gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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現代戦闘機、宿敵は「フリーズ」? 4時間に1回、シャットダウン | 乗りものニュース

航空自衛隊も導入する予定のF-35Aが、当初の予定より3年遅れて実用化される見込みです。その最大の理由はソフトウェア。「4時間に1回、シャットダウンが必要」という状況がありました。
(中略)
実用化の見通しが立ったのは、F-35に搭載されるコンピューターのOS上で動く「ブロック3i」ソフトウェアの開発が完了したことに由来します。
「ブロック3i」とは、パソコンやスマートフォンでいう「ブラウザ」や「ゲーム」といったアプリケーションに該当するもので、F-35Aの「ミッション(戦闘)システム」ソフトウェアです。F-35の開発が遅延した最大の理由は、このミッションシステムが原因でした。
(中略)
F-35は、既存の戦闘機よりもはるかに高度な、センサーなどの電子機器を搭載しています。そのぶんソフトウェアは極めて複雑で高度な処理をしており、「ブロック3i」のプログラムソースコードは800万行にも達しています。
この「ブロック3i」は、2014年より「システム開発実証機(SDD)」と呼ばれるF-35の試作機に搭載され、飛行テストが行われていましたが、特に動作の安定性において大きな問題を抱えており、センサーシステムやレーダーを4時間に1回シャットダウンしなければなりませんでした。パソコンがフリーズしたならばその場で再起動すればすみますが、作戦中に戦闘機のミッションシステムがフリーズしてしまえば命にかかわるため、安定性の確保は極めて深刻な課題です。
(中略)
2016年5月現在、「ブロック3i」は大幅に改善され、当初の3倍という安定性を確保することに成功したと、アメリカ国防総省F-35統合プログラムオフィスは伝えます。一般的な戦闘機の任務はどんなに空中給油を重ねても、通常は8時間から10時間程度が限度なので、12時間に1度の再起動ならば許容範囲とみなすことができます。
(中略)
「ミッションシステムの開発によるスケジュールの遅延」は、現代の戦闘機が抱える根本的な問題といえるでしょう。そして戦闘機が退役するまで半永久的に、ソフトウェアの改善は行われ続けます。
【了】

http://trafficnews.jp/post/51686/

この記事はこの記事で、間違って居ないんだけど、F35開発遅延の主因が、ミッションシステムに求められると言っても、限度はある訳で。
特に、F35は多彩な搭載武装と対地任務までを内包している為、F22に比べてソースコードが10倍とも言われるほどの量に達しているのだとか。
だが、良く考えて欲しい。
ブロック2Aまでは「武装関係の機能はオミットされている」のだ。
しかし、計画の遅延は2Aの段階でも発生していた。
F35がブロック2Aを搭載したLRIP4が初めて飛んだのが2012年。
計画当初の予定では、2013年には本格配備開始だった訳で、ブロックで言うなら3Fが2013年には飛んでいる筈だった。
しかし、実際には武装関係の大量のソースコードを必要とする段階に至るずっと以前に、F35の開発計画は大幅に遅延していた訳である。
そして、武装関係の機能が乗り始めたブロック2A以降の開発進捗は、むしろ前倒しになっている。
F35Bがブロック2Bで初期作戦能力を獲得した、と発表したのが2015年7月。
3Fの完成予定は2018〜20年だが、3iの開発進捗が良好で、比較的早くに3Fが完成すると言われている。
…一番複雑な武装や任務に関わるプログラムの方が、何故か進捗が良いのだ。なんか三菱とかBMW臭くない?
閑話休題(それはさておき)
現実のタイムスケジュールを見る限り、F35の開発が遅延した理由を、ミッションシステムを主因として求める事は、少し筋が悪いように思う。
やはり、3コ1という欲張り性能を、単発機に求めたことが根本原因で、
性能要求追加>追加機器搭載で重量増>強度設計のやり直し>補強した分重くなる>重くなってエンジン出力が不足する>エンジン推力UP>推力UPした分重くなり燃費も悪化する>燃料タンク増強する>搭載燃料を増やした分重くなる>強度設計のやり直し>補強した分重くなる>…(以下無限ループ)
といった、所謂重量強度のデススパイラルに囚われたにも拘らず、多国間開発という鎖のせいで要求性能を削る訳にも行かず、開発を強行した体制の問題の気がする。