gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ロシアが繰り返す「核の脅し」 その背景は(小泉悠) - 個人 - Yahoo!ニュース

3月17日はロシアがウクライナクリミア半島を併合してから1周年であった。
それと前後してロシアは西側に対する軍事的な牽制を強めている。しかも、そこで中心的な役割を果たしているのは核兵器だ。
(中略)
翌3月16日、ロシア軍は大規模な抜き打ち演習を開始した。
(中略)
この抜き打ち演習では開戦初頭の段階から核兵器使用が想定されたことになる。
(中略)
ロシアがクリミア併合の節目に合わせて「核」をプレイアップした背景には、ロシアの核ドクトリンが考えられる。ロシアが公式に発表している軍事ドクトリンによると、ロシアが核兵器を使用するのは、大量破壊兵器による攻撃を受けた場合か、通常兵器による攻撃であっても国家存亡の危機に立たされた場合だけとされている。
しかし、実際には第3の基準があるのではないかとの疑念は絶えない。すなわち、たとえロシアの存亡に直接関わらないような小規模紛争であっても、あるいはそのような紛争が差し迫ったと判断される段階で先制的に核兵器を使用してしまうというものである。
(中略)
何故ロシアはこれほど核を重視するのだろうか。
冷戦後に続発した小規模紛争では西側による精密誘導兵器の威力がクローズアップされ、核兵器の存在感は低下したように思われていた。
しかし、ロシアにしてみれば、事態は全く逆である。
(中略)
ロシアは小規模紛争が西側による限定的な軍事介入へとつながる可能性を常に恐れてきたのである。
(中略)
その手段として重視されているのが核兵器だ。軍事介入を受けるか又は受けそうになった段階で限定的に核兵器を使用し、それ以上の介入を思いとどまらせる、というのがその核心である。
(中略)
以上のような背景を鑑みれば、クリミア併合一周年前後に相次いだ発言や演習の意図するところは明らかであろう。クリミアの軍事的な奪回やウクライナ紛争への軍事介入を試みれば、ロシアの先制核攻撃の対象となるというメッセージである。
(中略)
実際問題として、ロシアによる核使用の可能性は、欧州における大規模戦争の可能性をほぼ度外視してきた従来のNATOにとって頭の痛い問題である。
(中略)
ロシアのいう「エスカレーション緩和」は、むしろ欧州の緊張を高めているのが実情であると言えよう。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150403-00044503/

面白い視点、かつ筋の通った話運びで判りやすい。
簡単に言えば、欧米がウクライナでやらかした火遊びが、結果的にロシアのケツに火をつけて、先制核攻撃という悪夢を生みかねないリスクがあった、今もあるというお話。
実際、核兵器という「最終兵器」は、相互確証破壊が成立している現在、理性あれば使われる事は無い…と言われているが、核拡散防止のお題目の一つである「失うものの無い小国による核使用のリスク」は、北朝鮮が実証しただけでなく、NPT締結した核保有国の中国やロシアにも適用しうる現実であった点。
特に、高度経済成長前の中国は、常に核恫喝を繰り返す失敗国家であったし、ソビエト崩壊後の経済低迷したロシアも、ご同様の危険な国であった。
そんな中露が、少し金回りが良くなった程度で、通常戦争に於いても、戦術核兵器の実戦利用を諦めてなんかいない、と言うのはむしろ信憑性が高い。
…まあ、中国の軍拡問題に関して、他人事を決め込んで中国に肩入れする欧州諸国を見ていると、ロシア相手に逆鱗に触れ、核攻撃の危機を迎えてるなんてのは、ざまあみろとしか思えない訳だが。
一発だけなら誤射かもしれない、とロシアはフランスとかドイツにブチこんだら…げふんげふん。