gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国「039」潜が燃料電池利用のAIP採用へ 中国メディア「技術はすでに確立」 : 大艦巨砲主義!

中国メディアの新浪網は4日、中国の「039型」潜水艦が燃料電池を利用した非大気推進システム(AIP)を採用するとの見方を紹介した。中国国内の燃料電池技術の成熟にともない、スターリング機関と比べて、同潜に適したシステムの採用が可能になったという。
(中略)
中国国外のメディアではすでに、中国海軍の次世代通常動力潜水艦は、AIPに燃料電池を利用する見方が出ていると紹介した。
記事は、AIPシステムを備えていない通常動力潜水艦には「すでに競争力はない」と主張。中国では「039A」型および「039B」型潜水艦がAIPシステムを搭載していると論じた。
(中略)
新浪網記事は、燃料電池を用いたAIPの長所として、エネルギー効率のよいことと静粛性を挙げた。また、燃料電池には可動部分がないので摩耗による故障がなく、製造時に要求される工作精度もさほど高度ではないと紹介した。
一方で、大量に用いる水素の保管や輸送が複雑になると指摘。価格や運用コストが高くなることも、問題になると論じた。
(中略)
中国の今後の通常動力潜水艦の特徴として、039Aや039Bをさらに大型化することは目指さず、自国近海における作戦能力を主に、遠洋作戦能力も兼ねたタイプに発展すると予測。
その目的のために、AIPによる動力は300kW程度が求められるが、中国の燃料電池の技術はすでに到達した水準と主張した。
(後略)

http://news.nicovideo.jp/watch/nw1884319

日本が水素燃料電池タイプのAIP導入を延期したのは、水素と酸素を安全かつ大量に保存する技術がまだ未熟なのと、燃料電池の耐久性の面で、まだ軍事的な実用には足りていない、と言う結果に基づく。
逆に言うなら、その辺りの所に目を瞑るなら、水素燃料電池は別に難しい技術ではないし、民間レベルの設備なら記事にある通り、普通に買えるから、搭載するだけなら障壁はあんまりないんだよね。
なお、300kWという数字だが、トヨタのMIRAIに搭載された燃料電池は、最大出力114kW。
3台分以下である。
燃料電池1基で300kW必要、と言う話ではないのだから、まともに投資して研究しているなら、数年で達して当然だろう…。
問題は、大気中で利用される民生用燃料電池と違って、潜水艦内で運用される燃料電池は、純粋酸素と純粋水素を反応させる方式で、更には3次元的な運動を行う潜水艦だと、車や工場と異なり、水平な場所で使われるとも限らないという劣悪な動作条件で、安定して動作する事が求められる。
民生用と軍事用とで、これだけコンセプトが異なると、単純な技術の水平展開は無理なんよね…。
ついでに言うなら、AIP潜は「低出力で長期活動」が出来るだけで、戦闘時は基本的にバッテリー内の電力で戦う。
その間、低出力なAIPは、重く場所塞ぎで役に立たないデッドウエイトに等しく、従来のディーゼル潜と比べて戦闘力で優位な訳でも無い。
多分、ドイツの212A型潜水艦辺りの設計を買ったか盗んだかしたんじゃなかろか。