gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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IBM研究所、超丈夫でリサイクル可能な素材をうっかり作成 : ギズモード・ジャパン

ドジっ子が生んだセレンディピティ
強くて丈夫な素材をリサイクルするのは難しいとされてきました。が、IBM研究所が、非常に強じんで自己修復性があり、軽くてリサイクルも容易なふたつの新素材を発表しました。そしてその素材は、まったくの偶然から生まれたものなんです。
ある日IBM研究所のジャネット・ガルシア博士は、標準的なプラスチックポリマーの材料を混ぜあわせていたのですが、ある材料だけうっかり忘れてしまいました。しばらくしてビーカーを見ると、液体の混合物が白いプラスチックに変わっていたのですが、それはとても固く、グラインダーを使ってもビーカーから取り出せませんでした。ガルシア博士はビーカーをハンマーで壊し、そのポリマーを取り出しました。
IBM研究所の発表によると、ガルシア博士が発見したプラスチックは、新種のポリマーとしては数十年ぶりのものになります。新しいポリマーは今も多く発表されていますが、そのほとんどは過去に合成された素材の派生物です。が、今回発見されたものはまったく新しい種類のポリマーで、熱によって骨と同じように立体的な網の目を形成する熱硬化性ポリマーの一種です。
「Hydro」、「Titan」というコードネームのふたつの新素材が従来の熱硬化性ポリマーと大きく違うのは、リサイクル可能であるという点です。「熱硬化性素材は、熱や力学的性質という意味できわめて高い安定性を持つよう作られています。そのため、可逆性には重きが置かれてきませんでした。」ヴァージニア工科大学の化学教授、ティモシー・ロング氏がコメントしています。「丈夫であり、なおかつリサイクル可能な素材を作り出したのは進歩です。」
HydroとTitanに関しては今後も研究を続ける必要があり、すぐに製品に使われることはなさそうです。でも実際市場に出るとしたら、いろんなコンシューマー製品やパッケージに使われることが期待されてます。

http://www.gizmodo.jp/2014/05/ibm_6.html

偶然からの発見って、結構あるもんだけど、強靭なだけでなく容易にリサイクル可能ってのが凄いね。
不思議なのは、熱硬化性なのに「放置で硬化」という発見時の状況とは異なるんだけど、化学変化で自己発熱するタイプなのかしらん?
…と調べてみたら、詳しい記事を見つけた。
関連:材料技術:骨よりも強くて100%リサイクル可能、IBMの新種ポリマー - EE Times Japan

(前略)
IBM研究所が開発した新種のポリマーは、強度と耐溶剤性を備え、亀裂が入ると自身で修復する性質を持っている。
(中略)
IBMの研究者は、新材料の開発を加速すべく、これまでにないコンピュータ化学的アプローチを用いた。実験と高性能コンピューティング技術を組み合わせ、新しいポリマーの生成反応をモデリングしたのだ。従来の方法からの脱却を図ったことで、「成熟しきって新しい発見も大きな進歩もあまりない」とされる材料分野において、新種のポリマーを開発するに至ったのである。
(中略)
このポリマーは水にさらしても何の変化も起きないが、強い酸性の液体にさらすと選択的に分解が進む。適切な環境下では、ポリマーが原材料に戻るということだ。
(中略)
カーボンナノチューブや他の強化材料を混合して高温に加熱すれば、強度をより高めることも可能だ。この場合、新種のポリマーはいわゆる複合材料となり、金属と似た性質を持つようになる。
(中略)
低温(室温よりもやや高い程度)では、伸縮性のあるゲルに変性できる可能性がある。多くのポリマーよりも高い強度を持つ一方で、分子構造内に溶媒が閉じ込められていることから、柔軟性も実現している。
(後略)

http://eetimes.jp/ee/articles/1405/20/news019.html

記事中からIBMのプレスリリース(英文)まで飛んで見たが、偶然の発見、という話はビタイチ書かれておらず、むしろ従来的な手法ではなく、コンピューターを活用した新しいシミュレーションアプローチを併用した、新しい素材組み合わせの発見について書かれているから、「うっかり作成」というのは、かなり誇張した、もしくは発見に色を添えるために後付けした挿話なんじゃないかと