gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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FT誌 中国が航空機で攻勢、高速鉄道から重点シフトか:日本経済新聞

(2011年8月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国政府は国産航空機の製造を、第12次5カ年計画に定める「戦略的新興産業」の柱の一つとする意向を示した。米ボーイングと欧州エアバスの上位2社の寡占状態(デュオポリー)にある航空機市場に、国内の新進メーカーが切り込むのを長期的に支援していく。
■20年間に調達する4000機の多くを国内で
航空機の二大メーカーは、すでにライバル企業の台頭で予想される競争激化に身構えており、中国の新たな動きは頭の痛いところだろう。ボーイングのジム・オルボー民間航空機部門社長兼最高経営責任者(CEO)は6月に開催されたパリ航空ショーで「2社寡占の時代は終わった」と語った。
航空機開発を重視する中国政府の決定に先立ち、先月浙江省温州市で40人の死者を出した高速鉄道の追突・脱線事故が起きた。この事故で鉄道に対する市民の信頼が損なわれ、急ピッチで高速鉄道網を拡大する政府の方針に疑問の声が上がっていた。
経済紙の上海証券報は4日、政府が国内航空機メーカーを支援する新たな政策を近く打ち出し、今後20年に同国が購入する約4000機のうち、多くを国内で調達する方針だと伝えた。
中国政府は昨年、「戦略的新興産業」の7分野に多額の資金と幅広い政策支援を重点的に注ぐ計画を表明していた。新エネルギー車やバイオテクノロジーなど環境関連、ハイテク関連の産業が中心となっている。
■航空機は「最重点産業」
当初の分類では、国産航空機は7分野のうち「先端レベルの設備製造」に含まれ、高速鉄道もここに分類されていた。しかし上海証券報は、航空機がこの分野の「最重点産業」だと報じ、高速鉄道には触れなかった。
中国の航空機メーカーはすでに潤沢な国家資金を得ており、一方で鉄道整備の投資も、重大事故を引き金に安全性への懸念が高まる中にあっても、依然続行される見通しだ。
しかしその比重は次第に航空機産業にシフトする可能性がある。乗客らによると、7月の事故の影響で6月末に開業した「中国版新幹線」(北京―上海間)のビジネス席(飛行機のファーストクラスに相当)は空席だらけと言い、同じ区間の航空機チケットは需要の高い状況にある。
中国の航空機製造の歩みは今まで必ずしも期待通りではなかったが、攻勢に弾みがつきそうだ。中国初の国産技術による小型ジェット機「ARJ21」は、当初の計画より3年遅れの2008年に初飛行を果たした。しかし昨年、地上での試験中に翼が破損したため、顧客への納入はさらに遅れることになった。
■対抗機を2016年にも納品
ARJ21を製造した国有旅客機メーカーの中国商用飛機(COMAC)は、小型のC919型機を投入し、エアバスボーイングの牙城を崩すことを狙う。まだ開発段階だが、小型のエアバス320型機とボーイング737型機に対抗できる機種として2016年には最初の納品を行う計画だ。
欧米の航空・防衛産業はこの20年間、利幅の大きい小型機市場を支配してきたが、最近は中国メーカーだけでなく、カナダのボンバルディアなどが激しく追い上げている。
中国航空産業に詳しい米専門誌エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジーのブラッドリー・ペレット氏によると、C919型機は外国の先進技術を多く採用しているが、COMACの航空機製造の経験不足が災いし「最高の性能は発揮できないだろう」と指摘した。大半のアナリストは、政府の後押しで国内販売は順調に伸びるが、海外の航空会社は購入をためらうだろうと予想する。
同氏は「低価格を実現し、政府の補助金が問題になれば、本格的に海外に打って出る可能性もある」と語った。
ボーイングの予想によると、商用機の需要は中国だけで今後20年で4800億ドルに達する可能性があるという。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819584E2E7E2E2E38DE2E7E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

真面目な話、地面を走る鉄道より高い安全性を求められる民間旅客航空事業で、中国製のエアバス使ってます、というのはどう考えてもマイナス要素。
「まだ」航空機では大事故を起こしてませんよ、なんて言い訳は、他の先端事業で安全性軽視による事故を繰り返している状況では説得力がない。