gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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時事ドットコム:無実の服役「あってはならぬ」=可視化に否定的−麻生首相

麻生太郎首相は4日夕、「足利事件」の菅家利和さんが再審開始決定前に釈放されたことに関し「無実の罪で17年服役したということはあってはいけない」と述べ、えん罪であることを認めた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
事件当時のDNA鑑定が誤っていたことについては「科学的なレベルが今のレベルと全く違う。一般論として答えるのは難しい」と語った。取り調べの可視化を求める声があることについては「可視化すればえん罪が減るという感じはない」と述べ、否定的な見解を示した。(2009/06/04-20:09)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&rel=j7&k=2009060400848

科学捜査のレベルが今と昔では精度において「桁違い」なのは事実だが、問題は警察がその確率的に見て信頼性が低い調査結果のみを理由に事件を処理したと言うのが問題なのだから、第三者に拠る捜査や証拠に対する検証を可能にする為にも、「取調べの可視化」は冤罪減少に有効であると思う。
その点で、麻生総理の意見には賛成できない。
暴力団やマフィア等、職業的犯罪者は、取調べなどに対するノウハウを持ち、いざと言うときにはヤクザとつるんだ弁護士を呼び、日本警察が得意な密室取調べや自白強要が通用しない。
昔ながらの密室取調べで犯罪者が逮捕できる、というのは素人犯罪に限られているのだ。
そもそも「可視化」と言っても、警察官のウソ、誘導、恫喝でやっても居ない犯罪を認めさせられるような事を無くしたい、というだけなのだから、取調べ映像を「正当な理由無く公開する必要は無い」と思うし、「人様に見せられないような取調べ」を常にやっている訳じゃなく、例外的に必要な事例がある、というのなら具体的な例を抽出して国民の同意を得ればいいと思う。
少なくとも、「冤罪事件はあるし、警察官不祥事は絶えないけど、取調べの可視化はイヤ」というのでは話にならない。
追記:やっぱり、マスコミの恣意的な省略があったか。

足利事件
――よろしくお願いします。
「はい」
――足利事件で服役していた菅家さんが今日釈放されました。再審が始まる前の釈放は極めて異例ですが、総理の受け止めをお願いします。
「再審請求に関する、いわゆる司法手続きってのは、今から開始されるんだと思いますけれども、私の知っている範囲で、これは極めて異例って言うけど、前例はないと思いますけどね。まあいずれ、いずれにしても、無実の罪で十…七年? 服役したというのは、こういったようなことはあっちゃいかん、つくづくそう思いますね」
――総理、似たようなケースがないとは言い切れない中で、日本で再審請求が認められるのは非常にレアケースだと思いますが、総理はどうお考えですか。
「そうですねえ。あのー、今回の場合は、DNAの鑑定っていうのが大きなき、決め手になったんだと思いますけれども、昔のDNA鑑定のいわゆる科学的なレベルと今のレベルとは全然、あの倍率がまったく違うことになってるんで、そういったケースもあるんだと思いますが、これ一概に一般論としてちょっと答えるのは難しいです」
――総理、この件を受けて、冤罪防止のためにさらなる取り調べの可視化を求める議論が強まると思いますが、総理のお考えをお聞かせ下さい。
「あ、可視化が、かの、必ずしも、それにつな、可視化にしたからといって途端に、あの、よ、それが良くなるという感じはありません」
――総理、そうは言っても、無実の人が捕まって刑に服することはあってはならないことだと思いますが…。
「それ今答えた通りです」

http://www.asahi.com/politics/update/0604/TKY200906040281.html

アカヒあたりはコレだけで釣られてくれると思ったようだけど、あくまで首相は「可視化は特効薬ではない」と言及しているに留まる。
別に可視化を否定してる訳じゃないやん。…ま、すぐに導入する気もなさそうだけど。
わざわざ、変な書き方をしているが、恣意的な省略してないだけ、マシだな。
おまけ。
参考:to be a Rock and not to Roll<エッセイ<中島・宮本・溝口法律事務所 それでもボクはやってない
例の痴漢冤罪映画を見た、「法律関係者」のエッセイ。
コレを読んだ人に「裁判員制度はやっぱり不要ですか?」と問いかけたい。