gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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神戸新聞|社会|職務質問をネットで動画投稿 県警、規制策なく困惑

職務質問をする兵庫県警の警察官を撮影したビデオ映像が、インターネットの動画投稿サイトに掲載され、県警が対応に苦慮している。質問を受けた人物が撮影したといい、カメラを向けられ声を荒らげるシーンなど警察官側の映像、音声のみに編集されている。現状では撮影や投稿を規制する法的な手だてはなく、県警は萎縮(いしゅく)しないよう現場の警察官に呼び掛けている。
映像は今年一月、神戸市中央区内で撮影されたとみられ、女性一人を含む制服姿の警察官四人がはっきりと写っている。主に男性警官二人が質問し、手帳を示し名乗る様子や、カメラを向けてくる相手に「わたしにも肖像権がある」「警察官を侮辱したな」と声を荒らげたりする場面などが約二分半にわたって収録されている。
質問を受けている側の映像や音声はなく、直後からユーチューブなど複数の動画投稿サイトに掲載されている。
県警によると、質問に応じない撮影者に交番への同行を求めたが、その後も無視して撮影を続けたため、警察官らは結局質問を断念したという。
職務質問警察官職務執行法に基づき、挙動が不審だったり、犯罪にかかわっている疑いが強いと判断されたりした場合に行う。身分証などの提示を求めるほか、必要に応じて所持品の検査もしている。
県警によると、二〇〇八年の刑法犯検挙件数のうち、職務質問が容疑者逮捕に結び付くなどしたケースはほぼ二割の約五千四百件。しかし、最近は質問に拒否されることも多く、ネットにはその方法を紹介した書き込みや、今回と同様に質問する警察官だけを写した動画も掲載されている。
事態を受け、県警は取り締まりなども検討したが、現時点で撮影や投稿を規制する明確な法律などはないという。一方で、今後も同様のケースが起こりうるとして、毅然(きぜん)とした職務質問の実施や、拒否する相手にも冷静に対応するよう各警察署などに文書で指示した。
県警地域指導課は「犯罪抑止には有効な方法。市民の理解が得られるよう対応を指導していく」としている。
(3/10 14:29)

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001746187.shtml

そもそも、現在の職務質問が、かなりグレーゾーンで行われており、

職務質問警察官職務執行法に基づき、挙動が不審だったり、犯罪にかかわっている疑いが強いと判断されたりした場合に行う。

これが全く守られていない。
ここ数年で4回の職務質問を受けた(うち2回はオタク狩り)が、どの場合も具体的に何が不審だったのか尋ねても明確な回答は無かった。*1
それだけ酷い聞き込みをしながら、

職務質問が容疑者逮捕に結び付くなどしたケースはほぼ二割

という非常に低いヒット率。明らかに警察官の職務質問の根拠である「犯罪にかかわっている疑いが強いと判断」が行われていないとしか思えないし、治安維持に対する有効な…と主張するにはあまりにも酷い数字だ。
市民に拠る録音や録画と言う対応は、市民が警察権力の暴走に対抗する上では、取りうる対策として有効であり、警察は不正な捜査をしていなければ、録音されていても全く問題は無いはずである。*2
閑話休題
「公務員の肖像権」についてだが、コレについて「公務中の警察官に肖像権は無い」という意見が広く知られているが、実際にズバリの判例、判決は無いらしい。
そもそも日本において、肖像権を規定する法律が存在しない。
憲法13条に関連して「公権力が特別の事由なく私人を撮影してはならない」という判例があるくらいで、「私人間で撮影されない自由」と言うものは無く、著名人を撮影した場合は「財産権の侵害」、盗撮などの場合は「わいせつ罪」で裁かれるだけである。
結果、公務中の警察官に対する「撮影されない自由」については、多くの公益目的(不法捜査の証拠とか)があると考えられている為、罪を問う事は難しいらしい。(撮影されるだけなら実害ないし)
ただし、「撮影」より実害の発生しうる可能性の高い「公表」することに関しては、ケースバイケースで、十分かつ正当な事由が認められる状況でもなければ、迷惑防止条例とかに引っかかって、逮捕される場合があるとのこと。
この記事の場合、自分自身は隠して警察官の音声・映像のみに編集するなど、不当尋問に対する証拠としての体裁が整っていないし、もし警察をからかう目的の愉快犯である、と言う立証が出来れば、障害権の侵害以外の法律で罪を問われるんじゃないかと。(その立証が難しいから無視されると思うけど)
まあ、なんにせよ、職務質問に対する録音・撮影と言う行為は、公権力の暴走から個人を守る盾として有効だから、広まるといいな。
参考:肖像権 - Wikipedia

*1:ちなみに、新宿と秋葉原オタク狩り職質を受けた際は、強く拒否した為、4人以上に囲まれ、30分以上拘束された。他の2回は治安上の職質だったので協力的な態度を取って、気楽な質問と言う形で尋ねたが、笑いながら「キミだけじゃなく、みんなにも聞いてるから」という信じられない回答が帰ってきた

*2:これは、警察が職質の際に拒否した相手に言う定番の台詞「何もしてないなら、職質受けても問題ないよね」に対する痛烈な皮肉とも言える