gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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CNN.co.jp : 米ボーイング、C17型輸送機の製造中止 工場を閉鎖 -

CNN) 航空機製造大手の米ボーイングは3日までに、過去24年間にわたり世界各地で使われ続けてきた世界最大級の機体を持つC17輸送機の製造中止を発表した。
最後に製造された1機は先月29日、組み立て工場に近い米カリフォルニア州ロングビーチの空港を飛び立ち、米テキサス州サンアントニオの施設へ向かった。同地でカタール空軍に引き渡される。
C17型機はこれまで計271機納品された。全機の総飛行時間は約300万時間とされ、兵員、軍装備品の輸送や人道支援業務に従事してきた。ボーイング社によると、米空軍に納入したのは223機。カナダ、英国、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートカタール、インドや北大西洋条約機構NATO)には48機提供した。
カタールには2016年に4機引き渡される予定。サンアントニオの保管施設には新たに製造した別の1機が既にあるが、売却の対象とはなっていないという。
製造中止は、ロングビーチ工場の閉鎖に伴うもの。従業員2200人は退職したり、他の同社施設で勤め始める。工場閉鎖は、過去数十年にわたって衰退気味だったカリフォルニア州の航空機産業に新たな打撃となる。
グローブマスターの愛称があるC17機の利点は、巨大機にもかかわらず短距離での着陸などが可能な敏捷(びんしょう)性にある。長さ約914メートルの滑走路にも着陸出来たという。
主翼間の幅は51.74メートルで、空軍が保有する最大の航空機C5Mスーパーギャラクシーより約16メートル短い。機体の長さは53.04メートルで、約23メートル短い。
同機の生産は終わったものの、世界各地での使用は今後数十年間続く見通し。米国の航空宇宙誌「エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー」の編集幹部によると、ボーイングは数十年間にわたって同機の維持修理などのサービスを続ける予定。2050年代に入っても飛び続けている可能性があると指摘した。
後継機種については航空機製造メーカーの間で長期開発計画があるという。

http://www.cnn.co.jp/usa/35074432.html

B52とかもそうだけど、巨人機は機体サイズに比例するように機体寿命も長いものが多く、なによりその巨体が生み出す機内空間の大きさが、そのまま拡張性・応用性の高さを担保している為、非常に長く使える。
このC17グローブマスターIIIは、冷戦期末期、とりわけ厳しい性能要求の元で生み出された機体であり、最大級の貨物搭載能力と、短距離かつ多少の不整地でも離着陸できる強靭な足腰と言う、両立の難しい機能を実現しており、なんと77トンのM1A1 エイブラムスを搭載可能と言う時点で「怪物」と言える。
日本の誇るC2と機体サイズでは2割増し程度にも拘らず、最大搭載量で2倍以上。*1
アメリカと日本の技術力の差を痛感させられる話ではある。
なお、中国はY20というC17と似た機体規模の大型輸送機を絶賛開発中なんだけど、20年も後発で、ロシア輸送機をベースに開発しており、エンジンはロシアからの供給にも拘らず、搭載量も巡航速度も航続距離も劣っており、おそらくは最短離陸距離も劣るだろう状況。
…まあ、実績もロクにないのにいきなり巨人機開発する勇気と資金力は、侮れないと思うけど。
しかも、機体製造技術の未熟さを補うべく、巨大部品の3Dプリンタ成形を導入しており、これは世界初。
この機体を2−300機生産予定だとか。
これは、C17の総生産数より多い。

*1:C2は残念ながら10式戦車の輸送は無理で、機動戦闘車がギリギリ乗せられる限界