gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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EU・IMF救済「断るなら今」- SankeiBiz(サンケイビズ)

まだ遅くはない。アイルランドのカウエン首相はまだ、欧州連合(EU)と国際通貨基金IMF)の支援を断ることができる。
■「破産の方がいい」
おぼれる者に救命ボートを断れというのはおかしなことに聞こえるかもしれない。しかし、アイルランドの決定は、今後数世代にわたる同国の運命を左右する。アイルランドは救済融資を受けるよりも破産した方がいい。救済に付される条件は、救われるに値しない。一度EUの資金を受け取ったら、二度と自由にはなれない。第一、アイルランドの銀行は救う価値がない。デフォルト(債務不履行)は、言われているほど恐ろしいことではない。
真の問題は、アイルランドの政治家にそのような行動を取る勇気があるかどうかだ。
アイルランドは11月、EU・IMF主導の救済を受け入れるよう迫る圧力に屈した。それは何の驚きでもなかった。市場はアイルランドの財政と銀行救済コストを心配するあまり、同国の10年物国債利回りは同月、9%近くになっていた。
確かに、救済案がまとまらなければ、債券市場は大混乱に陥るだろう。ポルトガルとスペイン、イタリア国債の取引はアイルランド救済が頓挫した場合、数日間は目も当てられない状態になるだろう。それでも、アイルランド人は救済にノーと言うべきだ。
その理由はこうだ。第1に、負担が重すぎる。EUは、低い水準にあるアイルランド法人税率のアップを求めるだろう。12.5%の法人税率はアイルランド経済のよりどころ。低税率は多数の企業を呼び込み、2008年にはユナイテッド・ビジネス・メディアなど英大手企業2社が税務上の本拠地をアイルランドに移した。法人税の税率アップが救済条件として明示されなくても、アイルランドには税率引き上げへの圧力がかかるだろう。低税率は企業、政府歳入、雇用を近隣諸国から奪うからだ。デュッセルドルフの企業が支払う高い税金をなぜ、競合他社が低税率を享受している国の救済に使わなければいけないのかを説明するのは難しい。
それでも、税率引き上げは大間違いだ。低税率と開かれたビジネス環境こそが、アイルランド経済の成功の鍵だった。病人を治療するのに大事な臓器を摘出するやり方はない。
第2に、EU・IMFの救済は金融のメタドン(ヘロイン中毒の治療薬)のようだ。痛みを和らげ薬をやめさせてくれるが、治療薬にも習慣性がある。治療法が、病気よりもっと悪いということもある。ギリシャが救済されてから数カ月になるが、ギリシャが資本市場にアクセスしている兆候はあまりない。これでは「ホテル・カリフォルニア」パッケージだ。ホテル・カリフォルニアは1976年にリリースされた米ロックバンド、イーグルスの代表曲。歌詞にこうある。「チェックアウトはいつでもできるけど、決して立ち去ることはできない」
■自前の金融いらぬ
第3に、救済は主として欧州の金融機関を救うことが目的だ。問題を抱えているのはアイルランドの銀行で、それらの銀行が倒れれば他の欧州諸国の銀行も巨額の損失を被る。しかし、なぜアイルランド国民がそれを心配しなければいけないのか。フランスやドイツ、英国の銀行で巨額の評価損が出るなら、それぞれの政府が対処すればよい。アイルランドは自国の銀行を閉鎖するだけだ。小国のアイルランドには自前の自動車メーカーがいらないのと同様に自前の金融業界などいらない。
第4に、アイルランドは景気の悪循環に陥る恐れがある。過去20年のアイルランド経済復活を支えたのは国民の海外移民という流れを反転させたことだ。1世紀にわたりアイルランドの若者は機会を求めて海外へと旅立った。彼らが国内にとどまるようになったことが、景気を拡大させた。しかし、この負債が次世代に負わされるなら、ロンドンでもニューヨークでも、もっと明るい未来が期待できるところへ行った方がいい。それは既に始まっている。海外への移民はアイルランドへの移民の数を95年以来で初めて上回っている。去っていくのは最も高い技能を持ち、エネルギー旺盛な人々だろう。これが国家の再建にプラスだとは思えない。
第5に、破産はそんなに悪いことではない。ロシアもアルゼンチンもデフォルトしたが、それで世界が終わったわけではなかった。金融市場は破産を究極の大惨事として描き出すが、それは銀行と債券保有者が巨額の損を被るからだ。秩序立った組織的なやり方なら、デフォルトは金融混乱に対する最良の解決策であることが多い。
ユーロ圏の低金利が招いた不動産バブルの陰には、実は競争力が高く輸出主導のアイルランド経済がある。9月の輸出は2%増、貿易黒字も拡大した。世界経済全体が弱い中で、決して悪い数字ではない。
デフォルトに踏み切れば、アイルランドはあまり時間をかけずに立ち直れる。EUの救済を受け入れれば、数世代にわたりリセッション(景気後退)から抜け出せないだろう。(コラムニスト Matthew Lynn)◇
Matthew Lynnは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。コラムの内容は同氏自身の見解です。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101201/mcb1012010506031-n1.htm

これって、民事再生できる余地があるのに、そんな苦労するより自己破産したほうが「(債務者は)損をしないよ」と言ってる話だろ…。
個人レベルの自己破産なら、狭い範囲の債権者(多くの場合はサラ金)が損をするだけだが、国家の自己破産は、世界規模に迷惑を掛ける行為であり、本人(デフォルト国)は「払えないんだから仕方ないだろう」と開き直れば良いが、債権者(貸付国。日本を含めた先進国の大部分)は、「貸した金が返ってこない」という大損をする事になる。
債権者の立場から言えば、ヤミ金なら「内蔵売ってでも払えよカス」と言う所を、サラ金が「全額回収じゃなくても、自己破産されるよりマシだ、もう少し貸してやるぜ。ただし、担保はきっちり取るぞ」と言う「穏健」な話。(ちなみに銀行の場合は国が最終的にケツ持ちしてくれるので、すぐ追加融資しないと言い出して自己破産に追い込む…)
金を借りておいて、払えなくなったら開き直りとか、個人レベルのクズでも許しがたいのに、国家規模でソレを許し始めたら、金融産業に本格的に軸足を移している日中を除いた欧米がまとめて経済基盤に致命傷を負いかねない。
そうなれば、ヤミ金のように「強制的に回収」という手段に訴える国が出てくるだろう。
アイルランド一国」という視点なら、弁護士(国際社会)に泣きついて自己破産が一番「損しない」かもしれないが、「世界全体」という視点なら、安易なデフォルトは許す事は戦争誘引に繋がる。
でなけりゃ、韓国は2年前のリーマンショックから一連の世界同時不況の時に、日米中から支援無く見捨てられてる罠。(もし韓国がデフォルトしていれば、韓国最大の債権国である「中国」が、黙って泣き寝入りするはずも無い。しかし、武力に訴えれば米韓相互防衛条約に基づき、アメリカとの戦争になる)
…個人的には、韓国にはデフォルトしてもらいたかったけど。