gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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トルコリラ最安値更新、混乱の収束見えず 新興国通貨にも売り波及 - SankeiBiz(サンケイビズ)

米国とトルコの関係の急速な悪化に端を発した“トルコショック”が世界の金融市場を揺さぶっている。トルコの通貨リラは一時、約20%も急落した先週末に続き、週明け13日も投資家のリスク回避の動きから下げ止まらない。また、通貨売りは経常赤字国で高金利南アフリカ・ランドやインドネシア・ルピアといった新興国通貨にも広がった。トルコのエルドアン大統領は米国との対決姿勢を崩しておらず、混乱の収束の兆しは見えていない。
(中略)
市場関係者の間ではこれらの金融安定策の効果について「沈みゆく船の救済にはならない」と冷ややかだ。トルコのエルドアン政権による数年来の成長を最優先する政策は、トルコ企業に数十万ドルもの対外債務を負わせ、物価急騰や世界有数の経常赤字などのゆがみを生んだからだ。
(中略)
ある専門家は「トルコはマクロ的脆弱(ぜいじゃく)性や政情不安を抱えており、本質的な問題が解消されない限り、トルコ売りは続く」とみる。
(中略)
関係者によると、トルコ当局者は政策金利を大幅に引き上げたとしても、米国の新たな制裁により直ちに相殺されるのではないかと懸念しているという。
(中略)
今回の金融市場の混乱はトルコによる米国人牧師の拘束問題をめぐり、米・トルコの関係が急速に悪化したことが背景にある。しかし、エルドアン大統領はトランプ米大統領が両国関係修復の条件としている米国人牧師の解放に応じる意向は示していない。エルドアン大統領は国際通貨基金IMF)からの金融支援も否定しており混乱する金融市場の収束に向け打つ手は少なくなっている。
(中略)
「政策の失敗による債務と流動性の危機へと化している。教科書通りの通貨危機だ。このままいけば、市場はトルコ経済のハードランディングと企業の外貨建て債務に関するデフォルト(債務不履行)、銀行破綻に備える必要がある」と警鐘を鳴らしている。
(後略)

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180814/mcb1808140614010-n1.htm

今回のトルコリラ暴落は、米土関係の悪化が引き金ではあるが、被害を大きくしたのはやっぱりユーロが背景にあるらしい。
90年代末から欧米は、モノ作りより金融錬金術で金儲けする方向へとシフトしており、リーマンショックからの世界同時不況とか、欧州経済危機とかも、欧米が本来リスクの高い途上国の債権を、色々と細工して見た目は健全な金融商品をジャブジャブ作っては売りして、リスクが表面化したら連鎖して総崩れ、と言うアレな事を繰り返してきた結果でもある。
今回も、元々対外債務が過多で利回りの良いトルコの債権を、欧州が金融錬金術でアリャコリャした金融商品が大量にあって、それが今回の問題で支え切れず、連鎖的に負のスパイラルを回しているとの観測もある。
トルコリラがコケて、連鎖的にユーロも下がり、無関係だった米ドルが対トルコリラ、対ユーロで全面高。
結果、日本の円も対トルコリラで値を上げる、と言う結果になったようだ。
しかし、面白いのが、「そもそもアメリカとの関係がマトモなら問題なかった」点。
アメリカとの関係が、通貨信用度に覿面に影響するという話であり、トルコなんかよりずっとアメリカに経済的にも軍事的にも依存している日本が、もし80年代末にプラザ合意を蹴って、アメリカと全面対立するような事をやっていたら、日本は90年代のバブル崩壊の代わりに、アメリカからもっと激しく叩き潰されていたかもしれんなぁ、と思ったり。
…代わりに、日本が天安門事件で西側から無視されていた中国を、外交的に救うのも遅れて、中国の経済成長が10年以上遅れた可能性もあるけど。
まあ、日本がバブル崩壊後に一人負けしたのは、アメリカのせいと言うより、日本では本来権力を握ったら拙い連中がマスコミに多く生息してて、国民に正しい経済の情報が伝わらず*1、公共事業削減、財政緊縮、インフレを恐れてデフレ容認、と言う緩慢な自殺行為を、国民が率先して政治家に強要させるに至った事、あとは経団連に代表されるカネと権力を握っている連中が、あり得ない程に経営無能だった事だけどな。

*1:今でも伝わっているとは言い難いが…