国は5年以上前からロシアの条約違反を指摘してきたと強調。しかし、パトルシェフ氏との会談では「INF条約に違反しているのはロシアではなく、米国だ」と告げられたと述べた。
ボルトン氏は、INF条約が適用されるのは米ロだけという状況下で「一方が条約違反をし、世界で米国だけが条約に縛られている。これは受け入れられない」と主張。INF条約に縛られない中国やイラン、北朝鮮が軍事力を強化していることがトランプ氏の決断の背景にあると解説し「中国の脅威は現実的だ」とも語った。(2018/10/23-06:22)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018102300169

一部の記事は、まるでアメリカが突然一方的に破棄を言い出したかのように誤認させるタイトルを付けたりしているが、記事にある通り、ロシアは条約違反を5年以上前から指摘されているのに、一向に改善の兆しも無く、むしろ軍事パレードなどで開発した巡航ミサイルなどを見せつけている状況だった。
ラク・チキン・オバマ負の遺産であり、トランプがとうとうブチ切れたというだけの話。
これって、日韓合意とかもそうだけど、相手が約束を守らない結果、合意や条約が有名無実化しているのに、約束が守られていないからと、破棄を申し出る側が一方的に悪役にされる図、と言う奴であり、本来なら「約束を守らない側」が全面的に非難されるべき案件。
日韓合意と同じで、「約束を守らない側」が平然と嘘をつく辺りも同様と言う辺りが、うんざりする。
まあ、コレに関しては、日韓合意と違って、当時の米ソと、今の米露で、戦略が大きく変わってしまい、前提条件が崩れている、と言うロシアに同情すべき点が無い訳でもない。
当時ソビエト崩壊の前夜でもあり、相互確証破壊を担保する長距離核弾頭以外の核兵器を削減する事で、軍事費負担を減らしたかったソビエトと、海軍国家であり、中距離核の射程内には敵がほとんどおらず、本土防衛には中距離核の必要性が薄いアメリカの思惑が一致して、削減交渉が進んだ。
しかし、00年代後半に原油高でロシア経済が復活すると、ロシアは核戦力の再整備に着手した訳だが、MDとレーダーシステムの性能向上や、全体的な兵器の長射程化に伴い、INFの射程500km制限が、隣接した中国や欧州相手に核兵器を使う場合、足枷となりつつあった。
特に、中国の著しい軍拡は、ロシアにとっても脅威であり、ロシアは通常弾頭型の巡航ミサイル開発の皮をかぶった、中距離核戦力の再建をスタートさせ、アメリカに怒られた訳である。
しかし、ロシアとしても中国や欧州といった隣接する核保有国が中距離核戦力を持って居るのに、自分だけ中距離核戦力を持たない、と言う選択肢も取れないし、かと言ってINFを一方的に破棄すれば、核軍縮を謳ったNPT体制下における核保有国の努力義務に反し、世界中から非難される事は間違いない。
下手をすれば、今より酷い経済制裁を受ける可能性すらある。
という訳で、条約破り上等で、バレバレのウソを建前として掲げ、中距離核戦力を配備している(イマココ)
アメリカとしても、直接の仮想敵国であるロシアが中距離核戦力を持って居るのに、自国だけ持たない、と言う事も出来ないので、INFを破棄して、中距離核戦力を再開発する羽目になった。(来年4月以降)
ぶっちゃけ、中国とロシアの景気が良くなったから、中国の軍拡をトリガーとして、玉突き事故の様に世界中に軍拡競争が起きた、と言う話であり、中国と言う国が「世界に悪い影響を与える最低の国」という結論でFA。