gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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テスラ:CEO「水素の燃料電池車、極めてばかげている」 - 毎日新聞

ハイブリットカーが出始めた頃も、アメリカの自動車メーカーは似たような事を言って技術開発を怠り、既存の車の延長線上でしか勝負してこなかったから、原油価格の高騰に伴うエコカー需要の前に大敗北を喫したという過去をまるで勉強していない…。

(前略)
マスク氏は講演後に記者会見し、水素は引火しやすく、貯蔵が難しいと指摘し、「解決は難しく、極めて非効率で、理に合わない」と主張。
(後略)

http://mainichi.jp/select/news/20150115k0000m020066000c.html

引火の問題に関しては、解放状態では水素の拡散速度はガソリンよりよっぼど早いし、火がついてしまえば消し辛いのはガソリンの方だったりするし、危険性という点では水素もガソリンも大差無い。
ただ、ガソリンには数世紀に及ぶ技術的蓄積と積み重ねと言う優位があるだけ。
もし、これが水素は同体積のガソリンに比してエネルギー密度が小さいから、という指摘だったら、感心したんだけど。
水素燃料電池車における最大の問題は、貯蔵の難しさではなく、重量当たりのエネルギー密度でガソリンの3倍近いエネルギーを持つが、常温で気体の水素は、貯蔵においてガソリンと同体積に詰め込める重量は比較にならない程小さくなってしまう点にある。(現在の技術だと、ガソリンの1/4から1/5程度)
高圧を掛けて液化させれば容積の問題は解決するけれど、今度は保存容器の安全性に問題を抱える事になる。
また、水素ガス自体、その分子サイズの小ささから、保存が難しい性質がある。
金属容器ですら、水素分子から見ればスカスカな網戸みたいなものであり、水素が金属分子の隙間に潜り込んで脆弱化させる「水素脆化」という問題もある。
とはいえ、それらは全て「技術的問題」でもあり、解決の道は十分に残されているともいえるのだ。
実際、700気圧の高圧タンクの登場で、ガソリン車とほぼ同程度の航続距離を出せる水素燃料電池車の開発は既に成功している。
一番の懸念は、タンクの安全性確保のコンセンサス得られるか、という点ぐらいで。
結局、「水素=爆発」という強固な大衆イメージが問題であって、技術的な問題は解決可能、と言うのが、少なくともトヨタの答えであり、プレスリリースや技術的考察を色々と調べてみれば、その判断には妥当性があると思う。
ただ、個人的には化石燃料の改質で水素を生成する今の水素ステーションと言う存在が、化石燃料からの脱却という観点で、どうなんだろう、と思わなくもないんだけど。