gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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サーチナ|日本の戦闘機よ、「逃げ場」はないぞ  「J−20」完成で中国空軍はロシア以上になる=中国メディア

中国メディア「新浪網」はこのほど、「J−20(殲−20)が中国空軍をロシア以上にする。日本の戦闘機は逃げ場すらない」と題する記事を発表した。
(中略)
記事は、現時点で唯一現役のステルス戦闘機は米国の「F−22」と指摘。
(中略)
生産終了してから何年もたっているのに、その他の国がステルス戦闘機の運用に至っていないことは、ステルス戦闘機の開発が困難であることを意味していると主張した。

(中略)
自国が開発中のJ−20を説明。まず、F−22との設計思想の違いについて、F−22は敵国を攻撃し、敵国の攻撃力を奪うことを想定しているのに対し、J−20は本土防空作戦を重視しているため、対地・対艦攻撃力に力を入れていると主張した。機首下側に米戦闘機のF−35のEOTSと同様な電子・光学式照準システムを搭載するのはそのためという。
記事は、J−20が「PL−12D(霹靂−12D)」や「PL−10」などの空対空ミサイルだけでなく、「LS−6(雷石−6)」、「LT−2(雷霆−2)」といった誘導爆弾を搭載できることにも触れた。
(中略)
J−20は現在、ロシア製エンジンの「AL−31」を搭載しているが、将来は大馬力で推力偏向機能もある中国産の「WS−15(渦扇−15)」を搭載と解説。中国軍は順調ならば2017年にはJ−20の運用を開始すると論じ、「世界で2番目にステルス戦闘機を持つ国になる。中国はこの点で、ロシア空軍の先を行くことになる。いまだに初飛行ができない日本の『心神』は、はるか後ろに置き去りだ」と主張した。
(中略)
記事は、J−20と心神が対戦すれば「心神は逃げ場すらなくなる。日本人も、そのことを知ればびっくり仰天だ」と主張した。
(後略)

http://news.searchina.net/id/1595519?page=1

既にF35が初期作戦能力(IOC)を取得し、世界で2番目の実用ステルス戦闘機としてアメリカでは実戦配備され、一部は海外展開しているんじゃが…。
次に、J20が「本土防空」用戦闘機なら、爆撃機と揶揄されるほど大型な機体なのはデメリットだし、そもそも対地攻撃能力は不要だろう。
日本のように、制空邀撃機に特化した航空戦力を揃える筈で、J11Bがあれば必要十分だ。
この時点で、「J−20は本土防空作戦を重視」という主張が真逆である事を露呈している。
更に言うと、ロシアから購入しているAL31は、非ステルス機用のエンジンで、中国が開発しているWS15もアメリカのF101エンジンの発展型で、非ステルス機用のエンジンだから、これを搭載する機体が、F22やF35のような機体からエンジンまで構造ステルス形状の「完全な」ステルス機である可能性は、ゼロとなる。
仮に、2017年にJ20を実戦配備したとしても、同年中に日本もF35を配備開始なので「世界で2番目にステルス戦闘機を持つ国」になれたとしても、同年中に「世界で3番目のステルス戦闘機配備国」になる日本の戦闘機に対して優位が得られるか、かなり微妙。
少なくとも「逃げ場はない」などと豪語できる余地は微塵も無い。
そもそも、F35の共同開発国である英国向けに、初期低率生産機が2機ほど製造済みであり、「ステルス戦闘機を持つ国」という定義で言えば、既に2番目はイギリスが奪っている
トドめを指すなら、来年の3月にはイタリアのFACOでF35の海外生産1号機がロールアウトするから、世界で2番目にステルス戦闘機を生産した国でも、中国は2番手を逃す事になる。*1
加えていうなら、中国は3年前に「J20を2015年に実戦配備する」と宣言しており、現実は未だに試作機がテスト飛行を繰り返すのみで、初期低率生産すら始まって居ない。
2017年の配備開始も、現時点では望み薄だろう。
対して、ロシアのPAK FA(T50)は順調に開発を進めており、来年には初期低率生産が始まり、2017年に配備開始を予定している。
つまり、中国が2017年までに実戦配備、と言う目標から遅延した場合、「単独でステルス戦闘機を開発した国」という最後の砦すら、中国は2番手を逃す事になる。
あと最後に…何度も言ってるけどATD−Xは心神じゃないし、次期戦闘機開発計画でもないし、単なる技術検証機であって、最初から武装は無い。
そんな非武装実験機と、戦闘機の実用試作機のJ20を同列に並べて比べる事自体がおかしいと気付け、雑種。

*1:追記・ロールアウトした初号機はそのままイタリアが受領するので、「世界で3番目にステルス戦闘機を持つ国」にすら届かないwww