gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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新兵器の「押し売り」で、日本はまたアメリカの金ヅルにされる(半田 滋) | 現代ビジネス | 講談社

もうイージスは足りているのに
(中略)
防衛省北朝鮮弾道ミサイルへの対処能力を強化するため、ともに米国製で地上配備型の「イージス・アショア」と在韓米軍が韓国に配備した「THAAD」を比較検討してきたが、性能、価格の両面からイージス・アショアを選択した。
日本のミサイル防衛システムは、洋上のイージス護衛艦が搭載する艦対空ミサイル「SM3」で迎撃し、失敗したら地上配備の地対空ミサイル「PAC3」で対処する2段階となっている。
イージス・アショアは、イージス護衛艦に搭載するイージス・システムを船から降ろし、地上配備型に変えたもので、性能的にはイージス護衛艦の迎撃システムと変わりない。
防衛省は非公表ながら昨年8月以降、弾道ミサイル破壊措置命令を出しっぱなしにしており、弾道ミサイル迎撃が可能なイージス護衛艦「こんごう」型の4隻は最低でも1隻が常時、日本海に派遣されている。
(中略)
防衛省はイージス護衛艦のうち弾道ミサイル対応艦について、「こんごう」型に加え、「あたご」型4隻も追加して8隻態勢とすることをすでに決めている。
(中略)
現状では搭載する艦対空ミサイルが「SM3ブロック?」のため、日本海に2隻配備する必要があるが、日米で共同開発中の「SM3ブロック?2A」にバージョンアップされた場合、射程圏が広がり、1隻で足りることになる。
すると近い将来、日本海に1隻浮かべれば十分となるにもかかわらず、弾道ミサイル防衛に8隻を保有するのは過剰な装備というほかない。
(中略)
イージス・アショアが加わるのである。「SM3ブロック?」の活用を想定して2カ所の設置を検討しており、1基あたり約 800億円で合計約1600億円の費用を見込む。過剰に過剰を重ねることで、あらたに合計約2600億円の巨費が投じられることになるのだ。
(中略)
次の問題は、イージス・アショアをどこに置くのかという点である。
イージス護衛艦は強力なレーダー波を出すため、乗員はレーダーの稼働中、甲板に出ることができず艦内にいることが義務づけられる。同様のレーダー波を出し、さらに発射時に噴煙とともにガスが発生するミサイルを持つイージス・アショアを、既存の自衛隊基地に配備するのだろうか。
迎撃に最も有効な地点を選ぶとすれば、あらたな用地が必要になるかもしれない。どちらの場合も住民に理解を求めるのは容易ではない。
(中略)
ミサイル防衛システムは1980年代のレーガン政権で開発が始まり、2002年にブッシュ政権で米軍が正式採用した。これを米国から導入したのは世界中で日本だけ。欧州のイージス・アショアや韓国のTHAAD、PAC3はいずれも米軍が配備したものであり、配備先の国が購入したわけではない。
他国が導入を見合わせるのは、どんなに技術が進んでも百発百中とはいかず、一発でも撃ち漏らした場合、核弾頭であれば未曾有の被害が出ることになり、費用対効果に見合わないからだ。
(中略)
本来、大綱に合わせて装備体系を整えるのが筋であるにもかかわらず、対米追従が前面に出るとあとさきが逆転するのは、ミサイル防衛システムを導入した当時と変わりない。
(後略)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52659

北朝鮮ですら、日本に届く弾道ミサイル(ノドン、スカッドB)を発射可能な輸送起立発射機(TEL)を合わせて150両近く、弾道ミサイルを900発以上保有していると言うのに、常時1隻のイージス艦*1が展開しているからって、「足りている」って、本気で言ってるとしたら、頭が悪いにも程がある。
日本の弾道ミサイル防衛は、あくまでも少数の弾道ミサイル攻撃に対する防衛または、大規模攻撃時の被害減少には役に立つが、万全な状態とは程遠い訳で、コレを理由にMDなんて無駄と切り捨てる人が居るぐらい。
ぶっちゃけ、迎撃ミサイルだけで対処しようとする限り、どれだけイージス艦やPAC3を配備しようが、ジリ貧であり、備えれば備えるほどに「被害を減らせる可能性が上がる」という状況。
だから、策源地か遠くはなれた海上で防御するイージス艦より、弾薬の補給も、人員の交代も、修理の容易さもイージス艦より簡便なイージス・アショアを導入し、「弾道ミサイル警戒を常態化」するのは、意義は十分にあるのだ。
たった2600億円、汎用護衛艦なら5隻、戦闘機なら2個飛行隊分の費用の追加で、日本本土全体を安定して防御できるイージス・アショアは高いだろうか?
設置場所についても、防衛要地なんてものは限られているので、原発と同様に住民の反対より、戦略的価値の方が重視される。
沖縄が、在日米軍基地が無くても、周辺国にとって戦略要地であり、常に武力で狙われやすい事に文句を言うのと同じで、文句があるなら敵国に言えと言う話でしかない。
加えて、アメリカが日本に費用負担を求めてくるのも当然の話で、本来ならとっくに日本は憲法9条を放棄し、自力防衛に向けた努力をすべき国力を持っているにも拘らず、防衛戦力をアメリカに依存したまま、という状態を長く続け、アメリカにとって大きな負担になっていたからだ。*2
もちろん、90年代後半から00年代のアメリカが、日本を敵視したり、中東を重視してアジアを軽視していたり、日本より中国を重視したり、日本にとって不満が大きい事実があった事も確かだが、国防を他国に依存する国が、その依存先に文句を言える筋合いではない。
文句を言いたければ、日本はさっさと憲法9条を放棄し、自力防衛に向けた取り組みをすべきだった。
それに、MDを「費用対効果に見合わない」と言う事は、「核ミサイル迎撃の可能性を0で良い、核で国民が焼かれるのは許容される被害で、守れる可能性の為に金を出すのは、もったいない」と言うに等しい話。
…それを民主主義国家で国民に言い放って、理解を得られる、と本気で考えているとしたら、この人は共産圏に移住すべきだろう。
あとは、大綱も中期防も、国防の為の方針であって、それを決めた前提が崩れているにも拘らず堅持するものでは無い。
憲法が実情に合わなくなっても、無理矢理解釈の変更で使い続けるような、憲法学者の様な低能さを感じる。
過去、アメリカが日本の貿易黒字を敵視して、ボッタクリ価格でモンキーモデルを押し付けまくってきた過去は事実としてあるが、今現在で言うなら、新冷戦に向けた日米接近のフェーズにあり、アメリカにとって日本は重要なパートナーの座にある。
この現実を無視して、過去の恨みだけで現実を歪んで捉えるなら、特定アジア人と何も変わらない。

*1:弾道ミサイル迎撃用SM3搭載数8ェ…なおイージス艦の同時交戦数は18。イージスBMDの同時交戦数は秘匿されているが、これより減る事はあっても増える可能性は低い

*2:だから経済発展した韓国にも、相応の経済負担を要求し始めている