gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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インド探査機、火星到達に成功 アジア初、周回軌道入り - MSN産経ニュース

インド宇宙研究機構(ISRO)が打ち上げた火星探査機「マンガルヤーン」が24日、火星の周回軌道入りに成功した。米国、ロシア、欧州の探査機に次ぎ4番目の到達で、アジア初の功績となった。
インドは、低費用と独自技術により宇宙大国入りを目指している。軌道到達の成功で、国威発揚につながるだけでなく、裾野の広い産業育成にも寄与。今後、一段と宇宙開発を加速する契機となりそうだ。
ISROによると、マンガルヤーンは24日午前7時(日本時間午前10時半)ごろから、火星の軌道入りの動作を開始した。火星に接近するとともに減速。エンジン噴射で方向修正、午前8時ごろ軌道入りに成功した。
インドのモディ首相は計画成功後、ISROの本部で演説し「今日、歴史がつくられた」と称賛。「インドは世界のエリートクラブの仲間入りを果たした」と強調し、国民を鼓舞した。

http://sankei.jp.msn.com/science/news/140924/scn14092417380003-n1.htm

日本の宇宙開発は、軍事と完全に切り離されてしまっている為、日本とドイツ以外の宇宙開発先進国が「ほぼ全て核保有国」という状況に置いて、非常に「国民の」モチベーションが低いものになって居る。
ドイツの場合、EUという連帯の中で平和と安寧を得ており、技術立国と輸出で栄えているから、宇宙開発は「国を富ませるツール」として認知されており、実際にドイツは単独でのロケット開発はしていないものの、欧州のロケット開発に置いては中心的な役割を果たしている宇宙開発先進国の一つである。
一方で、日本の場合、核保有国同士の最前線であり、「潜在的保有国」という抑止力(とうろうのおの)で国を守る為に、ロケット技術の保有は生命線なのにも拘らず、表向きには「平和的宇宙開発」と言う、「不要不急の道楽」というイメージでしか評価されてこなかった。
結果的に、この隠れた戦略目的を持って宇宙開発を推進してきた政治家が引退すると、宇宙開発を「本当に不要不急の道楽」と勘違いした二世議員たちが主流を占めるようになり、国民の声に従って、日本の宇宙開発をどんどん縮小させてきたのが、今、現在である。
結果、ソビエトの遺産を使って有人宇宙飛行と月面探査を成し遂げた中国が、既に部分的に日本の宇宙開発を超えて居る事は明確だし、今回の火星探査機成功で、日本はインドにも追い抜かれてしまった。
H2ロケットの後継についても、技術継承が目的で、新規技術や高い目標を設定している訳でもなく、非常に無難な目標しか掲げていない。
実の所、この辺りの危機感は何年も前から指摘されていた話で、日本の宇宙開発はどんどん時代遅れになりつつあると言われている。
特に、JAXA統合後には、技術試験衛星の打ち上げがほとんど停止状態になって、2002年打ち上げの「こだま」が、未だに1機体制*1な上に、既に設計寿命の7年を越え、5年を超過した「余命」状態にもかかわらず、「だいち」や「きぼう」の運用には不可欠とされながらも、代替衛星の打ち上げは未だに未定なのだ。
ついでに言うと、超高速インターネット衛星と呼ばれる「きずな」は比較的最近の2008年の打ち上げだが、既に欧州の「商用インターネット衛星」が、「きずな」の10倍以上と言う超高速通信を実現しており、日本の技術試験衛星が、どんどん「時代遅れ」にされて居るのが判る。
インドが産学を挙げて人材育成を含めた戦略的成長を進めている一方、日本は「10年間の据え置き、その後で決める」という泥縄で意味のない目標を2年前に選択し、人材についてもJAXAでリストラを進めて、むしろ人材を減らす方向で努力している。
アベノミクスでもそうだけど、金があれば人材が生えてくる訳じゃないから、折角積上げた公共投資予算が消化できなくて余っていると言う。
つくづく、日本の政治家には「人は石垣、人は城」という戦略眼が無い、と思う。

*1:通信の空白域を無くすためには最低2機が必要