gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ビジネスとして同人二次創作活動をすることは許容されるべきか否か(追記アリ) -はてな匿名ダイアリー-

(前略)
今まではあくまで「ファンの交流活動の一環」という前提があっての同人の世界だったが、
ネットによる同人誌の流通、クラウドファンディング投げ銭サービスなどの発展で、明らかに異なる文脈の同人活動が発生している。
エロコスプレ界隈なんかは顕著だが、ビジネスとして、金稼ぎが目的化している同人活動だ。
(後略)

https://anond.hatelabo.jp/20180519125910

うーん。難しい問題だわ。
別に今の話では無く、90年代の同人バブル期にも、作品愛なんて微塵も無く、ただ売れ筋作品のエロ同人を、金儲けの為に出すシャッターサークルなんてのが問題視され、「明らかに異なる文脈の同人活動」を非難する意見はあったし、これは今でも「大手」と呼ばれるサークルには付きまとう典型的な中傷の一つだろう。
しかし、この問題は「線引き」が難しい。
むしろ、「線引きしてしまう事で、問題が悪化しかねない」という事例に相当する。
まず、根っこを切ろうと思えば、「同人活動」自体が規制される。*1
かといって、権利者が「オールフリー」を許せるはずもない。*2
そして、「過度な一部」を規制しようと思えば、その線引きの基準の設定が難しい。
利益ベースにするとしても、金額を設定すれば物価変動で妥当性が揺らぎ、割合ベースだと大規模商業化でコストメリットが出てしまい、大手ほど有利になると言う、同人活動の考えから逆行する仕組みになってしまう。
それだけでなく、「ルールを守っているのだから」と「グレーな筈の同人活動にあった自主規制の枠が外れる」可能性が高い。
その先に待っているのは、モラル崩壊と先鋭化だ。
そもそも、同人活動で同人作家が「微塵も利益を得てはいけない」なんてのはおかしい理屈である。
実際に、同人作家は「同人誌を作る為のコスト」を支払っており、その過程で生み出された創作物に対しては、著作権が発生しているのだから。
しかし、今現在、ほぼ全てのサークルが印刷代プラスアルファの額で本を頒布しているが、本来なら作品を描き上げるのにかかった経費、技術料が上乗せされなければならない。
でも、そうした「正当な報酬」を上乗せしてプラスが出るサークルなんて、1%も無いだろう。
あと、増田は「ワンフェス」を例に挙げているが、あれは主催者側の都合を、参加者と権利者に押し付けた、ハッキリ言って筋の悪いやり方であり、コミケ規模の同人活動に対して、権利者チェックを押し付けるなんて、業務妨害、迷惑以外の何物でもなく、権利者は「一律禁止」へと舵を切ること間違いなしである。
結局、「誰もが少しずつ損しながら、全体で利益を得ている」という現状の追認が「妥当」というオチ。
「水清ければ魚棲まず」。
増田の主張を推進した先に待つのは、在来種まで根こそぎ皆殺しにする池の水抜きみたいなもんだ。
閑話休題(それはさておき)
限りなく余談だが、同人バブルが華やかなりし90年代ごろは、人気サークルの同人誌を勝手に1冊にまとめた、「海賊版の同人誌」というものがあった。
実はこれ、ヤクザのシノギとして売られていた裏本(未修整のエロ写真本)の規制が厳しくなって、裏本を印刷していた印刷機が余った為、次にヤクザが目を付けたのがプレミア価格で売れる同人誌だった、と言う話を、大量の裏本と共に「海賊版の同人誌」も扱っていた古本屋の店長さんが教えてくれた。
嘘か本当かは知らないが、確かにあの頃を境に、裏本は急速に消えて無くなっており、平仄は合っている。
しかし、これも同人バブルが弾けると共にあっという間に消え失せる事になる。
当然だけど、こうした「海賊版の同人誌」にコレクションとしての価値なんて微塵もないから、中古同人ショップ等にも買い取られず、ひっそりと一般の古書店に売られた一部を除けば、殆ど残っていないのではないだろうか。
こーいうのも、歴史の徒花と言うべきなんだろうか。

*1:その結果、クリエイターの層は確実に薄くなり、業界全体が縮小して行く事は確定している

*2:そもそも一次権利者が利益を手放す謂れが無い