gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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海自:最大の護衛艦「かが」就役 「海上の司令塔」期待 - 毎日新聞

海上自衛隊艦船で最も大きい「空母型」のヘリコプター搭載護衛艦「かが」(基準排水量1万9500トン)が22日、就役した。指揮通信機能が優れ、離島防衛や災害対処で「海上の司令塔」の役割が期待されている。
全長248メートルの大きさは「いずも」に続き、2隻目。平らな甲板が船全体に広がり、哨戒ヘリなど9機を収容でき、垂直離着陸輸送機オスプレイも発着できる。
多数の戦闘機を運用する米軍の原子力空母に比べ、乗員は10分の1にも満たない。専守防衛のため、日本政府は「攻撃型空母の保有は許されない」としてきており、海自も空母と表現しない。ただ、米海兵隊の垂直離着陸タイプのF35B戦闘機が発着できる能力も持ち合わせている。政府内には「この能力を示せば周辺諸国への抑止力になる」との声もあり、今後の運用が注目される。

http://mainichi.jp/articles/20170322/k00/00e/040/254000c

相変わらず、新聞とか、侮日朝鮮新聞とか、でたらめ記事が大好きだよな…。
垂直離着陸機なら、発着させるだけなら、大型タンカーや大型客船の甲板上に耐熱用の金属板を張るだけでも「発着できる能力」になるんだが、大型タンカーや大型客船を「空母能力を持つ」と表現するだろうか。する訳が無い。
日本の保有するヘリ空母は全て、高温のジェット排気を受け止められる耐熱甲板を、公式には装備していない。
つまりは、「そのままではF35Bを発着できない」訳で、上記した大型タンカーや大型客船と同じ条件下にある。(公式には。これ大事)
そもそも、いずも型護衛艦(基準19500t)やひゅうが型護衛艦(基準13950t)は、旧日本軍のレシプロ機用ならともかく、現代のジェット機を運用するには、艦体規模が小さすぎる。
全通甲板を持っているだけで空母型呼ばわりされるなら、韓国の独島級揚陸艦(基準14300t)だって空母呼ばわりされなければおかしい話*1だし、アメリカ級強襲揚陸艦(満載45570t)なんて、最初からF35Bの運用が想定されているが、空母では無く「強襲揚陸艦」なのだ。
組織の運用上求められる役割で、艦種名が決まる。
自衛隊が「ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)」というなら、それが正しいのに、「空母と表現しない」とか中国人の様な事を言い出す辺り、脳みそが涌いてるんじゃないかと…。
そもそも、日本防空と言う観点なら、基地航空隊の増強の方が費用対効果が圧倒的に良い。*2
閑話休題(それはさておき)
実は、いずも型とひゅうが型は、排水量で5000t以上の差があるのだが、建造費用自体は、ほぼ同額か、艦体規模が小さい筈のひゅうが型の方が高かったりする。
これは、ひゅうが型が前級のしらね型と、ヘリ運用能力に特化した、いずも型の過渡的な設計の艦であり、いずも型は個艦防空を目的としたCWISと近SAMしか固定武装を持たないのに対して、ひゅうが型は16セルのVLSと3連装短魚雷発射管を持ち、対艦・対潜攻撃能力も保有している為である。
あえて言うなら、ロシアの重航空巡洋艦にコンセプトが近いのがひゅうが型アメリカの空母にコンセプトが近いのがいずも型になる。
もちろん、どちらも本家に比べて艦体規模が1/3以下だから、ひゅうが型の対艦攻撃力はオマケみたいなものだし、いずも型はアングルド・デッキも無ければ、蒸気カタパルトも持たない、ヘリ母艦なんだけど。
ただ、政治的な要求で少数精鋭を求められる自衛隊と、予算不足で複数の役割を一つの艦に纏めたロシア軍とで、似たコンセプトの艦が作られたと言う事実は、面白いと思う。
そして、ロシア海軍の惨状を見る限り、それは決して健全な話ではないだろう事も。
その点、機能特化を果たした「いずも型」の登場は、正常進化に思えるので、良い傾向だと思う。

*1:実際に疑惑はあったし、就役時に朝鮮人ホルホルしたが

*2:艦上からの垂直離着陸って、燃料バカ食いで航続距離が短くなり、武装も限定される。航空基地からの発進なら最大武装で最大の航続距離を発揮できる。空母の利点は、地上基地の無い遠くでも、航空機を運用できる点にあるので、日本近傍で戦う限り、必要のない利点