gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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亀井代表「TPPは乗ってはならないバス」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

国民新党の亀井代表は12日の党議員総会で、環太平洋経済連携協定(TPP)について、「交渉参加ありきで乗り遅れてはいけないというのはバカな話だ。乗ってはならないバスに乗ってはいけない。乗ったら、途中で飛び降りることなんて出来ない」と述べた。
自ら11日に藤村官房長官に電話し、TPPを議論する関係閣僚会合に同党の自見金融相を加えるよう要請したことも明らかにした。
(2011年10月13日08時46分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111012-OYT1T00941.htm?from=main3

TPPに関しては、当然メリット・デメリットがあり、立場によって推進、非推進に分かれるのは当然。
…しかし、経済的に死に体のアメリカが積極的に推進しているという時点で、察しろと言うレベルでもある。
個人的には、亀井は嫌いだけれど、TPPに関しては「静観すべき」と考えている。
EUを見るまでも無く、経済圏の統合(=自由化)には大前提として「経済規模が近いこと」が挙げられる。
この前提が無いと、「自由化」は単なる「強者による一方的搾取」になってしまうからだ。
水が高きから低きに流れるのと同じくらい、当たり前の話である。
実際、アジア諸国に比べて、経済規模と文化の均質化度合いが高かったEUですら、ドイツと言う経済強国がほぼ1人勝ちでEU内の富をかき集めてしまい、色々な意味で恨みを買っている。(だから、ドイツがEUの財布になっている事を同情しない向きも結構ある)
それが、経済規模も圧倒的に小さいアジア諸国にもかかわらず、アメリカと言う世界一の怪物と、それに次ぐ怪物である日本がTPPに参加しても、「アメリカ企業の1人勝ちで日本を中心にTPP参加諸国の市場を食い荒らし、日本企業は他のTPP所属国を食い物にして凌ぐ、弱小国家は涙目」という、弱肉強食の連鎖しか生まない。
これは、一番強いアメリカ以外は得をしない話なのだ。
関税障壁は、経済規模が弱体の国々にとっては、鎧に他ならない。
これを鎧無しでも余裕で勝てる立場の強者が一方的に、「俺が鎧を脱いだから、お前らも脱げよ」と迫っているのが、今のTPP。
経団連は、TPP参加によって「日本脱出」が容易になるから歓迎しているだけで、そこに日本を省みる視点は無い。
脱退が難しい国際協定(仮に脱退できてもペナルティで莫大なお金が掛かる可能性大)だけに、徹底的に無責任かつ、次の選挙で永久に政権と無縁になる民主党なんかが決めて良い話じゃない。
最低でも、あと2年は静観し無いと…。
追記:
調べてみると、TPP賛成派の意見は、「どうせ参加せざるを得ないのだから、日本に有利なルール作りに参加できるうちに加われ」と言うのが根幹にある。
…その時点で、TPPが自由であっても平等でも公平でもない仕組みになると自ら認めているようなもんだと思うのだが。
そして、大前提の「参加せざるを得ない」が、米中(印)のアジア地域の経済的覇権をめぐる対立構造で、日本はアメリカ側につくからと言う理由が主で、そこに日本の意思は全く無い。
もちろん、日本が中国の経済圏構築に協力する、と言うのはあり得ないけれど、だからと言って、わざわざ貪欲な豚(中国)を避けて、飢えた虎(アメリカ)の猟場に入り込む必要も無い。
少なくとも、日本はそれが出来るだけの巨大な経済圏を持っており、個別FTAで十分生きていけるのだから。*1
そもそも、TPPはEUのような拡大を前提とした協定なのだから、その実態を見極めてから参入しても全く遅くない。
…まあ、EUの体たらくを見る限り、全力で回避したほうがよさそうだけど。

*1:TPP参加国の顔ぶれを見る限り、日本の輸出品を代替できる輸出産業を持つ国がアメリカくらいしかない。材料工学分野では、アメリカでも代替不可能だろう