gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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東京新聞:中絶訴訟 合意でも男性責任 慰謝料命じる:社会(TOKYO Web)

未婚の男女が双方合意の上で妊娠中絶した場合、男性側に慰謝料を支払う義務があるかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が東京高裁であり、渡辺等裁判長は「女性の苦痛は等しく分担すべきだ」として、男性に慰謝料など百十四万円の賠償を命じた一審東京地裁判決を支持し、男性側の控訴を棄却した。判決は十五日付。
判決によると、二人は二〇〇七年、結婚相談所の紹介で約一カ月間交際し、別れた後で妊娠が判明。男性は手術の同意書に署名、手術費三十万円を負担し、納骨にも同行するなどした。
判決は「女性の苦痛や負担は共同行為で生じたものであるから、等しく不利益を分担すべきだ」と指摘。男性側は「最大限真摯(しんし)に対応した」と主張したが、「女性に産むか中絶するかの選択を委ねるのみで、父性の義務を果たさなかった」と述べた。女性側の代理人弁護士は「男性の責任を正面から認めた判決は意義深い」と話している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102302000046.html

…いみがよくわからない。
同意の上で子作りしてて、別れた後の妊娠発覚にもかかわらず、手術費用負担、納骨にまで同行したのに、更に慰謝料?
なんで?
ぶっちゃけ、別れた後の妊娠発覚なんて「本当にそれ、俺の子?」というレベルから論争が始まるのが普通だと思うのに、上記のようにすべき事をした人間に追い討ちで慰謝料請求とか、ありえねー。
少なくとも、この記事内容と、裁判所の理由「父性の義務」とやらだけでは納得できないと思う。
とはいえ、人工中絶と言う言葉だけでなく、その実体も含めて説明されれば、納得できる部分もあるのだ。
まず、日本の人工中絶の95%は中期中絶と呼ばれる妊娠3ヵ月目以降の中絶である。
初期中絶と異なり出産に近い形になる為、激しい痛みと、3〜5日程度の入院を必要とする。(一週間後に検査通院もある)人工中絶はあまりおおっぴらに出来ない話であり、この期間を捻出するのは、きちんとした仕事をもつ女性には難しいだろう事、それによる経済的問題が発生しうる事は予想できる。

また、中絶手術自体にリスクがある。
体内の正常な器官を誤動作させて流産させる訳で、体に負担が無いはずも無い。
残った残物を器具で掻き出す際に、体内に傷がつく場合がある。
更に、肉体のみならず、自分の一部であった子供を殺してしまったという事実が精神的負担となる場合もあり、人工中絶後も精神的負担を背負う場合があるとの事。
こと、妊娠出産と言う点で女性は男に比べると圧倒的にリスクと負担が高いのは客観的に見て事実なのだ。
だからこそ、単に「男が負担する中絶費用」が、医療機関に支払う金額だけでは女性の方が割に合わない。
という意見が女性側に発生する事に、一定の理が存在するとは思う。
この辺りは、説明されれば納得できなくも無い。
しかし、こうした性差リスクは男より手厚い性教育によって、当然女性側が身に付けているはずの基礎知識であり、だからこそ、安易に子作りすんな、婚前交渉で避妊しない男とは付き合うな、という当たり前の倫理。
そして、コンドームや膣外射精だけじゃ全く避妊として役に立たないんで月経周期を把握しろとか、必要ならピルを使えとかいう常識へと繋がっているはずなのに、なんでポコポコ妊娠するの?
という素朴な疑問もまた感じてしまうのだ。
これらは、裁判所の言う「父性の義務」なんて問題ではなく、そもそも双方の無知蒙昧と無責任が引き起こした問題だろうと思うのだ。
だから、裁判所が「双方が婚前交渉における避妊の責任を怠った」という理由で、上記の女性側の負担を説明し、男性との差分を金銭的負担として請求する、と言う話なら理解できる。
なに?「父性の義務」って。この辺りの「司法だけが理解してればおk」的ズレも、日本の司法の問題点じゃなかろうか。
閑話休題
この件とは関係無いが、妊娠時に父子のDNA鑑定を義務化すればいいと思う。
これで困るのは、不倫大好きな股の緩い女性だけだと思うのだが。
少し調べてみると、出生前鑑定における問題点は、ナチスのような優生学に利用されたからと言う、「は?だから何」的理由しか見つけられなかった。
出生前鑑定が解禁されなければ、出生前遺伝子治療という分野は永久に進歩しないだろうに、出生前遺伝子治療が存在しない事が、出生前鑑定を「優生論により先天障害児を殺す手段になりうる」として反対される理由になるというデッドロック状態と言うのだから、笑えないというか。