gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ポピュリズム跋扈の中、日露急接近で世界史は動く 米国が最も恐れる対米独自外交路線に安倍は踏み切れるか | JBpress(日本ビジネスプレス)

9月初めにヴラジヴォストークウラジオストク)で行われた日露首脳会談からまだ日も浅く、12月のロシア大統領V.プーチンの訪日が公表された後だったから、面談相手への質問は何と言っても日露関係、つまりは領土問題と平和条約交渉に集中する。
当たり前の話とはいえ、4島は多分日本に返還されるよ、などと頼もしいことを言ってくれる相手は皆無。その多くが、「プーチンは資金や投資ではなく、信頼関係を重視する。この信頼関係がなければ話はまとまらない」と強調する。経済支援という1990年代の発想はもはや通用しない、と念も押してくる。
(中略)
彼らの力点は一様に「信頼関係」に置かれている。「その点に日本は十分な注意を払っていないようだが」として、外交誌編集長でロシア外交のブレーンの1人でもあるF.ルキヤーノフは次のように解説する。
「過去20年以上にわたって(それは日本の責任でもないが)欧米がロシアへの約束を何度か破り、それが理由でロシアは誰も信用できなくなってしまった」
「それを考えれば、重要なのは平和条約締結という形ではなくその実体(相互信頼)に求められる。領土問題に関するプーチンの基本姿勢は『両国間の関係の質的変化を伴わねば、その解決はあり得ない』なのだ」
(中略)
それ以前に多くの日本人は「相互信頼」という言葉そのものに、そしてそれがロシア側から言われ出すことに引っかかってしまうだろう。
(中略)
ロシアが相手だけに、有体に言えば「お前だけにはその言葉を吐かれたくはない」だろう。
(中略)
日本ではその根底に「米軍にコテンパンにやられ、倒れる寸前だったヨレヨレの日本に攻め込み、その後の敗戦のどさくさに紛れて他人の土地を分捕っていった奴ら」というロシアに対する思いが流れる。
(中略)
国際世論も、「法と正義」という人類普遍の価値を標榜する日本の主張の下になぜか集まってこない。
(中略)
彼らによれば、机上演習で構築された「相手が欲しがるものを与え、こちらが欲しいものを取る」というアプローチは、その中では通用しない。最初から、ギブ・アンド・テイク(Give and take)の構図を見せてしまったのでは、それはロシア人が受け止める「相互信頼」でもなんでもないということになってしまうからだ。
(中略)
露紙の軍事評論家であるP.フェリエンガウエルによれば、8月下旬のロシア国防省幹部会議で極東大陸部北端からヴラジヴォストークに至る千島列島に沿った防衛線確立政策が承認された。
その目的は、オホーツク海での核兵器安全移動の確保で、この海を外国へ向けて閉ざして完全に支配下に置くことにあるという。
これは冷戦時代の対米防衛思想そのもので、このためには国後・択捉間の海峡のみならず、歯舞・色丹を除いたすべての島嶼海峡が重要になるという。つまりは、「軍事的にもはや歯舞・色丹以外の千島諸島を、一部たりとも外国に渡すわけには行かない」、なのだ。(後略)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48073

ロシアが勝手に裏切られた欧米との外交関係を日本に適用するのも自由だが、そもそも日本はロシアに対して「裏切られた」「虐殺された」歴史しか無いにも拘らず、ソビエト崩壊のどさくさにすら手を出さず、粘り強く対話による交渉を続け、実績を積み重ねているのに、それを一顧だにしないロシアの何を信頼しろと?
むしろ、一旦は関係をフラットに置いて、ギブアンドテイクで、着実に相手との信頼を積み重ねていく以外の道が無いのに、一方的に日本側から全面譲歩しろと言わんばかりのロシアに寄り沿った記事内容に疑問しか感じない。
仮に、北方領土を含む防衛線構築が理由で、4島返還どころか2島返還が頓挫としたとしても、それは今までと何も変わらないだけで、むしろロシアとしては離島防衛の困難を背負うだけの結果にしかならず、米露関係が致命的に悪化して、米露開戦したら、物理的に取り返せるって事でもある。
何も領土を捨ててまで急いで平和条約を締結する必要は無いし、逆にロシアが領土を返してでも日本と関係改善したいなら、日本はそれに応じる準備をすればよい。
この領土問題に関して、日本は戦争と言う外交オプションが無いので、決定権はロシアにあり、日本は受動的な立場以上に成り得ないのだから、最初から日本が譲歩しているポーズは、交渉において悪手以外の何物でもない。
特に、ロシアは日本に対して最後まで約束を守った歴史が、一度も無い国なのだから、なおさらのことである。