gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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川崎重工、空自に新型輸送機C-2納入 43年ぶり、最大の国産機 (Aviation Wire) - Yahoo!ニュース

川崎重工業(7012)は6月30日、航空自衛隊向け輸送機C-2の量産初号機(機体番号68-1203)を、岐阜工場南工場で防衛省に引き渡した。現行の輸送機C-1の初号機が同社から引き渡された1973年以来、43年ぶりの新型国産輸送機の納入となった。
◆肝心なところは国産
C-2はC-1の後継機で、機体全体の約7割が国産。全長43.9メートル、全幅44.4メートル、全高14.2メートルで、最大積載量はC-1の約3.8倍となる約30トン、最大離陸重量は同3.1倍の141トンとなった。
高さ4メートルの貨物室を確保するため、胴体上に主翼を乗せる高翼構造を採用。胴体後部に車両や中型ヘリコプターのUH-60Jなどを搭降載する大型ドアを設けるため、水平尾翼垂直尾翼上部に乗せたT字翼とした。
この貨物室の構造により、日本の道路を通行できる高さの車両は、貨物室の長さと幅に収まれば、大型セミトレーラーも自走して搭載できる。
航続距離は、12トン搭載時でハワイまで飛べる約6500キロで、2.6トン搭載時に1700キロだったC-1よりも大幅に伸びた。胴体前方上部には、フライングブーム型の空中受油装置を設けた。
エンジンは米GE製CF6-80C2を2基搭載し、スラストリバーサーを用いた自力後進にも対応する。CF6は民間機のボーイング767型機のほか、航空自衛隊では政府専用機747-400、早期警戒管制機E-767、空中給油・輸送機KC-767が採用している。
コックピットにはヘッドアップディスプレー(HUD)を装備し、フライバイワイヤによる操縦システムを採用。パイロット2人乗務で運航できる。
設計に携わった川崎重工航空宇宙カンパニーの野久徹チーフデザイナーは、「国産比率は7割くらいだが、主操縦系統など肝心なところは国産」と説明。C-1から43年ぶりとなる国産輸送機の初号機納入について、「40年経てば20代の人が定年になってしまう。ぜひとも今後も続け、技術を継承していきたい」と、国産大型機の開発継続への望みを述べた。
岐阜工場では30日、納入式が開かれた。川崎重工の村山滋会長は、「C-2は我が国で開発された最大の航空機で、我が国の最新技術が盛り込まれている。各種試験や部隊運用でも、C-2の能力向上に向けて支援していく」と語った。
納入式では神事が執り行われ、C-2の安全を祈願した。
◆製造開始から4年
川崎重工は試験機XC-2の契約を2002年3月に防衛庁(当時)と締結。同時開発した海上自衛隊の固定翼哨戒機P-1は、2012年9月25日に量産初号機(機体番号5503)が初飛行に成功し、2013年3月26日に防衛省へ納入している。
2機製造した試験機XC-2は、初号機が2010年1月26日に初飛行した。今回納入した量産機C-2の初号機は2012年に製造を開始し、今年5月17日に初飛行した。初号機は今後、岐阜基地自衛隊による実用試験などを実施し、2016年度末に鳥取県美保基地に配備する計画を進めている。
防衛省はC-2を2016年度は初号機を含めて3機、2017年度に2機、2018年度に3機の計8機を受領予定。2018年度までの中期防衛力整備計画では、10機体制を計画している。
防衛装備庁によると、開発費は総額2643億円で、機体とエンジンなどを含めた調達価格は2016年度は1機当たり229億円、量産初号機は188億円になるという。
◆輸出も検討
C-2は。自衛隊の需要のみでは製造機数が少数に限られる。開発完了後は調達価格低減に向け、海外への輸出も検討課題となる。7月に英国で開かれるファンボロー航空ショーのようなイベントでは、民間機に加えて各国の軍用機が並ぶ。防衛装備庁によると、開発が終わり部隊配備が進めば、航空ショーへの出展も検討課題に入るという。
「いくつかの国からは関心を寄せられており、各国から要望があれば、(輸出は)ポジティブに対応したい」(防衛装備庁)と、輸出に前向きな姿勢を示している。
一方、海外の競合機が対応している不整地への着陸については、C-2は防衛省の要求に入っていなかったことから対応していない。航空幕僚監部によると、「需要が出てくれば能力向上などを考えていくことになるが、現在はまったくの白紙。今のところ、検討の俎上(そじょう)には挙がっていない」という。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160630-00000003-awire-bus_all

この機体は、比較的大型の機体の開発経験に乏しい日本が新規開発した機体と考えれば、望外の出来と言って良い良作だが、アメリカとか欧州とか、同規模機の開発実績も経験も桁違いの競合他社が、鎬を削る輸出市場においては、どうしても不利は否めない。
記事にも触れられた不整地への着陸やら、超短距離離着陸、必要な場所に余裕のある機体強度の持たせ方などの面ではなかなか敵わないし、なにより国内需要だけだと生産機数が少なくて、どうしても高価になってしまう価格面での不利もある。
まあ、軍用装備の国内調達能力は、有事の稼働率やら同種装備の輸入時の値引きなどにもかかわってくる話であり、多少費用対効果が悪くても、国内開発能力の維持は必要なので、しょうが無い部分はあるのだが。